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"dependent"は依存する?

「上向き」という意味の”upright”について以前話をした。重力の影響で空気や液体が移動したり、呼吸のしやすさに影響したりするのだった。

 重力に関連する用語として、今回は”dependent”について。

 例えば、

Massive hemoptysis is life-threatening and requires prompt management, including maintaining the airway and placing the bleeding lung in a dependent position. 

などという文章がある。あるいは、

Increased capillary hydrostatic pressure generally results in localized, dependent, pitting peripheral edema.

というようにも使う。

 英和辞典で調べると、”dependent”の意味は「依存している」とか「左右される」とかある。”independent”だとその反対で、「独立した」とか「影響を受けない」といった意味になる。

 しかし、ここでの”dependent”の意味は、重力のかかる位置(下側)にあることを指す。なので、最初の例は出血している肺を下側にする、2つ目の例は、浮腫が身体の下側(立位なら下肢、仰臥位なら背中)にあることを示す。

 身体は重力に影響されるので、医療領域ではこのような意味で ”dependent”を使うことは多い。例えば、ARDSのような肺疾患も身体の前の方よりは背中側に起こることが多く、その場合も”dependent lung”という表現を使う。