見出し画像

恋愛・就活の意外な共通点

ビリー・ジョエルのあるバラードにて
『あなたの良いところ(the best of you)は見たから、あなたの残りの部分(the rest of you)を見たい』
これは恋人間のやりとりを歌った歌詞である。
(bestとrestで韻を踏んでいるところもお気に入り)

これはエントリーマネジメント研究における「RJP(realistic job preview:現実主義的な職務の事前説明)」に非常に近い考え方である。
金井(1994)は、企業の採用において「会社の良いとことも悪いところもありのまま提示することの重要性」を唱えている。
※少し前の学術論文だが、人材の流動性が高まる就活市場においてRJPの重要性が再燃している(尾形, 2020)

会社の良い部分だけをきらびやかに提示し、少しでも多くの応募者を集める方法は短期的に見るとプラスかもしれないが、長期的に見るとむしろマイナスになることもある。

主なマイナスポイント
①有象無象の募集が殺到し、採用コストが膨れ上がる。
②入社後に新入社員がギャップを感じ、組織不適応(満足度の低下/早期離職など)に陥る。

また、この考え方は学生側にも重要な示唆を与える。
就職活動で嘘偽りばかりを述べて内定をもらっても、入社後に苦しむのは自分である。
会社に対して最大限のリスペクトを持つことは重要なので、ばか正直に「御社は第8志望です」と言うのは良くないが、自分の過去や将来についてはありのままに話すことも重要であろう。
その結果で落選したとしても価値観が合わなかったと思えば良い。

就職活動は”企業”と”学生”のマッチングであり、意外と恋愛から学ぶことも多いのかもしれない。

好きな人には自分の良い部分だけを見せてしまいがちだが、その人と本当の信頼関係を結びたいのであれば、ありのままの自分を見せることが重要だと気づくことができた。

【参考文献】
・金井 寿宏(1994)エントリ-・マネジメントと日本企業のRJP〔現実主義的な職務の事前説明〕指向性-先行研究のレビュ-と予備的実証研究, 経営学・会計学・商学研究年報 (40), p1-66.
・尾形真実哉(2020)若年就業者の組織適応-リアリティ・ショックからの成長, 白桃書房.

この記事が参加している募集

就活体験記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?