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「ウマ娘 新時代の扉」について感じたこと

結論:作品としての完成度は高く、面白作品であることは間違いない

前提:ウマ娘1期、2期、RTTT、アプリ(2023年6月まで)
3期については8話あたりで視聴断念

■全体的なストーリー:良
■作画:良
■BGM,楽曲:普通
■人物の掘り下げ:普通
■演出:可
■オリジナル性:良
■総評:良

■感想
3期で視聴断念をするも再度2期,RTTTを劇場で再視聴してやはり良いアニメであると自覚したうえで視聴。
結果としては面白いと思えたし、振り返ってみてもいい作品であったと言える。
特にジャングルポケットやダンツフレームについてはアプリでも知らなかったので、良い意味で何も知らない状態で視聴をしたこともあり、展開が読めなかったことも作用した気がする。
今までの作品と比べると全体的に暗い印象があったが、最終的には希望を持たせてくれる締めとなり、個人としては満足できた。

■全体的なストーリー:良

史実とウマ娘というオリジナル要素を組み合わせてできたストーリーとしては2期ほどではなくても、十分よかったと思わせる内容であった。
フジキセキとの関連がわからないまま状態であったが、視聴後に史実を調べてみて納得。
そうした細かい絡みや複線などの描写を落とし込んでいるのは良かった。
アグネスタキオンという存在がジャングルポケットに与える影響、特にダービー後の描写については少し思うこともあったが、
「タキオン⇒ジャングルポケット⇒フジキセキ⇒ジャングルポケット⇒タキオン」と各々の走る姿に影響を受けていく自分の未来を,史実を変えていくというのが今回のテーマとするのであれば、十分であると感じた。
テンポについても若干は早いと感じるところもあったが、一つの映像作品に収めるというのであれば致し方ないという印象。

■作画:良

全体的にレースの作画や走る描写など、さらにきれいに丁寧になっており、今までで一番であると思わせる出来だった。
単純にウマ娘を知らないような人でもレース描写だけで引き込まれるものがあるというくらいには、迫力があった。
気になる点としては前半のギャグ描写などで人物像が大きく崩れるシーン。
有名な作品でもシリアスなシーンに唐突なギャグ描写を入れられて一気に熱が冷める、という経験をしたことがあるため本作品もこの描写を見たときにどうなるかとは思ったが、懸念で終わって何より。
特にアニメでもギャグシーンを挟みがちな部分があるので、
今後もこのような描写が増えないよう祈りたい。

■BGM,楽曲:普通

全然悪いとは言わないし、作中BGMがあまりないのもそうした演出であることは理解できる。
ただ今までの作品と比較したときにOPや耳に残るようなBGMがあったかといわれると、そこまでではないと感じる。
(OPについては逆にあれだけテンポよく映像を流すのも新たな試みとして個人的には良かった)
しかし、今はこう言っておきながらまた見直したときにこうした印象はすぐに変わるので、あくまで現時点での感想。

■人物の掘り下げ:普通

主な主要人物はジャングルポケット、アグネスタキオン、マンハッタンカフェ、ダンツフレーム、フジキセキとトレーナーになる。
RTTTで出てきたテイエムオペラオーやナリタトップロード、メイショウドトウについては最低限の掘り下げではあるが、ここは尺の都合上仕方がない。
少し気になったのはマンハッタンカフェとダンツフレーム。
マンハッタンカフェについては菊花賞があっさり終わったこともあり、
もう少しタキオンとの絡みやレース描写で深堀があってもよかったのかなという印象。
ダンツフレームについては特にアプリなどに出ていない(はず)ので、今回の新キャラということもあるので、掘り下げはいまいちなくて少し意外だった。
ジャングルポケットに対する対抗心などは描写としてあったが、もう少しレースに出る理由や背景に対する場面があったほうがより魅力的なキャラに慣れたと感じた。
史実では今後G1を制するマンハッタンカフェ、ダンツフレームなどの描写がそこまで掘り下げられないのは理解はできるが、もう少しどうにかできなかったか、というのが一番の印象。

■演出:可

ここでいう演出とはレースにおける描写に対しての言及ではあるが、個人的にはオーラなどを出して走っている姿は少し違和感を思える。
RTTTはどちらかというと風を切るような描写が中心だったと記憶があるが、
今回はそうした演出が少し過剰に見えた。

■オリジナル性:良

ウマ娘という作品である以上、史実との関係性は無視できない。
その中でどのようにオリジナル性を絡めて作品として、キャラクターに対して魅力を持たせるのかがこの作品における最大のポイントであると仮定したときに、本作品はその魅力を最大限に引き出せたのではないか。
史実では皐月賞で引退をしたアグネスタキオンが最後にライバルたちと一緒に走る姿を描く、同じくフジキセキがもう一度復帰をかけて走り始める、そうしたIFの要素が垣間見える点については表現できていると言える。
個人的にはアグネスタキオンが好きなこともあるので、彼女がジャングルポケットたちの走る姿を見て足が自然と疼き、駆け出すようなしぐさを繰り返し、最終的には瞳に光が宿る描写は満足できた。

■まとめ
ウマ娘を知っている人なら見るべき作品ではあると言えるくらいには面白かった。知らない人間にお勧めできるかというと、そこは断言ができない。
個人的に気になる「突然のライブ」「無視できない衣装(特にフジキセキ)」などの点ついてはもうとやかく言うことではないが、気になるものは気になるので細かい部分ではすべてを称賛することはできない。
しかし、スポ根ものとしてとらえたときに作品としての質は十分できあがているし、史実やアプリをやっている人間からすればニヤリとできるような要素をちりばめている点については愛を感じたので、そうした配慮がなされている作品は多くはないので十分に評価のできる作品であると言える。

ウマ娘というテーマを考えたときに気になるのは「次の作品」。
今回もそうだが史実がある以上、展開やストーリーがどうしても似通ってしまうのは避けられない。(史実での衰えやけがなどの描写に対しての作品への落とし込み方)
一番盛り上げるであろうオグリキャップについてはすでに漫画で表現されているので、映像化は難しいだろう。
ウマ娘好きとしては、このようなクオリティを維持しながら新たな映像化を待ちたいと願う。

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