骨折りを「損」にするか「得」にするか
わが家には数々の面白エピソードがありますが、その一つに「茶碗蒸し事件」というのがあります。皆さんご存知の通り、茶碗蒸しというのは卵と出汁、そこに好みの具材を入れて蒸したもの。加熱されることで固まるのは卵のタンパク質によるものです。
ある日の夕食、妻が茶碗蒸しを作っていました。しかし、なかなか思うように固まりません。「いつもより器が大きいから、加熱が足りないんじゃないのかな?」と言いつつ、さらに加熱しますが一向に固まる気配がありません。というか、どことなく「かき玉汁」のようになっています。
そこで私は「これは何かしらの成分が作用しているのでは?」と思い、具材にピントを合わせました。そこで気になったのがマイタケ。いつもならシイタケやシメジを入れるのに、今日はマイタケが入っている…。案の定、これが原因でした。なんとマイタケにはタンパク質を分解する酵素が含まれているのです。
世の中には「骨折り損のくたびれ儲け」という言葉がありますが、まさにそんな状況です。折角、一から十まで段取りをしたのに、マイタケを入れてしまったせいで水の泡。「こんなこともあるんやなぁ」と言いながら、スープのように茶碗蒸しをいただきました(笑)
ちなみに、この「茶碗蒸し事件」をきっかけに、もう少しマイタケについて調べることにしました。すると、マイタケには①食物繊維が多く、②風邪や老化を予防する成分、③ダイエット効果のある成分なども含まれていることがわかりました。
もし、茶碗蒸しが固まらないことに「なんでやねん!」と腹を立てるだけ、「なんでよぉ…」と落ち込むだけで終わっていたら、きっとマイタケの成分に気づくことはなかったでしょう。そうなると、また同じ失敗を繰り返す可能性すらあったのです。そう思うと、少しも「骨折り損のくたびれ儲け」なんかではありません。だからこそ、今では面白エピソードの一つになっているのです。
これからの人生も成功続きという訳にはいかず、何度となく失敗することもあるでしょう。思わず「骨折り損のくたびれ儲け」と思いたくなることもあるでしょう。でも、その出来事を「次の儲け話」にしてしまえばいいのです。そして、それを可能にするのに誰かの許可や協力は決して必要ではありません。自分の心ひとつで可能にできるのです。
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