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【UXの失敗記録】なぜ、ばあちゃんはiPadを使わないのか?

ばあちゃん子で育った僕。iPadをばあちゃんに与えるが、うまく使ってくれず、悔しいためその記録を残しておく。

だいぶ前に帰省した際、ばあちゃんからiPadが欲しいことを告げられる。

親戚のばあちゃんたちがiPadなど使っていることもあり、その影響かと思いきや…。

キッカケはなんにせよ、テクノロジーに興味を持ったことが嬉しい。

ばあちゃんが唯一知っている情報は「iPadがあれば、孫3人とTV電話ができる」ということ。

孫3人とも実家を出てしまったため「孫とのコミュニケーションをしたいのだ」とニーズを仮定した。(結果、違っていた)

鉄は熱いうちに打て!なので早速準備に取り掛かる。

ちなみに、ばあちゃんのスペックは下記の通り。

・ガラケーも使わない
・エアコンとTVは使える(DVDレコーダーは使えない)
・固定電話は使える
・ATMは使える
・車の運転もまだギリギリできる
・野菜づくりが趣味
・ちょっとだけ糖尿病
・インターネットという言葉は知っている
・スマホは電話だけじゃなく他にも色々できると知っている

準備編

こちらの記事を参考に今までの知識をフル動員してみた。

不安を取り除く

メルカリで中古のiPadを購入。画面の大きさは操作のしやすさに直結するため予算ギリギリで大きめのiPadを買った。これでハズキルーペいらず!

SIMはLINEの使用が目的で、家の外で使うことは少ないためLINEのSIMを採用。500Mのプランにしランニングコストを抑えた。

Androidのタブレッドも考えたが、フリーズや挙動がおかしくなることが個人的に多かったので検討せず。

壊してしまう、動かなくなる体験が「やりたくない」気持ちになるのを避けたかった。自分(ばあちゃん)が機械を扱えないと一度思ってしまうと、再度挑戦する可能性は低い。

ばあちゃんの行動を最小限にするため、電源を入れればすぐ使える状態にする必要がある。ほとんどの初期設定はこちらですべて済ませた。

iPadの初期登録フローは我々には素晴らしいが、僕のばあちゃんにとってはほとんど分からないと思われる。分からないは最も嫌われる。

デフォルト設定がばあちゃんにとってのUXを決めてしまうため(ばあちゃん自ら設定を変えることはしないため)できる限りカンタンに迷いがないようにしてあげた。

主な設定は下記の通り。

・Appleアカウントの取得
・SIMの開通作業
・アプリの整理(使うものだけに限定)
・文字は50音表入力に設定(フリック入力は絶対にできないため)
・LINEはあらかじめ孫や家族を友達登録しておく

取説は、ばあちゃんにも分かりやすいようにかなり丁寧に解説した。

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絶対に壊れないこと+この取説を読むとできるようになることを伝える。不安を取り除くと同時に、できるようになることを明確に伝えた(つもりであった…。)

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電源の入れ方レベルから解説した。

とはいえ、ばあちゃんの行動を予測できないため、ホームボタンを押せば必ず最初の画面に戻ることも伝えた。

分からなくなった時にこれだけを覚えていれば、1からやり直せることで不安を除けると考えた。

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LINEの使い方も1stepごとに解説。

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この他、SafariやYoutubeなどの使い方と写真の撮り方も加えて取説を製作。

家にプリンターがないため、実家でプリントしてもらうことにした。(これが後々致命的なミスに繋がる)父親にはWifiの設定のみ依頼した。

村のお友達に自慢できるように六法全書も入れてあげたw


はじめてのiPad編

数日後、実家に届いたようでLINE電話がかかってきた!(すべてが上手くいった!と思った)

取説を見なかった理由は、父親が印刷しなかったため。おい。

サービスブループリントに突如登場した父親のUXを考えていなかった。

届いてすぐ開封し、父親が電源をいれ、Wifi設定し、LINE電話を掛けてもらったらしい。

父親のヘルプがあったせいか、しばらくは父親と一緒にいるときにLINE電話するようになる。これがしばらく、ばあちゃんのLINE電話のデフォルト状況になった。

ともあれ、とりあえず成功してよかった。父親には取説を印刷するように念を押す。

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(カメラ部分を伝えていなかったため、オデコ中心のLINE電話だった)

数日経って「取説を読んだ」仮定でLINEをしてみる。

そうです。iPadを開かないのです。(後で聞いたところ、壊さないようにタンスにしまってるらしい)取説も読んでいないのです。

家のどこに置くのかiPad台まで用意するべきだった
常に目に入ることでiPadを使う意識が醸成されたかもしれない
目立たなければ、それは風景になってしまう。

が、ここで奇跡が起こる。

ばあちゃん急成長編


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スタンプまで送ってきた!そして再びのLINE電話!これはかなり興奮した。

話を聞いたところ、村のちょっと詳しい人をお茶に誘い、一緒に文字を打ったとのこと。

この時点で、ばあちゃんは「誰かといるときに、iPadを使う」がデフォルトになった。不安がなくなることで、ばあちゃんはもっと加速する。

なんと「写真」を送ることに成功する。

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ばあちゃん衰退編

特にLINE電話の切り方を忘れてしまう。画面を一度タッチしないとボタンが出てこないためだ。掛ける際は常に📞マークがあるため掛けれるということだった。

まだLINE電話を受けるのは苦手だが、この頃になると自分でLINE電話を掛けられるようになる。

数回のサポートにより抵抗感がなくなり、「これは、ばあちゃんでもできるな!」という発言から自信を覚えているようだった。

小さな成功体験によって、この頃からLINE電話の回数が増える
意図的にすぐ電話に出るようにしたため、即時フィードバックを実現できた

ばあちゃんのホントのニーズ


つまり、自ら連絡する口実が欲しいのだ。iPadを欲しいと言った理由も、仕送りも。(六法全書の謎がここで解ける、ちなみに村の友達には自慢しているらしい)

冷夏により収穫が遅れているが「育てている野菜の写真を撮って送りたい」とも言っていた。これもおそらく、連絡する口実だろう。

実際、ばあちゃんは頻繁に連絡をしてこない。以前よりは増えているが恒常的なコミュニケーションを望んではない。自分の娘からもLINEが来ているらしいが、無視しているらしい。なんでw

ある日、妻がムール貝を送ったところすぐにお礼のLINE電話が来た。今思えば自然な形で連絡する口実を与えていた。

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家族用に送ったが、ばあちゃん一人でほとんど食べてしまったらしく、爆笑している

クエスト形式で孫に連絡する口実を用意しておけばよかったのかも。

次のステップはYouTube

この夏は、ばあちゃんにYouTubeを覚えてもらえるか挑戦してみる。

ばあちゃんは石原裕次郎がスキなので、それをオトリにして、ばあちゃんの行動を誘発できるか(しかも遠隔で)試してみようと思う。

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こびー
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