カンタンなことはすべての人に優しい
行動科学系のオンラインコースMindWorxAcademyでの学びをまとめていきます。
時間のない方用サマリー
・簡単さは主観的要素に大きく左右される。実際に行う行動が難しいかどうかではなく、簡単だと感じるかどうかが鍵。
・情報はできるだけ構造化する
・〜しなければいけない系の言葉を使わない。簡単・すぐに・シンプルなどポジティブな言葉を使う
・複雑な行動を要求する時はタスクを小分けにして、その進捗を見せる
事実よりも感覚が最優先
簡単だなと感じるには2つの要素があります。
客観的要素:例えば、問い合わせフォームの記入欄や質問が少ない
主観的要素:例えば、問い合わせフォームを見て、どう感じるか
下の本に詳しく書いてあるのですが、特に主観的要素に人はより影響されます。つまり、明らかに簡単であってもその人がどう知覚するかに大きく影響されてしまうということです。
ちなみにこの本では感動的な顧客サービスと顧客ロイヤルティに相関関係はなく(!)ビジネスを前進させるための最大のポイントは、顧客の期待を超えようとすることではない。むしろ、顧客が簡単だと期待しているにも関わらず、実際はそうではない部分に焦点を当てることにあると主張しています。
サービスを作る上で、登録や基本情報の記入などユーザーや顧客にお願いしたいことはたくさん出てきます。問題なのはどれくらいお願いすることがあるかではなく、どれくらい「簡単だな〜」とユーザーや顧客が感じるかです。
私たちの脳はエネルギーを節約したいため、常に「ラクさ」を選択しがちです。それは情報を処理するときのラクさであって、そのプロセスから連想された感覚が大切なのです。
つまり、「あ、簡単そうだな」と思うのか、「ん〜ちょっと難しそうだな」と思うのか。その差は少しですが、大きく人の知覚とやる気に影響します。
お金をかけずにできるのは「言葉の情報構造」
コストをかけずにすぐできるのは言葉の情報構造とその使い方です。
例えば
このオンラインコースを購入して最大限に活用するためには、アカウントを作成し、登録し、コースの支払いをして、すべての説明を読む必要があります。そして月毎・3ヶ月毎・年払いの3つのお支払い方法からお選びいただけます。
理解はできますが、分かりやすいとは言えません。
このオンラインコースを購入して最大限に活用するためには、以下の3つのステップを踏む必要があります。
1. アカウントを作成して登録する
2. 月毎・3ヶ月毎・年払いのいずれかで支払う
3. 説明書を読む
リストにしたり、見出し文を付けることで少しマシになりました。これはステップという構造にそれぞれの情報を入れ込んだためです。
私たちは構造化された情報が大好きです。数年前に流行ったリスト記事「30代が人生で知っておくべき5つこと」や巷にあふれるビジネスフレームワークが良い例です。分かりやすいものや馴染み深いものは脳にとって情報処理のエネルギーを使わないため大好物になります。
言葉遣いも「〜しなければならない」「〜が必要です」よりも「簡単」「シンプル」「すぐに」という言葉を積極的に使います。
【2分で登録できる!】
3つの簡単なステップでオンラインコースを最大限に活用できます。
1. アカウントを作成して登録する
2. 支払い方法を月毎・3ヶ月毎・年毎のいずれかを選ぶ
3. 短い簡単な説明書を読む
最初の文章と比べると
このオンラインコースを購入して最大限に活用するためには、アカウントを作成し、登録し、コースの支払いをして、すべての説明を読む必要があります。そして月毎・3ヶ月毎・年払いの3つのお支払い方法からお選びいただけます。
だいぶ改善されました。もちろんテキストだけでなく、グラフィックやアニメーションなどを使ってより簡単に見せることもできると思います。
しかし、どうしても難しいこと、複雑なことをユーザーや顧客にお願いしなければいけない時ってありますよね。そんな時はチャンクというテクニックが使えます。
とにかく小分けにして、進捗を見せる
冒頭に説明したように、客観的に見て難しいか、簡単かではなく、その人にとって難しいのか、簡単なのかに人の行動が左右されます。つまり、簡単だなと感じてさえもらえばOKなのです。
Duolingoという英会話アプリは多くの努力と習慣化を求められる外国語学習をユーザーに乗り越えてもらうために毎日の学習課題を限りなく小さく区切り、その進捗を見せています。
ゲーミフィケーション的要素もありますが、いきなり単語クイズ100問よりもまずは5問解くように小さく区切られているためユーザーは「お、それならできそうだし、時間もかからない」と感じます。
他のお手本は下の記事にもあるNetflixの登録フローが言葉遣いも含めて秀逸だと思います。シークレットモードでアクセスすると登録済みの方でも登録フローを体験できます。
今思えば恋ダンスやフォーチュンクッキーダンスも簡単だから流行ったのかな、おじいちゃんから子供まで踊れるように設計されているとしたら秋元康さん恐るべし…。
サークル、始めてみました!
UI・UX、マーケティング、行動経済学、心理学など分野をまたいでもっと勉強したい、学びたい人のためにサークルも始めました。
関連する海外記事のサマリーや事例の紹介と分析、「子供に手洗いを促すには?」など実践的なお題をメンバーで考えていこうと思います!
頂いた資金は子供支援団体などに寄付していきます。