人は与えられるとお返ししたくなる
行動科学系のオンラインコースMindWorxAcademyでの学びをまとめていきます。
時間のない人用サマリー
・先に与える、その直後お願いをする
・与えるなら予想外に、個人的に、価値のあるものを
・与えるものが大きすぎると引かれてしまう
・与えられたと印象づけるだけでも十分効果を発揮する
人は人から何か与えられると、お返しをしたくなります。好意の返報性と呼ばれるものですが、逆にやられたらやり返すようにポジティブにもネガティブにも働きます。
例えば高級レストランやホテルに連れていくような接待でなくても実は十分です。それは相手が興味の持っている情報だったり、10%OFFのクーポンであっても良いのです。実際には良くしてもらった、好意があると感じるだけで十分効果を発揮します。
ただし、先に与えること、それからお願いをする順番でなくてはいけません。
「もし今ホテルを予約したら10%OFFのクーポンを差し上げます」
ではなく、
「ご旅行を予定しているあなたに10%OFFクーポンを差し上げます、どうぞこのままホテルを予約してください」
の順番です。
「予想外に、個人的に、価値があるものを」
ウェイターのチップを増やすためにはどんな方法があるでしょうか?
実際のレストランを使って行われた実験では
A:お会計と一緒に、アメを1つ渡す
B:お会計と一緒に、アメを2つ渡す
C:お会計と一緒に、アメを渡した後に、立ち去り、再び戻ってきてアメを渡す
Cが一番チップを多く貰えたそうです。
これはディナーの後アメを貰うことは普通だったりしますが、ウェイターが立ち去った後、さらにアメを渡してきたことが予想外であり、それは個人的な好意(マニュアルに書いているとは思えない)、その体験は価値のあるもの(特別感)だと捉えられたことが原因ではないかと推測しています。
タイミングが大事
与えた直後にお願いする必要があります。与えられた直後が最もお返ししたい気持ちが高く、時間が経つにつれ徐々にその感覚はなくなっていきます。人情がない人ではなくて普通の人間の心理傾向なのです。
大きすぎない
与えるものが大きすぎると受け取った人はお返しのプレッシャーを強く感じてしまいます。親戚から高額なモノが送られてくるとなんとなく「お返しも相当するものを送らないと…」と思ってしまいます。
また他人から高価なもの受け取ると個人的なものよりは金銭面に目が行くためむしろ「申し訳なかった・・・」と思ってしまいます。
かといって小さすぎるとお返しする気分になりません。職場で落とし物を拾ったくらいでお返しはしないのと一緒です。
相手がプレッシャーを感じない範囲で与える必要があります。
気まずい場面で使える
例えば、ある野球ファンクラブでは収益悪化により会員に対し会員サービスの削減を伝える必要がありました。そこで説明会ではまず会員に対し今までどんな会員サービスを受けたのか、ファンクラブでどんな思い出があるか会員同士で話してもらったそうです。
その後、会員サービスの削減を伝えたところ、むしろ会員側から「こんなことはできないか」「余っているグッツを会員同士で分け合えないか」など建設的なアイディアが出るまでになったそう。
つまり、今までファンクラブ運営側が会員にどんなことをしてきたのか振り返ることで「良くしてくれていた」と印象づけることに成功したのです。
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