行動を誘うデザインパターン集その3
行動経済学や社会心理学、アフォーダンスを活かした人の行動を誘うようなデザインの事例をまとめました。
チャンスがあれば良い行動は促せる
これ、電気の種類を選べるコンセントです。太陽光発電・風力発電・化石燃料発電の3つがあり、人々が何を選ぶか隠しカメラで撮影しています。
化石燃料発電から風力発電に切り替える人の様子。
実際にどれだけの人がエコな電力を選んだのか詳細なデータはありませんでしたが、選択肢があることは「自分でコントロール出来る環境」でもあります。このコントロール感はとても大切です。
選択の機会が適切に提供されているだけで人は脳の腹側線条体(快感・報酬・意欲・恐怖など)という部分が刺激され喜びを感じるそうです。
たとえば、意のままに操れない税金に仮にでも「何に使ってほしいか選べる選択肢3種類」があるとしたら、納税額は変わらずとも「取られている」ような感覚は薄れるかもしれません。
もちろん選択自体がハードルになる場合もあります。詳しくはジマタロさんの記事が分かりやすいです。
ゴミ袋一枚で住民の行動を変える
Amsterdamにあるデザイン会社Waarmakersが制作したリサイクル専用ゴミ袋です。
いらなくなったモノをこの袋に詰め、路上に置く、誰でも袋の中に欲しいものがあれば、持ち帰ります。リサイクル業者も回収でき、最終的に残ったモノは市がゴミとして収集します。
ゴミを漁るような行為は誰でもしたくないですが、この袋のおかげで人の目を気にせず中身を貰っていくことが出来ますよね。世間の視線をこんなに優しく変えたこれ以上の事例を僕は知りません。
袋を出す側もメルカリのように写真など撮らなくていいのでより手軽だし、欲しい側も無料でもらえるので嬉しい限りです。メルカリ・アッテのリアル版な感じですね。
大手スーパーマーケットと提携してスーパーの入口にも置いておけるらしく、着々と拡大中らしいです。以前にこのデザイン会社にインタビューした記事もあるのでご参考に。
半強制的に手洗いさせるトイレのドアノブ
トイレに行った後に手を洗うのは習慣ですが、トイレに行く前の手は意外と汚く、そのまま用を足してしまうと感染してしまうリスクがあるそう。
このドアノブは引くと勝手に洗剤が出てきます。よってまずトイレに入ると手洗いが必要になる仕組みです。急いでいるときは大変イラつく仕組みですが、すでに確立された習慣や行動にそっと新しい行動を乗せるキッカケを与えています。
CDでもストリーミングでもないのに楽しい音楽体験
木から吊るされた15個のヘッドフォンそれぞれから別々の音楽が流れていて自由に聴けます。
ちょっとした宝探し感が楽しそうで、通常の音楽の聴き方とは違うことが視覚的に瞬時に理解できます。視覚的に分かりやすく上に「どんな行動を取ればよいか」もすぐ分かるのがポイントでしょう。
ソーシャルディスタンスを保ちながらフェスも出来そうです。フェス関係者の方いかがでしょうか?
通勤体験を最小コストで変えるパックマンゲーム
オランダのインタラクティブアーティストのダニエルさんが考案した通勤パックンゲームです。ゲームのやり方は簡単で壁に貼ってある恐竜のシールで通行人をパクパクします。頭を動かすだけで出来るのでテクノロジーは必要としません。
ゲーム性と即時性、簡易性があるため行動に移しやすいのだと思います。
電車やバスでぐずってしまうお子さんにはぴったりかもしれません。お金はほとんどかからないので、交通事業者の方はぜひ取り入れて頂きたいです。
こんな感じの事例を他の記事でも紹介しています。
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