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認知症の世界を垣間見る本【ミシンと金魚読書感想】

今日は認知症の小説を読みました。

すばる文学賞という、集英社の純文学の賞をとった小説。
ケアマネさんが書いた、認知症の人の物語です。

純文学って娯楽性より芸術性を重視した物語らしいので、読んでもよく分からないのもあるんですが、この本はとても読みやすかったです。

ページ数も多くなかったので、大体2時間くらいかな?

認知症の次々に言葉や記憶が浮かんでは流れていって収拾がつかなくなる様子が、細やかに描かれているところが良かったなぁ。

認知症の人気持ちとか考えていることは、当事者発信が増えてきたこともあって知られるようになってきたけれど、元来そういう発信ができる能力がある人だったりするので正直「ちょっと違うなぁ」って思うところもあったんですよね。

だけど、そういうの無しで、本当にありそうなおばあちゃんと家族と、それを取り巻くケアスタッフのお話。
フィクションなのに、リアルな物語。

教科書的なものだけとか、発信できる知性のある当事者の話だけでは分からない
実際に対峙した時の不思議な話の通じなさとか、言葉のテンポの絶妙さを味わえる本でした。

老いをことさらに美しくも、醜くも描かないって難しい。
いいことも嫌なことも、近くにいるほど知ることになるから。
ケアマネという当事者に近い仕事をしているのに、そういう偏りなくものがたりを仕上げた永井さんに心からの賞賛を送りたくなる本でした。

今品薄で手に入りにくい状態ですが、おすすめですよ!

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