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「FPに向いていない」と自覚する私がFPを仕事にしている理由(後編)

前編では、私がFPの資格を取得しようと思ったきっかけについて、記しました。

後編では、いよいよ本題(?)に入ります。


取得できた資格を風化させたくない

FP資格を無事に取得し、ほどなくして娘を出産。育児生活に突入しました。

初めての子育てで、親族はほぼ関西在住のため(私、神戸っ子です)、頼れる誰かもあまりいなくて、自分なりに初めての子育てに一所懸命でした。

社会に出て思いきり働ける環境でもなく、せっかく取得したFP資格も不純な動機だったとはいえ持ち腐れ状態にはしたくない。
知識や経験をインプットできる機会はないか?と思い、日本FP協会のスタディグループ(SG)に参加し始めました。娘がまだ幼少の頃です。

たいていのSGは仕事帰りの方々が集まる夜の時間の会合が多い中、私が見つけたSGは自宅からも遠くなく、平日の午前中の会合。

案の定、参加メンバーは私と同じような子育て中のママや主婦の方が多く、
FP資格は持っていても仕事では活かせていなかったり、学びの機会として参加されている方が多かったように思います。

そこで数年の間、学ばせていただいているうちに、せっかくだから、ちょっと楽しいことやりたいな・・・という、とある好奇心が出てきました。

ライフデザイン・バンビーニ

FPが関わる分野は、金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度・・・と、多岐に渡ります。いわゆる、お金に関するあらゆることです。

その中でも、当時私が興味を持ったのが、「子供の金銭教育」でした。

私自身が子育て中で、娘にお金のことをどのように教えていけばよいのだろう?と、色々考えていた時期でもあったからですが、私の所属していたSGのメンバーは私に近いライフステージの方も多かったんですね。

なので!
「子供の金銭教育を考えて発信する活動に興味ある方がいれば、何か一緒にやりませんか?」
と、声にしてみたところ、たくさんの手が挙がり。総勢8名の女性メンバーでグループを結成しました。
そのグループ名が、ライフデザイン・バンビーニ

地区センターや公民館、小学校の行事、学童保育などなど・・・子供向けのイベントや親向けのセミナーなど、約5年間活動しました。

完全ボランティアの活動の中で、考え方も多様で、なかなか自由にならない(みな子育てや介護があり)環境の下、それでもそれぞれの役割をそれぞれが責任を持って取り組んでいました。

当時は、みんなで一つ一つの活動を楽しんだり、企画遂行して達成感を味わう喜びも感じながらただ一所懸命でしたが、今振り返ると、メンバーの皆さんが本当に優秀な方ばかりだったのだと、心底思います。
そしてそれぞれが持つ有り余るエネルギーを発揮されていた、そんな気もします(私も同じく)。

現在、FPを職業としている私にとって、バンビーニでの活動は大きな財産になっています。
と同時に、ビジネスにするということの難しさやボランティアの限界、子供の金銭教育というテーマにあたって、社会に存在する複数の壁も体感した貴重な期間でした。

ファイナンシャルプランナー(FP)って何?

実は、そもそも私の中には、FPを仕事に活かそうという思いはあまりありませんでした。
それは、「私はFPに向いていない」と、心の底から思っていたから。バンビーニの活動中もです。

多岐に渡る分野の知識の習得、時代と共に更新される情報をキャッチアップしながら自分の知識も更新、制度や専門用語の理解・・・とてもとても私には手に負えないと。

でも、なぜか興味はありました。

これまで、FP協会のイベントで相談員として相談を受けてみたことも何度かあります。
覆面調査員の仕事(各銀行の窓口で運用相談等を受け、適正な説明や対応が出来ているかを確認するという仕事があるのです。迎え入れる側にはたいていバレているのですが)をしていた時期もあります。
銀行でお客様の投資運用や相続遺言の相談を受ける仕事に従事した時期もあります。

いろいろ経験することから、さまざまな世界が見えてきました。
無意識のうちに少しずつ、もし私がFPになるなら「こうありたい」という思いも、固まってきていたようにも思います。
というか、FPとしてというより自分の生き方・あり方としてと言った方が合っているかもしれません。

ありたい自分になるために

独立系のFPとして仕事をするようになってから、約10年。この間本当にたくさんの方々のご相談を受けてきました。こんなにも色々な人生があるのだと、知らない世界ばかりだと感じます。
FPである私自身が、相談に来られる方から学ぶことも本当に多く、有り難く貴重な仕事です。

世間一般のFPの定義は、
「お金に関する幅広い知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考えサポートする専門家」
です。そのとおりだと思います。

ですが私は、上に挙げたような専門家として仕事をしたいのではなく、ありたい自分をFPという仕事で表現したいという思いでいます。

それぞれの悩みや相談がある方が、私に相談に来られたとしたら、そこは全力で向き合いそして同じ方向を向いてサポートしたい。
そしてその相談内容が、私はFPなので「お金に関すること」ですよね、という感じです。

だから、FPとしての知識も当然備えておかなければいけない。もちろん随時、知識や情報も蓄えていく。
相談に来られた方の解決に必要で自分に不足しているものがあれば、色々な手段を尽くして、状況に応じて適切な専門家にもお繋ぎする。
解決もしくは良い方向に導けるように動く。

それが、ありたい自分だからです。

そしてもうひとつ思うこととして。
今も、相談に来られる方々に一人前のFPになれるよう育てていただいているという思いが強いです。
多くのご相談を受けていると、人の考え方はひとつではないこと、色々な生き方や生活があることをノンフィクションで教わります。
アドバイスする立場としての引き出しが増える(自分が生きる上での引き出しも増える)とともに、もっと蓄えないと!とより喚起されます。

実は、私がCFP®とFP1級を取得したのは、独立系FPとして仕事を始めてからのことでした。それまでは、そこまで頑張らなくても保有しているFP資格(AFP)でも仕事はできるし、と考えていました。
ですが、多くのご相談を受ける中で、ありたい自分になるためにも上級資格取得も真剣に考えたいと思うようになったのです。

間違いなく、FPとして育てていただいています。

私なりの定義

昔からずっと「私はFPに向いていない」と思い続けてきたのは、世間一般に定義される専門家であるFPで常に居続けるのは、私には無理だと感じているからです。
おそらく、対象になる誰かが居て初めて、FPとしての私が発動するのだと自己分析しています。

・相談に来られた目の前の人のことを、自分ごととして考えられるか?
・自分の持つ知識とこれまでの経験を用いて、相手が求めるアドバイス&サポートが全力でできるか?
・不足があれば、時間をかけてでも埋めようとアクションできるか?
・軸を持って、相手のために関係各所とも戦えるか?

これらが「YES」になるのが、私の思うFPとしての像であり、ありたい自分です。

これまで何度も折れそうになりながらも、相談を受けた方々からのメールやお手紙でのメッセージ、お心遣いにどれだけ救われてきたことか。
涙が溢れることもしばしば。

そのたびに、頑張らなくては!と思うのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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