コイツ、こんなに傲慢なヤツだったかなぁ…

とある親友の言動に対して物凄く嫌な感じを受けたことを唐突に思い出した。
1~2年前の話なのである程度記憶は曖昧なのだが、せっかく思い出したので書き留めておきたい。

地元の飲み屋でその友達と酒を飲んだ帰りに駅前のコンビニに寄ろうとしたところ、中学時代の同級生だったS君がいた。
S君は今にして考えてみれば明らかに精神と知能の発達に遅れのある少年で、それにも関わらず支援学級ではなく一般学級に在籍しており、それが原因でクラスに馴染めていなかった。というか普通に虐められていたと思う。

自分も正直なところ彼のことは気持ち悪いなぁと思っていたので、ちょっかいをかけたり虐めたりはしなかったものの、自分からは絶対に関わらないようにしていた。
そんな相手なので、とっくに大人になっていた当時の自分でもコンビニで見かけた彼に話しかけに行くことはしなかった。

駅前のコンビニで買い物をする彼を遠目に見ながら、友人がこんなことを言った。
「お、Sじゃん。アイツこの時間によくここにいるんだよね。こないだ話したけど、今は配達の仕事してるらしいよ。あのSでも働けてるんだよな。偉いわ~」と。

物凄く不快感を覚えた。「いやいや…流石にそれはバカにしすぎ」とツッコんだが、彼は「え?いや、褒めてんじゃん」と不思議そうな顔をしていた。

コイツ、こんなに傲慢なヤツだったかなぁ…と少し失望した。
逆に聞くけどさ、お前は「働けててえらいじゃんw」って褒められて嬉しいか?リスペクトされてると思うか?俺は無理だが。
しかもお前、「こないだ話したけど」ってことはわざわざ話しかけにいって、「今仕事なにしてんの?笑」とか聞いたわけだ。その無自覚な見下しの感情と共に。

これは自分の思い込みかもしれないが、恐らく彼は完全に無意識でS君のことを中学時代と同様に小馬鹿にしてやろうという気で話しかけていたと思う。

直前に彼が「転職して給与が上がった」「婚約した」みたいな話を聞いて膨らんでいた祝福する気分が一気に萎んだ。

お前さ、それって結局自分が上手くいってる時に都合よくバカにできそうな相手が目の前に現れたから話しかけにいっただけじゃねえの?
お前も現役で大学受からなくて、バイトしながら浪人して…っていうキツイ時期あったじゃん。その時でも同じテンションでSに話しかけに行けたか?

という言葉を放ちかけてぐっと飲みこむ。親友だからこそ言ってやるべきか?という逡巡が無かったと言えば噓になる。
ただ、目の前にいる彼の態度を見て、互いの気分を害する覚悟を決めてまで忠言を送る価値のある人間ではなくなってしまったかな、という意識が出かかった言葉に蓋をした。

今でも彼とは良い友達でいることができているが、彼を見るたびにあの日に出かかった言葉が脳裏をよぎる。

もうじき彼は結婚式を挙げる。きっと俺のもとにも招待状は届くだろう。
出席と欠席、どちらに○を付けるか。あの日の彼の発言、表情、自分の感じたこと。それらがずっと心の中に沈殿しており、未だに決められないでいる。

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