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高島VS開成 2021年東東京大会2回戦


7月10日(土) 球場:江戸川区球場

一昨日、自民党総裁に岸田文雄氏が選ばれ、第100代内閣総理大臣に任命されることになった。岸田氏は総裁選後に「全員野球で一丸」と挨拶されたが、開成高校野球部出身であり、セカンドのレギュラーとして夏の東東京大会に出場された経験を持つ。この夏青木秀憲監督率いる“開成野球”を3年ぶりに観戦、2ヶ月半後にその野球部出身者から内閣総理大臣が選出されるとは思いもよらなかった。さてその開成高校野球部の練習環境は他の部活動と共有するため、グラウンドを使った全体練習は週1回の数時間と決して恵まれていない。この環境下から青木監督が生み出した戦略は、1点を守るのではなく、10点を取って打ち勝つ超攻撃的な野球、かつて夏の甲子園東東京大会では2005年に16強入り、2007年と2012年には4回戦進出した実績を持つ。一方高島高校を見るのは4年ぶり、「気は技を制す」をチームスローガンに2012年秋にベスト8、2016年と2018年夏はベスト16、そして2019年夏にはベスト8に進出した守りの野球に徹する都立屈指の強豪校。2020年秋から菊池明彦監督が指揮を執る。都立高には珍しく広大なグランドを持ち、毎週月曜日の朝は学校周辺の掃除を行っている。チーム戦略が異なる“矛”と“盾”の対戦。

1回裏高島は開成先発町井の制球が定まらず、連続四球を選ぶ。2死後に5番相馬がレフトオーバーのタイムリースリーベースヒットを放ち、“盾”野球が2点を先制。開成は2回裏に捕手安田が2秒10前後の送球をセカンドベース上に投げ、スチールを2つ刺し、「流れ」を呼び込めるか期待した3回表、いずれもボール球を振らされ三者三振に。これでは「流れ」を相手に渡しかねない。案の定、その裏にサードの失策と四球から3番玉城がライトへのタイムリースリーベースヒットで2点を追加、さらに4番木村のライトへの犠飛で1点を追加し、5対0と高島が主導権を握る。打ち勝つ野球を標榜する“矛”の開成の初ヒットは4回、1番松永がセンター前に放つが、1死後に三振ゲッツーで無得点。しかし、ここまで12人が打席に立ちファーストストライクを見逃したのは一人だけと攻撃野球の片鱗を見せる。その裏3連続四死球与え、満塁とされると1死後に押し出し四球を与え1点を献上。ここまでに9つもの四死球を与えてはなかなかゲームを作れない。5回、開成は4番、5番の連続ヒットにワイルドピッチも加わり、無死2、3塁と反撃開始かと思われたが後続が打ち取られ、さらに2死後に3塁ランナーの飛び出しもあり、またも無得点。その裏、またもや四球からのチャンスで7番町山がタイムリーと相手が与えた好機を確実に得点する高島。続く6回裏に1番有木がヒットで出塁後スチールを決め、3番玉城がこの日2本目のタイムリースリーベースヒット、続く4番木村が3回と同じように犠飛を放ち9点差に。7回開成は2番からの好打順も三者凡退に打ち取られコールドゲームが成立し、ゲームセット。

スコアを見ると“盾”が“矛”先を折ったようなゲームに思えるが、ヒット数は開成4本に対し、高島が5本。両校失策は1つずつ。開成投手陣が10個の四死球を与え自滅し、ゲームを作れなかったことがすべて。また打線が喫した8三振はすべてボール球を振らされたもの。「相手どうこうではなく、自分たちの力を出せなかった」とは試合後の青木監督のコメント。大会初戦の“入り”の難しさもあり、ハマることなく初戦敗退となった。高島先発左腕角津田は無四球で7回を完投、3番玉城は小柄ながもライナー性の長打を放つバッティングを見せたが、今後インコースの速いストレートをどの程度捌けるかを見たい。

開成 000 000 0= 0  H:4 B:10 E:1
高島 203 112 *= 9  H:5 B:0   E:1
*Bには死球を含む

(可里 了)



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