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自由の為に嘘をつく「バリーリンドン」解説

「美しい者も醜い者も、今は等しく皆あの世」

自由を求める為に嘘をつき続ける。

アメリカからイギリスに渡ってきたキューブリックはイギリスの階級社会に直面しそれに対する皮肉もあからさま。地位や権力のために戦ったバリーだが違う、階級社会をなくす戦いをすべきだと言いたかったのかもしれない。

ーテーマー

主人公はエドモンド・バリー。英国の植民地だったアイルランドで貧しい青年バリーはヨーロッパを旅し、数奇なめぐり合わせの結果、バリー・リンドン卿としての地位を獲得していく。映画は2部構成となっており、前半はエドモンド・バリーがバリー・リンドン卿になるまでの出来事を、後半はバリー・リンドン卿の悲しい運命を描く。これを見て思う。彼にとって一番幸せな時間はいつだったのだろうか?僕には、経済的にも社会的な地位にも恵まれたリンドン卿としての生活が一番幸せな時間だったとは思えない。もしかしたら、この世における一人の人間の人生というものは、このようにはかなく、せつないものなのかもしれない。それはいつの時代も変わらないのだ。

決闘によって幕を開け、決闘によって幕を閉じるバリーの物語は、結局400ギニーの年金と引き換えに片足を失っただけの、とても空虚なものだった…。

ラストの言葉「美しい者も醜い者も、今は等しく皆あの世」で一気に映画が締めくくられる。どんなに威張った人間でも成功した人間でも死んだら皆同じ。

さらにこの映画で伝えたかったことは階級なんてあるべきではないと言うこと。アメリカは当時独立し世界で初めて階級のない世界ができた。みんなが平民でみんなが歴史を動かせるようになり民主主義ができたのだ。

ー主人公役ライアンオニールー

この人はアメリカでは評価がかなり低く頭が悪いと評判でした。ペパームーンで主役を務めるも本当の娘で娘役を演じたテイタムオニールだけがアカデミー賞にノミネートされました。娘に嫉妬したライアンオニールは会場に行かなかったようです。さらに子供に虐待もしてたそうでここも物語と被って来ます。

主人公は同じような馬鹿で権力をものすごい気にする性格です。なのでこの役をライアンオニールが演じるのは意味があります。

ー父親を求める主人公ー

イギリス軍の時でもその後プロイセン軍で戦うことになった時も、スパイのために潜入した時も父親のような存在を助けています。これは明らかに父親を小さい頃になくしたバリーの父親を求める姿です。

ー当時の決闘ー

交互に相手を撃つという一見よくわからない決闘見えますが当時の銃は狙い通りのところに打つのはかなり難しかったそうです。さらに撃つ度胸もこれで試されてたそうです。

ー避けずに弾丸を受けて行く横列行進ー

これは事実だそうです。横に並んでるのは大砲による大量死を防ぎ、密集した状態で敵陣に攻め込めば有利になるため。

無線がないため指揮を伝えるために密集している。さらにもう一つ、当時は金のため貴族が戦争を起こしていた。そのため他の兵隊たちは雇われているだけで戦闘意欲はなくいつ裏切られるかわからなかった。そのため密集し逃さないようにしロボットのように動かした。

ージャンルー

高等で上品なコメディである。原作者もキューブリックもそのようにいってるがキューブリックはあえてコメディに見えないように作ったそう。それはあからさま過ぎるのが嫌いなのとインタビューを拒み続けた理由として「物語の中で大事なことは観客に見つけて欲しい。作者が言ってはダメなんだ」と言ってる。これはあからさまのコメディにすると貴族社会を笑うものなんだと押し付けてしまうからなんだと答えてる。

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