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#社員紹介/スーパー家事能力列伝

noteのお題に、一緒に働いている人を紹介してください、という企画があります。私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。これから紹介する人は、手続き上は利用者です。しかし、毎日一緒に働いていることにちがいはありません。そんな人たちを紹介します。

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今日紹介をする人は、知的な障がいがあり就労には課題がある男性です。しかし、彼は家事全般の能力が秀でています。今日は、彼の「スーパー家事能力列伝」です。

調理が得意です

彼の家庭は共働きです。両親は、親がいないときに困らないようにと彼に最低限の調理を教えました。彼はそこから調理に目覚め、一人でいろいろな料理を作ることを覚えました。

彼がまだ養護学校高等部のころのことです。いつもなら家にはいろいろな食材が置いてあります。しかし、その日は食材が切れていました。そこで彼は、うどん粉をこねてうどんを作り、それを茹でてしょう油で食べたと言います。その後、私の事業所に来てからは、給食のカレーや肉じゃがなど、15人分を彼一人で作ることがありました。

しかし、この能力が裏目に出る事件が起きました。彼がグループホームに入居してしばらく経ってのことです。グループホームで、朝食材料が足りなくなるという事件が続きました。ちょうどそのころ調理好きの彼が太り始めました。よくよく調べると、彼は夜中に一人で、朝食材料を使って夜食を作っていました。そのグループホームは支援の必要な人が少なく、支援者が不在の時間がたくさんあり、発覚が遅れました。さらに、彼は調理と一緒に洗い物の能力も秀でていて誰も気づきませんでした

洗い物が好きです

彼の両親は、料理を作るだけでなく片付けも教えました。彼は、料理を楽しむのと一緒に食器洗剤に夢中になりました。洗い物をしているときの彼の笑顔は最高です。キャキャ言いながら、まるでダンスをするかのようにリズムを刻みながら食器を洗っています。また、最後はシンクまで磨き上げます。彼が洗い物をした後は、シンクが輝いて鏡のようになります。しかし、この働きにも課題があります。

彼が、洗い物を始めるとなかなか終わりません。気がつくとシンクがアメリカン映画に出てくる泡風呂のようになっています。小さな小さな泡が宙を舞っています。食器洗剤の残量が、一回で1/4とか1/3になります。彼を止めるタイミングが重要です。

スーパー家事能力列伝

彼の磨く能力は、ステンレスにとどまらず、壁や家電の汚れにまで発揮されます。一時期、彼のズボンのポケットには、ボンスターが入っていました。彼は汚れた壁をみつけるとmyボンスターでその壁を磨いていました。また、洗濯機や電気のカバーを磨くのも得意でした。

ある日、彼は地域の福祉施設から大掃除の手伝いに呼ばれ、日当をもらってきたことがあります。

彼だけではなく、特異な才能を持った人がいます。それを上手に社会に繋げていくことも私たちの仕事の一つです。しかし、それが広がって行かないのが現状です。

こうして言葉にすることで、あらためて彼の様子や課題を確認することができました。

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