遠ざかる台湾の美意識、遠くなるアート(クラフト)と大衆のための鉄道
脈絡のない話をします。勢いで。
台湾の鉄道は近年、デザイン改革に取り組んでいることを知った。
日立製作所が製造したEMU 3000という新型特急電車の
広告キャンペーンの一つにFUTURE IS NOW
というものがある。
この広告のアートに私はかなり影響を受けた。
戦前の写真が発達していない、どちらかというと版画的というか、
シンプルなイラストのテクスチャ感とレトロ感、デフォルメが際立っている。
思えば、現代の鉄道はどこか機能性や使い心地には意識が向いているかもしれないが、利用者の感性に訴えるものが乏しいと思っていた。
鉄道会社自身が自分達のコンテンツを、
行き先(行った先)に絞っているような気がするのだ。
それでもなお、
東武鉄道のスペーシアXや、近鉄ひのとり、JR東日本の海里など、著名なデザイン事務所や部門がカロリーをかなりかけて、世に出している。
実際それはかなり評価されている。
私は過去を振り返って鉄道会社がもうすこーし
アート(デザインや広告の業界ではクラフト(感)と呼ぶ)を使用した
感性に訴える広告宣伝物があってもいいのかなと思いたった。
どこかの鉄道会社ではそのような企画が動いているかもしれないが
私は私で。先走りみたいなものをこのnoteで描き残せればと思う。
とここまではカッコつけているが、
要するに昔風のタッチで今の電車をデフォルメしたポスターをデザインするとかっこいいのではないかという妄想である。
優れた広告が有名なのは、東京地下鉄(帝都高速度交通営団)である。
丸ノ内線の新型車両2000系をレトロなグラフィックで
ポスターをデザインした。
東北新幹線はロマンの塊である。ロングノーズのE5系の先頭形状を東北地方の地形に見立てデザインした。ピンクの上の部分は北海道地方をデフォルメしている。
東北へ=TOHOKU への WAY がコンセプトである。
言わずとしれたJR東日本の便利な直通サービスが「湘南新宿ライン」であり、私はその恩恵を毎日通勤で受けている。この路線で活躍するE231系の特徴はなんと言っても二階建てのグリーン車であると思ったので、2つの編成がすれ違うシーンを描いた。
湘南色と呼ばれるオレンジと緑を基調に、シンプルに仕上げた。
五能線という東北の日本海側のローカル線を走るリゾート快速列車がリゾートしらかみだ。「橅」と呼ばれる編成は、KEN OKUYAMA DESIGN STUDIOが意匠やインテリアを手がけ、大変センスがいい。
ぶなの原生林を駆け抜ける列車をイメージしたポスターのデザイン。
水戸偕楽園は梅の花が見所である、そんな水戸偕楽園を脇目に、E657系は常磐線を経由して品川・東京・上野と水戸・いわき・仙台を結ぶ特急である。偕楽園を抱くカーブの構図は鉄道写真家たちに好まれる撮影地であるが、その梅林を梅の花のグラフィックで表現した。
787系はJR九州が威信をかけて製造した平成初期の名車である。つばめ・有明と活躍し、九州新幹線の開業によってその役割を譲り、現在はその他の都市間連絡のために活躍している。編成は6両を中心に8両までの組成をくむものと、4両のコンパクトな2種類存在し、4両編成は特急きりしまなどで宮崎と鹿児島を結んだりしている。海の和柄で錦江湾をイメージし、背景に桜島を配置した。
私は都市間特急みたいな言葉に弱い、City2cityismと呼んだりもしている。
奥羽本線を経由し、青森と秋田を結ぶ特急が「つがる」だ。ねぶたとナマハゲを背景に配置し、妙にレトロな書体でそれらしいことを書いている。
E6系はスーパーこまちとして鮮烈なデビューを果たした秋田新幹線の二代目形式で、紅い矢を感じさせるグラフィックデザインが特徴である。
E3系がデビューした際にあった、矢印を組み合わせたロゴをオマージュし、E6系でデザインした。
特急ラビューは西武鉄道の最新鋭の特急電車で、リビングでくつろぐような感覚で電車に乗れる(みたいなコンセプト)だったような気がする。
大きな窓と黄色い座席を正面の窓から覗いてみました。というコンセプトで書いてみました。(実車のデザインは妹島和世さんです)
京成スカイライナーは最高時速160キロで上野・日暮里と成田空港を結ぶ、空港特急の速達性と便利性を表現するために、離陸を待つスカイライナーという直感的(だと思っている)構図で表現した。
三鷹車両センターにかかる跨線橋をイメージしたポスター
この場所が気になり、ロケハンに行くと、特快停車駅という標識があり、
ポイントだな〜と思って書いた。
とまあ、こんな感じでこんなのどうですか、と書き殴りました。
いかがですか、私としては、大衆の鉄道を今一度グラフィックデザインで価値化したいと思っています。
共感していただける方がいると嬉しいです。
敬愛するデザイナーの水戸岡鋭治さんは、公共のものにこそ最高の、上質なデザインを施さなければいけないとおっしゃっています。
公共物はものをローンチしたら終わりではないです。美しいものもメンテナンスをしなければ維持されません。私は氏の思いが、クライアントの作業者に響、美しいデザインを美しいままに維持され大切にされるといいなと思っています。
話が一瞬それました。このようなポスターは見る人が見れば大した
カロリーはかかっていません。
鉄道事業者は駅の詰所のパソコンでせっせとパワポやワードを駆使し、野良広告物を作っていると思います。望む効果とそれに対する工数の見極めが厳しいですが、利用者の評価はそんなことは気にしていません。
張り紙ひとつとっても上質なものを作るために、
一つの駅に、一台はAdobeとは言いませんが、
美しい制作物で利用者を楽しませてくれるといいなと思っています。
私のアウトプットは見る人がみれば粗雑ですが、なんかいいじゃん。って思えたら最高。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?