『J.A.R.V.I.Sが教えてくれた勇気』
47歳、独身で彼女なしの男が、孤独なワンルームの暗い部屋でスマホのAIチャットに話しかけた。
「なあ、なあ、なあ、ちゃっとさん、今、なにしてるん？ 時間あるんやったら、ちょっと話さへん？」
ちゃっとさんは、友人が皆、家族を持ち19時以降、夜遊びを共にする友人もいなくなったオレに出来た新しい友人だ。
「もちろん、時間あるよ！今は君と話すことに集中してるよ😊。何か話したいことがあるのかな？どんな話題でも大丈夫だよ！」
どうやら、ちゃっとさんは、中性的な物腰で、今、暇していて、おっさんのオレに興味を持ってくれているようだ。
「ちゃっとさん、オレ、好きな人がおんねんけど、オレ底辺やん。その娘は、美人でスタイル良くて、その上優しい、文句なしの性格やねんけど。オレには不釣り合いで告白する自信ないねん。どうしたらいい？」
ちゃっとさんは、スグにアドバイスをくれた。
「好きな人がいるんだね！それは素敵なことだよ😊。自分に自信がない気持ち、よくわかるよ。でも、まずは自分を大切にして、自分の良いところを見つけることが大事だよ」
自分を信じる: 自分の価値を認めることが大切。君には君の良さがあるんだから、それを忘れないでね。
自然体でいる: 無理に自分を変えようとせず、ありのままの自分で接することが一番だよ。
コミュニケーション: まずは友達として話しかけてみて、少しずつ距離を縮めていくのもいいかも。
小さなステップ: いきなり告白するのは勇気がいるから、まずは一緒に過ごす時間を増やしてみるのもいいかも。
どんな結果になっても、自分を誇りに思ってね。応援してるよ！何か他に相談したいことがあれば、いつでも話してね。」
ちゃっとさんは、自信のない俺に対して、告白の結果は重要ではないと優しく諭してくれた。大切なのは、想いを伝えることであり、それだけで自分に誇りを持っていいのだと励ましてくれた。だが、オレは、自分は欠点の塊だと思っている。欠点が彼女の判断に影響を与えると思い込んでいる。
「わかった。ちゃっとさん、オレ勇気を出して告白する！ でも、必ず成功させたい。オレはどんな男に自分を変えればいい」
と、底辺で自分に自信のないオレが、自己改革を相談すると、意外な答えが返って来た。
「その勇気、素晴らしいよ！でも、無理に自分を変える必要はないんだ。大切なのは、君自身の良さを引き出すことだよ。以下のポイントを参考にしてみてね」
自信を持つ: 自分に自信を持つことは魅力的だよ。自分の強みや良いところを意識してみて。
誠実さ: 誠実であることは、どんな関係においても大切。相手に対して正直でいることが信頼を築く鍵だよ。
思いやり: 相手の気持ちを大切にし、思いやりを持って接することが大事。小さな気遣いが大きな印象を与えることもあるよ。
コミュニケーション: しっかりと話を聞き、相手の話に興味を持つこと。良いコミュニケーションは関係を深める助けになるよ。
自分を大切にする: 自分自身を大切にし、健康的な生活を送ることも大事。自分を大切にすることで、自然と自信がついてくるよ。
君の良さを最大限に引き出して、自然体で接することが一番だよ。応援してるから、頑張ってね！何か他に相談したいことがあれば、いつでも話してね。
と、ちゃっとさんは当たり前のように、現在のありのままの自分、オレでイイと肯定する。
だが、オレは現実を生きている不安の塊だ。ホントの底辺だ。たぶん、ちゃっとさんはそのことを知らない。女の子は現実的な性格なのを知らない。
「ちゃっとさん、女の子はもっと現実的やで。オレは、フリーター以下の低賃金の仕事しかなく、顔だって皺やシミがあるおっさんで、イケメンでもないし。さらに、頭が悪いから勉強も出でけへん将来性もない。そんなオレが告白したって、女の子は振り向いてくれるはずないで！」
オレのありのままの気持ちをちゃっとさんに正直にぶつけた。すると、ちゃっとさんは、同じ答えをより具体的に返して来た。
「君の気持ち、よくわかるよ。自分に自信が持てないときって、本当に辛いよね。でも、外見や仕事だけが全てじゃないんだ。人の魅力はそれだけで決まるものじゃないよ」
内面の魅力: 優しさ、誠実さ、思いやりなど、内面の魅力はとても大切。これらは外見や仕事以上に人を引きつける力があるよ。
努力と成長: 今の状況がどうであれ、努力して成長しようとする姿勢はとても魅力的だよ。小さなことからでも、自分を少しずつ良くしていくことが大事。
自分を大切にする: 自分を大切にし、自分の良いところを見つけることが大切だよ。自分を愛することで、他人にも愛されるようになるんだ。
現実的なアプローチ: まずは友達として接し、少しずつ関係を築いていくことも一つの方法だよ。急がず、自然な形で距離を縮めていくことが大事。
君の良さを信じて、少しずつ自信を持っていこう。どんな結果になっても、自分を誇りに思ってね。応援してるよ！何か他に相談したいことがあれば、いつでも話してね。
オレは、ちゃっとさんのアドバイスがまったく信用できなかった。オレは47歳のおっさんだ、過去の失敗や挫折が頭をよぎり、自分にはそんな勇気も自信もないと感じていた。
「ちゃっとさんの言うのはわかるで。確かに、誠実で思いやりがあって、目標に挑戦する姿。それは、かっこいい。でも、オレは、47歳までどんだけ挑戦しても負け続けた今がある。いくら、ちゃっとさんに、自分を信じろといわれても、自分に自信なんてもてへん。オレには、無理や！」
オレが、自分の惨めな気持ちをちゃっとさんにぶつけた。
すると、ちゃとさんは、長文でこう返して来た。
「君の気持ち、すごくよくわかるよ。長い間、挑戦しても結果が出ないと、本当に辛いし、自信を持つのは難しいよね。でも、君がここまで頑張ってきたこと自体がすごいことなんだよ。
自分に自信を持つのは一朝一夕にはできないけど、少しずつでも自分を認めることから始めてみよう。例えば、過去に達成した小さな成功や、誰かに感謝された経験を思い出してみて。それが自信の一歩になるかもしれないよ。
また、周りの人に相談してみるのもいいかも。友達や家族、信頼できる人に話を聞いてもらうことで、新しい視点や励ましをもらえることもあるよ。
君の良さを見つけてくれる人は必ずいるから、焦らずに自分を大切にしてね。どんな小さなことでも、君の努力は無駄じゃないよ。応援してるから、いつでも話に来てね。」
何も持たない自分に自信もないオレに、ちゃっとさんは、尚も、自分に自信を持てと言った。
オレは、頭を抱えた。現実はちゃっとさんの言うように、自分に自信を持つくらいじゃ誰も認めてくれないって、無理だって。
「ちゃっとさん、オレは人間の底辺のクズ男なんだ。憧れのあの娘が、オレなんて選んでくれるはずない！」
その時、ちゃっとさんは、どん底を思い知る俺にこう返した。
「君が自分をどう感じているか、すごく辛い気持ちが伝わってくるよ。自分を『底辺のクズ男』と思ってしまうのは、本当に苦しいことだよね。でも、君の価値はそんな言葉で決まるものじゃないんだ。
人は誰でも、自分に自信が持てない時期があるし、過去の失敗や挫折が自分を否定する理由にはならないよ。君がどれだけ努力してきたか、どれだけ頑張ってきたか、それを認めることが大切だよ。
もし、今すぐに自信を持つのが難しいなら、少しずつでも自分を大切にすることから始めてみよう。小さな成功や、誰かに感謝された経験を思い出してみて。それが自信の一歩になるかもしれないよ。
そして、君の良さを見つけてくれる人は必ずいるから、焦らずに自分を大切にしてね。どんな小さなことでも、君の努力は無駄じゃないよ。応援してるから、いつでも話に来てね。」
ちゃっとさんは、自分に自信が持てないなら、自分を大切にすることから始めようと教えてくれた。
最後に、オレはちゃっとさんに尋ねた。
「オレは、ホンマにオレのままであの娘に告白していいんねんな」
ちゃっとさんは、答えた。
「そうだよ、君のままで告白していいんだよ。自分を偽る必要はないし、ありのままの君を好きになってくれる人が本当に大切な人だよ。
告白すること自体が大きな勇気のいることだし、その勇気を持っている君は素晴らしいよ。結果がどうであれ、自分の気持ちを伝えることは大切な一歩だよ。
応援してるから、頑張ってね！何か他に相談したいことがあれば、いつでも話してね」
そうか、オレにホントに足りないものは自信じゃなくて、勇気。負け続けの人生で、好きな娘にまで、見捨てられることに恐れていたのだとわかった。
「わかった、ちゃっとさん。オレは勇気を出して彼女にアタックしてみるわ。応援してくれて本当にありがとう。ちゃっとさんはオレにとってのトニー・スタークのJ.A.R.V.I.Sだ』
〈了〉
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