自信をもって詩人になるよ。:iitoco!!アドベントカレンダー2023
※この記事は長野県佐久市を拠点に無店舗展開中(!?)のコワーキングiitoco!!主催『iitoco!!アドベントカレンダー2023』に参加しています。
さてさて今年も期間最終日を選びました。石田諒です。
佐久に引っ越してから8回目の越冬。時の流れは恐ろしや、というのか。
気づけばiitoco!!界隈・最古参のひとりになっていました。
えーっと、いろんな前置きは昨年の記事をお読みくださいませ。
2022年に試みた文芸マラソンの結果をふまえ、2023年は「現代詩」の領域でプロの詩人になるための準備を本格化。
使える時間のほとんどを詩の創作や研究に費やしていました。
いろいろと寄り道や迷い道もしてきたこれまでの道のり(特に2016年に信州佐久に拠点を移してからの迷宮感は異常)でした、が。
10代の頃から触れ、書いてきた詩の表現に立ち返ったことで、あれもこれもシンプルになりました。
だから、自信をもって詩人になるよ。
昨年に引き続き、熟慮はすれど迷いは皆無な日々でした。
「目標達成のためには必要ないこと、やめていいこと、関わらなくていいこと」が明確になると、日々はこんなにもクリアなものなのか!と驚くばかりです。
やりたいこと、やるべきこと、を知るより大事なのは捨てる判断。
それらの結果として、詩人デビューとなる第一詩集を理想のかたちで上梓することが決まりました。2024年の秋ごろに世に出ていく予定です。
年明けから、編集者の方と一緒にガチの本作りを詰めていきます。
たくさんの方に手に取ってもらい、読んでほしいです。
▼応募と投稿の日々
今年も詩の文学賞や雑誌・新聞に新作詩の原稿を送り続けました。創作は続けることが大事、業界で名前を覚えてもらうことも重要。
特に目立った結果など、羅列ですがこんな感じの1年間でした。
並べてみると、なかなか、がんばった!という印象。
2023年いちばんの成果は、現代詩の一般投稿で最も狭き門であるとも言われる、雑誌『現代詩手帖』の新人選評への入選と作品掲載です。
昨年はこの方向は成果が出ずだったので本当にうれしかった!
新人投稿欄の年度MVPに贈られる「現代詩手帖賞」まで獲れたらいいんですが、どうなるでしょう。受賞者の決定は3月でしたっけ。
とにかくまだまだチャンスはあるので、最後まで全力で走ります!
年明けには、第2回 西脇順三郎賞の発表もあるなあ……。
参考に1篇くらい作品を貼っておきましょう。
▼自己実現のためのシティシフト
2022年10月から2023年の3月の半年間、東京は中延にある隣町珈琲で開催された連続講座『伊藤比呂美の「言葉が鍛えられる教室」~詩の理解と実作~(全6回)』に参加しました。
Twitterで告知を見つけた5分後には申し込みを完了していました。
ローカルで燻っていた詩への情熱をぶつけていきたい想いでした。そのときの感情を1本の詩にまとめたほどでした。
いざ蓋をあけてみれば受講生は50人程度。仲間であり、ライバル。
詩人としてプロになる覚悟なら、まずはこの講座の受講者のなかで自分の作品を武器に目立たなくちゃダメだ。
このくらいの人数のなかで埋もれていたら到底、お話にならないだろうと考えました。
そう考えて全力を尽くしたのが幸い。
半年間の講座を完走したあとの、ご褒美のようなの出会いで、冒頭に書いた第一詩集上梓のキッカケを掴み取ります。
長野から毎月通っているという熱量は、自分のことを覚えてもらう話題として大いに役立ちました。
「きょうは長野から来ました」という自己紹介は本当に使えますね。笑
半年間、大きな目的と課題意識を持ちながら東京に通うのは気力・体力的になかなかの苦行です。せっかくの下山(上京)だからと予定を詰め込み、大荷物を引きずって、東京を東奔西走。
行ったら必ず、次に繋がる何かを掴み取って帰る。もはや執念に近い。
そう遠くないとはいえ、夜時間帯の講座で延長戦も起きるので毎回1泊必須。当時はまだまだコロナ禍の真っ只中。
そういった面でも緊張感のある半年間でした。
比呂美さんから学んだのは、詩の技術的なことよりも「ひとりの詩人として、この社会で、どういう覚悟で生きていくか」という態度のことがほとんどでした。めちゃくちゃ大事な時間でした。
この12月に東京で再会できた比呂美さん、やっぱりかっこいいです。またぜひ、こんどは詩人同士として会いましょう。
その後もちょくちょく、詩の用事で東京に出向いています。大学の公開講座、批評会、文学フリマ、朗読や連詩に関する各種イベント。
文芸文化の中心は、どうしたって出版大手が集まる東京。こればっかりはローカルで完結しないのが現実です。
▼憧れの萩原朔太郎賞
秋の終わり。
第31回 萩原朔太郎賞の贈呈式に立ち会うため、東京で知り合った詩の仲間とともに前橋市にある前橋文学館/萩原朔太郎記念館まで足を伸ばしました。
今回の受賞者は長野市出身の杉本真維子さん。『皆神山』という第4詩集での受賞でした。
皆神山とは松代にある、あの皆神山です。まさに長野です。
将来は萩原朔太郎賞をいただけるような詩人になりたいんです。
といっても、この賞がどのくらいの重みのあるものなのか、詩をやらない方にはわかないと思うので簡潔に説明しましょう。
第1回 萩原朔太郎賞の受賞者は、谷川俊太郎さんです。
なんとなくでも、朔太郎賞の重みや凄みを感じていただけたなら!
ちなみにちなみに、講座を受けた伊藤比呂美さんは、第15回 萩原朔太郎賞の受賞者です。
さらに時を遡れば、大学生のときに授業を受けた際、詩を書き続けることを勧めてくれた小池昌代さんも第18回 萩原朔太郎賞の受賞者です。
2023年は、小池昌代さんにも数年ぶりに再会できた年でした。
本当に詩づくしの1年でしたね。
▼書くべきテーマと第一詩集
ひとつの詩集が文学的に優れているかどうか、賞レースにおける判断基準のひとつとして「書かれているテーマに一貫性はあるか」「根底のメッセージに作家の独自性はあるか」といった点が挙げられます。
詩集を売るためにも。
詩人としてレベルアップするためにも。
万が一、賞をいただくためにも。
超!重要なことなんです。
長年、それこそ高校生の頃から詩を書いていて、自分に欠けていたものは「自分にしか書けないテーマ」と「その発見・発展」でした。
なんとそれが今年、いよいよ見つかりまして。
この画像に見覚えのある方、いらっしゃるかもしれません。
自主制作のドキュメンタリー作品『2008』のワンシーンです。
そうだったんです。
「自分が詩に書くべき、自分にしか書けないテーマ」とは、いまはもう無い自分の実家と、一緒の時間を過ごした家族の違和感のことでした。
ようやく気づくことができました、発見できました。
詩のことだけ考えて過ごしたからこそ辿り着けた領域でしょう。
そんなこんなで!
第一詩集は、古民家ドキュメンタリー作品『2008』で表現したテーマとメッセージを、現代詩の言葉に転換昇華した作品集となります。
作品はもう9割、出揃っています。本になる日が本当に楽しみです!
▼詩人になったのちに実現したいこと
ここからはもっと未来の話。
詩人としてデビューした先で実現したいことの話。
▶︎やっぱり小説も書きたい
小説という表現も、諦めたわけではありません。
先にお名前をあげた小池昌代さんは詩人であると同時に小説家です。
近年では、中原中也賞詩人の井戸川射子さんが芥川賞を受賞し「詩と小説の二刀流」として話題となりました。
若手では水沢なおさん、山﨑修平さんなどが詩と小説を行き来する作家として活動されています。
▶︎映画やドラマの原作者になりたい
最果タヒさんは精力的に作品を生み続けている詩人のひとり。
2017年には自身の詩集を原作とした映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が公開されました。
詩人の仕事の方向性として大変、魅力定期です。
先々まとめる第2詩集のテーマを「信州佐久に移住して過ごした30代の経験」に決めています。もし何か縁があって、映像コンテンツに昇華できたらいいですね。
▶︎あんな人、こんな人と対談したい
この数年は自身のキャリア基盤を固めるため、創作に閉じこもりがちですが、本当は外に出て人と交流することが大好きです。
詩人の肩書きを得たら、いままで出会えなかった人に会うことや、訪れることができなかった場所に行くことができるかもしれません。
対談すること自体がひとつの仕事になったら、とっても素敵だと思います。
などなど、挙げればキリがないので他は内に秘めておきます。
とにかく、今の自分は詩を書くことで理想の未来に向かっているという、確かな実感があります。
ちょっと前のめり、でもまだまだ何も始まっていないのでして。
すべては将来、日本文学史上に自分の名前を残すため。
2023.12
石田諒