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街のフィルムカメラ統計

街を歩いていて何に目が行くかは人それぞれだと思う。たとえば美容師さんは人々のヘアスタイルが気になるだろうし、靴職人なら靴を見るだろう。

同様に私も人が持っているカメラをどうしても見てしまう。前方から来る若い人の肩から提げられた一眼レフを、すれ違いざまにチラッと見て離れた頃に、「ニコマートFTN後期型ブラック。オートニッコール50mmF2C。新品同様。レンズ込み1万6千円。ボディは頑丈でレンズはキレのある写り。良いチョイスだ」などとつぶやき妻に呆れられるのである。

最近ではカメラを所有せずにスマホだけという人も多くなった。街で見かけるカメラはそのほとんどがデジタルカメラだ。昨年2022年のゴールデンウィーク。ふと思い立って街で見かけたフィルムカメラについてメモを残し始めた。期間は2023年のゴールデンウィークまでの1年間と決めた。

日付、曜日、時刻、場所、持っていた人の特徴、だいたいの年齢、カメラとレンズ、ストラップや持ち方、撮影中であれば何をどう撮っていたか、などである。

なお、カメラ店や中古カメラ店の店内とその付近、写真展会場などで見たものはカウントしない。あくまで駅や街や公園などで見たものに限った。

結果発表!テッテレー♬

日付・曜日・場所は省く。

目撃総数
19

男女比
男性 15
女性 4

年齢(推定)
20代 9
30代 5
40代 2
60代 2
50代 1

カメラメーカー
オリンパス 6
ニコン 3
ローライ 3
ペンタックス 2
ミノルタ 2
コニカ 1
キヤノン 1 
ライカ 1

記録には「40代夫婦の妻の方 小太りで赤色ギンガムチェックのワンピース」とか「男性20代派手なズボン 南海キャンディーズの山ちゃん似」などの特徴や、撮っている様子など細かく書いてある。

さてここから分かること。

まず性別。「カメラ女子」などと言われているが、圧倒的に男性が多かった。私の行動範囲によるものもあるだろう。わざわざ調査のために出かけることはしなかったからだ。

次に年齢。推定年齢だがやはり若い人が多い。実際にフィルムカメラを使ってきた世代は、すでにそれを手放しているか、あるいは実用している人が減っている。

そしてカメラメーカー。これはオリンパスとローライが予想外に健闘している。機種でいうとオリンパスはペンの存在が大きい。機種までは特定できないが、簡単仕様のペンEE、EE-S、EE-3あたりを複数見かけた。すべて若い女性だった。あとは一眼レフのペンFT。

ローライはローライ35がお洒落なカメラとして、お洒落な人に愛用されていた。あとは二眼レフのローライフレックス。珍しいローライSL35も見た。

ニコンはお金持ちそうな中高年男性のF2チタン。若い男性のフォトミックFTNブラックなど。

ペンタックスは2台だけだったが、どちらも若い人でMX。これはちょっと嬉しくなった。

まとめ

先にも書いたが、やはり20代30代の若い人が多い。フィルムカメラを「知らないもの」「お洒落なもの」として認識している世代だ。これが40代以上になるとグッと減る。私は現在58歳だが、周囲の同世代で日常的にフィルムカメラを使っているのは、私の他には一人しかいない。前回の投稿で書いた母校に勤務するAである。彼は写真作家でもある。もう絶滅危惧種と言えよう。

最後に

2022年のGWから2023年のGWまでと決めて記録を取った。そして発表しようと考えていたが、最近まで忘れていた。何故かと言うと、街で最後にフィルムカメラを見たのが4月23日だったのだ。感染症が落ち着きを見せ街に人があふれても、その頃からフィルムカメラは全く見なくなった。

Instagramの@ryoichi_asahi02で5月26日に、リバーサルフィルムの大幅値上げにともない、フィルムでのカラー撮影を終了する旨の投稿をした。フィルムによるカラー撮影への鎮魂歌である。感覚的にほぼ2倍の値段になり、もう不可能だと判断した。

NikonS2
Voigtlander SC SKOPAR 25mmF4
FUJICHROME PROVIA 100F

肉眼で見て、露出を決めて、単体ファインダーに目を突っ込んでドンと撮る。1950年代の無駄のないボディ。対称型で歪みの少ないレンズ。スキャンデータでも分かる、光で描くリバーサルフィルムの奥行き。デジタルで近いものも作れるけど理屈じゃないのだ。

このnoteでは3月30日に「フィルムについて現時点で思うこと」と題して、富士フイルムがカラーフィルムを一時的に受注停止した時点での考えを書いた。それから2か月半ほどが経ち販売再開されたが大幅値上げになった。ヨドバシ価格で3,960円!ポイント分を差し引いても1コマ当たり100円!再販になったら1本だけ撮るつもりだったが、それすら無理な価格となった。

今日は久しぶりに現像した。フィルムカメラ特有の強い撮り方は続けたい。しかし今回の富士フイルムの供給中断と大幅値上げは、ひとつの文化を終焉に追い込んだ感がある。フィルムの現像システムは、インフラのような要素もあり難しい。

モノクロフィルムが現在よりもっと値上がりし、自家現像が難しくなったら、その時がフィルムを辞める時だ。

工夫して続ける方法もあるだろうが、自分のやり方を替えてまで続けるのは意味がない。


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