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西巣鴨短歌、夏、弐

秘事を楽しむふりする熱帯夜好きと言ったら夏が終わるの

マルボロとパーラメント絡み合うヤニに痺れた我らの唾液

手の甲に垂れたアイスを舐め上げてオメガの時計に舌が触れる

ネクタイを解く一瞬少しだけ酷薄そうに我を見る君

こんなもの恋ではないと言い聞かせ好色そうに振る舞う我ら

投げつけたビールの空き瓶初めから知っている俺に当てたりしない

今ここにあなたがいればいいのにと違う男の寝息を聞いている

灰皿にすり潰された煙草二本裸で伸びてる我らにも似て

避妊具を掴んだつもりの枕元日差しに溶けたペコちゃんキャンディ

砂浜と足を濡らした缶ビールまとわりつくは星の砂と蟻

夕闇にベッドシーツを握りしめ窓から忍ぶは栗の花の香

三日目の無精髭にくすぐられ頬寄せ合う姿恋人のよう

この部屋が暑すぎるせいか別れ際舌が離れても息ができない

ガリガリくん口移しする男2人坊主頭の子供が見ていた

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