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5.新ハムレット

おしるこです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は新しく始めたインターンシップで精神・体力共に削られております。もう早起きも満員電車も億劫で仕方がないです。
冷静に考えて、週5で働いてはる社会人の方々すごすぎませんほんまに???


気を取り直しまして、今回の1冊はお馴染み太宰治先生の「新ハムレット」です。本当は他の文豪の作品もたくさん拝読させて頂いているのですが、読むスピードにnoteを更新するスピードが追いついていないため(どういう状況)、近頃太宰先生三昧となっております。また近日中に更新します。

当作品なのですが、もう初めに言うときますと自分の人生の1冊にしたいくらいに惚れ込んでおります。
キャラクター同士の勘違いとそれ故に噛み合わない会話、そしてやっぱり思春期のハムレット。悲劇とユーモアから垣間見える人間関係。もう全部がいとおしい。

気を取り直して。

以下より少々ネタバレを含むのでご注意ください。

作品の中で1番印象に残っているのは、ハムレットとオフィリアの恋愛観の違いとそのやり取りでした。私は、2人の掛け合いは「愛情表現で対立する男女」という説明で完結するものでは無いと感じます。

オフィリアにとって愛とは気持ちであり、心の中にその誇らしい想いを秘めていること自体に価値がある。
一方ハムレットの場合、愛は感情に留まらせず、恥との葛藤の末に言葉にして初めて本物になると主張する。

両者とも納得のいく意見です。(主観的解釈)
過去のnoteでも書いた通り、太宰作品の主人公たちは、どれも"既視感"というか、"太宰治感"があります。しかし本作品では、ハムレットからはあまり太宰先生っぽさを感じることはありませんでした。むしろ作中に出てくる全てのキャラクターがそれぞれほんの少しずつ太宰先生を背負っていたような気がします。
となると、オフィリアとハムレット、2人の価値観は太宰先生が生涯もがき続けた「愛」とやらに対する心の葛藤を、作中の掛け合いを通して言語化したものかもしれません。粋やなぁ。

この構想が意図的か偶然が私の妄想かはわかりませんが、少し長めの読書感想文をこの辺りで締めさせて頂きたいと思います。

秋が近くなってまいりました。引き続きお身体にお気をつけてお過ごしください。
皆様に小さな幸せがたくさん訪れますように。


文献- 「新ハムレット」  太宰治(文藝春秋社版)

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