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将来の夢についての覚書

小学生の文集によくある定番の質問といえば、”将来の夢”だろう。
5年生のとき、僕の友達でとにかく運動神経がバツグンで、走るのが速かったタケちゃんは将来の夢として、
「西野くんとラーメン屋をする!!」
と書いていた。タケちゃんと西野くんは仲が良かった。でもなぜラーメン屋だったのか。タケちゃんも西野くんもラーメン好きの印象はなかった。
ふと気になって、西野くんの将来の夢を見てみると、
「医者」
と書いていた。
小学生ながら、二人の温度差、すれ違いの悲哀がとても可笑しかった。
タケちゃんは、西野くんの夢を見たとき、どう思ったんだろう。


二人の現在

タケちゃんは、西野くんとラーメン屋をやってないし、
西野くんも、医者にはなっていない。
小学生の文集に書く将来の夢なんて、その程度のもんだ――。


将来の夢と、ボク。

じゃあ僕はといえば。小学校の文集、将来の夢には、「漫画家」「プロ野球選手」「映画監督」と書いていた気がする。

「漫画家」
当時、休み時間になると、友達と5ミリ方眼にひたすら漫画を書いていた。だから「漫画家」になりたい気持ちもあったのだろう……。無理だと分かってたけど。

「プロ野球選手」
硬式野球のクラブチームに入って、割とガッツリ野球をやっていた。だから「プロ野球選手」になりたい気持ちもあったのだろう……。無理だと分かってたけど。

「映画監督」
どうして「映画監督」なんて夢を書いてたのか記憶がハッキリしない。映画少年というわけではなかった。金曜ロードショーのジャッキーチェンやインディージョーンズが好きだった、映画といえばそんくらいのもんだ。
あの頃、深く考えたわけでもない将来の夢のひとつ――「映画監督」。
20年以上の時間が流れて、どういうわけか「映画監督」の夢が叶うことになった。人生はよく分からない。フシギなもんだ。

一生懸命、映画監督になる努力をしたわけじゃない。
自分のやりたいこと、面白いと感じるものを、ひとつひとつやっていたら、気がつくと映画監督の道へと進んでいた。

将来の夢が叶うなんて、贅沢な生き方をさせてもらっている。
正直いって、運が良かっただけだと思う。

運よく叶った将来の夢を、手放さないように精進しなきゃと思っている。
じゃなきゃ、バチが当たりそうだ。

この文章を読んでも、なにも得られるものはない。
ただ、自分のための覚書として、この場に書いておこうと思った。

まだまだ無名のド新人です。溢れるいっぱいの夢を、ひとつずつカタチにして活躍できるよう、ひたすら精進です。