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事業開発フェーズごとに求められるBizDevとPdMとPMMの職能を整理してみた

こんにちは。IVRy代表の奥西です。
普段は、月額3000円から利用できる電話自動応答システムのIVRy(アイブリー)の事業全体のマネジメントをしつつ、プロダクトマネジメントを行っています。
最近はIVRyの累積アカウント数も5,000を超え、数多くの場所で使われるようになってきました。


0. 本題に入る前に、軽く経歴など

普段は、広義なプロダクトマネージャーとして、事業戦略からサービス全体の設計や、プロダクト戦略、営業・マーケ戦略など、幅広くサービス運営を行っており、過去のキャリアとしても上記と同等の守備範囲をリクルートの新規事業でプロマネ(広義なプロダクトマネージャー)として行ってきました。

僕自身はリクルートでは、「新規事業を作る上で必要なスキルをすべてつける」を目標設定としていたこともあり、最近の狭義のPdMではなく、プロダクトトライアングルのスキルをすべてつけたいと考え、かなり広範囲な業務(UI/UX、ビジネスモデル開発、ビジネスアライアンス、AD、SEO、CRMなど)とインプットを行っていました。(システム開発スキルだけは、大学院が情報工学専攻だったため、学生時代に元々ある程度持っているスキルだった)
※後述する箇所で、PdMのイメージがズレる気がするので、あえて狭義・広義としています。広義のPdM→事業開発にまつわるすべてをやる人(昔はそんな感じの空気感だった笑)、狭義のPdM→ソフトウェア開発に関するすべてをやる人(今は職務要件が整理されて、BizDev・PMM・PdMに分割されていったんだろうなというイメージ)

当時の意識としては、起業した際に事業開発において、すべての各論で一定以上のクオリティを発揮できるほうが失敗が少なそうと考えていたので、本当に事業開発で必要なすべてをキャッチアップするイメージで、なにかの100点を取るのではなく、面積としてスキルを鍛えようと思って、すべてを60-70点ぐらい取るを目指して業務やインプットを行っていました。
なので、もちろん全部完璧なんて口が避けても言えないですw

もう1000回ぐらいは目にしたであろうプロダクトトライアングルを再掲

この図は本当によくできていて、例えば、メディア事業を行う場合は、ユーザ理解とSEOなどのトラフィック構造を理解し、集客構造を落とし込んだプロダクト設計を行う必要がありますし、メディアの在庫型ビジネスを行う上では、アライアンスやビジネスモデル開発を行い、適切なコンテンツが掲載される仕組みを作る必要があります。
また、新しいビジネスの検証を行うために、事業計画の策定やプロダクトビジョンやマイルストンを設計しないことには、プロダクト開発も進められません。
※当時、このトライアングルが求められていることを知ったときは、驚愕しましたが、あれから7年ほど修行を続け、ようやくおおよそのことが60-70点程度できるようになってきたなと思います

1. なぜこの題目なのか?

最近のIVRyは、全員採用の効果もあらわれはじめ、採用面談が増えてきました。
そんな中で「BizDevや事業開発できる人を目指したいです!」であったり、「PdMになりたいです!」といった人や社内のキャリアでも「ゆくゆくは事業開発に〜」みたいな話を聞くことが増えました。
そんなときに、「BizDev良いですね〜!PdM良いですね〜!」なんてよく言っているんですが、「そもそもBizDevってなにする人と定義されてるの?」「PdMって言ってる目線みんな違うな?」と思い始めたこともあり、自分の中で、「そもそも事業開発フェーズごとに、それぞれの職種でどういう要素が必要なんだろう?」を言語化して、共通認識ポイントを作った上でコミュニケーションできるようにしようと思いました。

そのため、今回のnoteでは、僕の中で考えてみた思考の言語化となるので、様々な考え方や思想感があるのは理解している上で、自分自身の現状の考えを記載していこうと思います。

2. 事業フェーズと事業開発

ざっくりですが、事業全体のフェーズをよく言われる "0-10", "10-100", "100-1000" で分け、それぞれのフェーズごとのアジェンダ(フォーカスポイント)と、やることを整理してみました

事業フェーズと事業開発フェーズのポジショニングイメージ

"0-10" フェーズ

まず、"0-1" というのは、事業立ち上げだと考えている中で、どうせその後の検証まで事業開発すると思いますので、わざわざ分割する必要がないかなと思い、 "0-10" としてインクルードしておきました。

その上で、"0-10" フェーズにおいては、「顧客に課題はなにか?」「ソリューションは刺さっているか?」を確認しつつ、4P(Product, Promotion, Price, Place)を検証していくことが重要だと考えています。
※いわゆるPSF(Problem Solution Fit)PMF(Product Market Fit)を確立していくイメージ

スキルとしては、ビジネスモデルを開発していくことが求められるので、スピーディーにプロダクト開発ができる能力(問題設定をSimplifyし、MVP開発するなど)や、実際の販売モデルを検証する能力(様々なチャネルでのCPA/CAC検証やプライス設計など)が必要となります。
また、1stクライアントを捕まえてくる巻き込み能力推進力も必要となります。
さらに、この "0-10" フェーズは、俗に言う新規事業開発フェーズとも言えるのかな?と思っており、アイデア発想が得意な人材の必要性が増え、なにも型が決まっていない中で問題を設定し動いていく必要があります。

別の事業フェーズから新規事業開発フェーズに環境を変えて、働いたときに、経験がなく動き方がわからなくなってしまうこともよくあるので、事業フェーズと必要とされるアジェンダの違いや動き方の違いを把握して、アンラーンしてフィットしていくことが大事だと考えています。

"10-100" フェーズ

"10-100"のフェーズになると、GTM(Go To Market)が求められると思っています。
GTMフェーズでは、「すべての指標や体制が、お金を投下するだけで伸びていくことが蓋然性高く準備できていること」を証明するフェーズだと考えており、ビジネスを金融商品に変えていくフェーズだと思います。

ここで求められるスキルは、組織化・型化のスキルです。
アセットの巨大化(ソフトウェア企業の場合は、多くは人がアセットとなる)に対して、クオリティを落とすことなく、スケールしていける型やオペレーション作り、組織設計(ときにはカルチャー作り)が重要となってきます。

また、事業指標とビジネスの伸びの因果関係を明確にし、KPIマネジメントや事業レポーティングを行う能力も必要となります。
市場の証明においては、各販売チャネルの改善やときには新しいチャネル開発とプロダクト開発といったチューニング部分も存在してきます。

このフェーズでは、これらをバランス良くプライオリティマネジメントしながら、事業を展開していくため、バランス感覚が高い人材が重要だったり、世の中の成功パターンを持ち込み、成功確率の高い打ち手を選択していく引き出しの広さが重要となると考えています。

"100-1000" フェーズ

(実は僕は"100-1000"は経験していないので、解像度が浅いんですが)"100-1000" のフェーズでは、資金や人をつぎ込み、より速い速度で高く伸びていくフェーズだと思っています。
ここでは、 "10-100" のタイミングで設計されたオペレーションに適切に人や資金を配給していくことと、市場シェアの拡大のための競合との競争環境を勝ち抜くユニークな機能開発や販売モデルの確立が求められると考えています。

そのため、このタイミングでは、ビジネスアライアンスをまとめる能力(競合との差別化のための提携、独自の販路開発のための提携)や組織としてのオペレーション最適化による利益率向上が重要となります。
また、資金調達のための事業計画作りも重要となり、より緻密に計画された事業計画と事業計画を達成するための組織・オペレーション・KPIマネジメントが重要となると考えています。

3. 事業フェーズにおけるBizDev・PdM・PMMの役割

ここまで事業フェーズについて、自身の考え方を整理し、言語化してきました。
いよいよ本題の事業フェーズと各職種の関係ですが、個人的には、BizDevやPdM(ここからは少し狭義のPdMとして語ります)、PMMといったジェネラリストな振る舞いを求められる職種では、事業フェーズに合わせたアジェンダを解くための最も足りてないことを実行する担当者だと考えています。
※もはや、ジェネラリストをめっちゃかっこよく言いましたって感じかもと思ってるぐらい笑

また、事業モデルや事業フェーズ、検証ステータス、チームのアセットなどを鑑みたときに、求められる職能が大きく変わるため、「職能の真髄とはなんですか?」みたいな質問に対して、「顧客に向き合う・マーケットに向き合う」のような抽象度の高い回答になってしまうことがどうしても増えるので、世の中における明確な職務の境界線は生まれづらいですし、職種間(BizDevとPMMの違いや、PdMとPMMの違い)がどうしても一般化されていないんだろうなーと思います。

なので、もはや一般論としては、事業開発フェーズにおいて、営業出身者がジェネラリストになるとBizDevマーケ出身者はPMMエンジニア出身者はPdMというイメージで、事業フェーズの軸でそれぞれの職種で求められることを整理してみました。

事業フェーズと各職種のやることイメージ

BizDev (Business Developer)

"0-10" タイミングでは、全体を通して、顧客開発は入っているかな?と思っていますが、実際にお金を支払う方との距離が最も近い営業出身者がプライシングの肌感を持って設定していくことが多いような気がします(toC向けサブスクリプションサービスやセルフオンボードのみのSaaSは別件かもしれませんが)
また、スキルとしては、アライアンス戦略や初期クライアントの獲得など、新規営業開拓能力ビジネスアライアンス能力が重要となると考えています。

"10-100" タイミングでは、セールスオペレーションの確立といった営業推進・事業推進と呼ばれたりするようなスキルが重要となり、個で売る営業力ではなく、組織で売る営業力が問われてくるフェーズとなります。
一方で、ビジネスとしては売上を立たせないといけないバランス感覚が非常に問われるフェーズになると考えています。

"100-1000" タイミングでは、より大きな高さを出す上で、ビジネス指標をマネジメントする経営企画能力や大きな組織を成立させるオペレーション設計能力といったものが重要となってくるフェーズとなります。
また、競合との差別化を行うビッグアライアンスなども必要となります。

PMM (Product Marketing Manager)

"0-10"および"10-100"を通して、販路開発が重要テーマになることが多いと考えています。特にtoBの場合は、複数チャネルの販路を立ち上げないことには高さが出ないことが多いため、かなり重要なテーマとなります。
toCとtoBで違いを感じる点は、toCの場合、絶対に崩れてはいけない高さの出るオーガニックチャネルやアライアンスチャネルが存在しており、そのチャネルの磨き込みが最重要ポイントとなるなぁなんて思ったりしています。
※そのため、toCだと1チャネルについて深い知見がある人が多いイメージで、toB出身者は浅く広いイメージがある

"100-1000" のポイントはやはり独自の販路開発で、独自で磨き込みを続けたチャネルやアライアンスの役回り、組織化への貢献などが必要となってくると考えています。

PdM (Product Manager)

(ここが一番知見があるということもありますが)"0-10" フェーズでは、より早くプロダクト改善が回すことが大切になるので、証明するべき問題設定をいかにSimplifyして、MVP開発(時には実装をしないなど)を行えるか?が重要になると考えています。
このタイミングは、あまり作り込み過ぎず後で進化すれば良いポイントと、実は不可逆で変更しにくいものはきちんと作っておくポイントをマネジメントしておくなど、細かいマネジメントによって、後の開発速度やプロダクトの進化が大きく変わる部分もあります。

"10-100" フェーズで重要なことは、今後のトラクションのスパイクを計算したインフラやアーキテクチャの選定や、アジリティの高い開発状態・体制の実現といった組織開発も能力として必要となります。
また、市場の広がる機能開発や事業指標にヒットする機能開発をマネジメントしていく能力も求められます。

"100-1000"フェーズでは、より高いSLA設計やマルチプロダクトを見据えたプロダクトのリファクタリング、市場シェアを獲得するための競合を睨んだプロダクトアライアンスや機能開発、組織デザインといった少し引いた能力が必要となってくると考えています。

4. 事業モデルと職能

事業モデル上、プロダクト開発にも様々な特性が存在していると思っており、例えば、メディアといったSEOが重要なプロダクト(コンテンツメディア・予約メディアなど)であったり、在庫獲得が必要なプロダクト(ECモールなど)であったり、toB SaaSのように自社ソフトウェアの機能開発が必要といった事業モデルによる大事なスキルが違うと考えています。
これら事業モデルによって、それぞれの職種の必要なスキルの各論レベルの重要度が変わってくるなぁと最近感じていたので、長くなってきたので、触りだけ書いてやめます笑

5. まとめ

ここまで、ダラダラと思考の整理を記載してみましたが、結論として、BizDevもPMMもPdMも「事業を成長させるためのジェネラリスト」なんだろうなと思いました。
(僕もそうですが)多くのジェネラリストの芯には、「セクショナリズムとか役割とかではなく、単純に目の前のお客さんや事業を最も良くするための方法はなにか?」という思考があると思っていて、「そんな人たちになりたい!」と言ってくれる方々が増えてきていることは、素敵な世界なんだろうなーと感じました。
※その分、業務の幅は限りなく無限に近く広くなりますが。。笑

6. 最後に

現在、IVRyはまさに"10-100"のフェーズにいると思います。
また、裏では"0-10"のプロジェクトも進んでおり、実は"0-100"まですべて環境がある事業です。
さらに言うと、今入って事業を伸ばすことで、"10-100"で準備したものが本当にうまくいくのか?まで試すことができる超お得な環境にいますし、マルチプロダクト化も適切にアラインするチャレンジもできます。

こんな様々なチャンスと経験ができる環境で、一緒に日本を良くする「事業開発」を行いませんか?
今すぐ転職ってわけでは。。と思っている人も、とりあえず話を聞いてみてもらえればと思っておりますので、カジュアルにご応募よろしくお願いいたいます!

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