見出し画像

学校では教えてくれないADの仕事

AD、ディレクター、プロデューサー、カメラマン。。

これらはテレビを作るスタッフです。

名前は聞いたことがあるが具体的に彼らがどういった仕事をしているのか知っている人は少ないと思います。

僕の前職はテレビ番組のアシスタントディレクター、いわゆるADだったので今回は自分が経験した仕事内容を紹介したいと思います。

まずADはアシスタントディレクターという名前の通り、基本はディレクターの補佐的な役割です。


今回は僕が実際に担当した旅番組を例に流れを紹介していきます。


会議は週に一回、プロデューサー、ディレクター、構成作家などが机を囲んで意見を出し合います。会議中はADはホワイトボードに議事録をとります。別のADは資料用にパソコンで打ち込んでいきます。
会議で決まった内容を元にADはリサーチをしていきます。

旅番組ではロケ先の候補をみんなで出し合って、ここいいんじゃない?と決まったらその場所についてADが詳しくリサーチしていきます。

番組にもよりますが、僕がやっていた番組は基本3人のADがそれぞれ場所を分けてリサーチをして資料を作り、その中のチーフADがそれぞれのリサーチ資料をまとめるという形です。

そしてその資料をまずディレクターに提出します。ディレクターはここをもう少し調べて欲しいなどアドバイスをし、資料を直していきます。次の会議でその資料を観ながらディレクターが説明をし、OKをもらったらロケハンに行く流れです。

ロケハンとはロケに行く場所に事前にディレクターとADが行き、ビデオを回しながらその場所にはどんなお店や観光場所があるのか実際に確認をする事です。

ロケハンに行く際は、ADがスケジュールを立てます。まず、事前にリサーチをしているのでディレクターはリサーチ資料を見て、見ておきたい場所やお店をADに伝えて、ADはアポを取ります。絶対に行っておきたい場所はこの時点で撮影がOKか聞きます。

観光場所やお店を回り、行っておきたい場所を決めます。僕が担当していた番組は、あくまで出演者が行きたい場所に行くという流れだったのでここにどういったお店があるのかを事前に出演者に伝えてあとは自由に行動しています。

他の旅番組はどういう形かは分かりませんが、自分が担当していた番組は割と自由に行動していました。
なのでお店側にはその日はロケをするので、撮影したいとなった場合、撮影は可能でしょうか?というアポを取ります。

本当に一回もアポを取っていないお店に出演者がアポを取りに行ったことも何度もありました。

ロケハンを終えたらADはロケハンで回した動画を見やすいように編集をして、次の会議でディレクターが説明をしながら流します。
その時にある程度どういう順序で場所を回りたいかを決めておき、演出の人にプレゼンするという形です。

演出のOKをもらったら後はロケを待つのみです。その間、行かないとロケが成立しないような場所はADは念入りにアポを取ります。※神社や公園などはロケの何日か前に申請しないといけない所もあるので、そこはしっかり調べて事前に申請しておきます。

ロケの前に、ロケ準備があります。

スタジオ収録などの場合はカンペ貼りや、小道具準備などやることはたくさんありますが、僕が担当していた旅番組の場合はカンペ貼りは少しだけで小道具も特に準備する事はありません。

しかしやっておかなければいけない事は、行く予定のロケ場所の連絡先をすぐ出せるようにまとめたり、どこにどういうお店があるのか、しっかり把握しておくことです。

ロケが始まったら、ADはカメラの後ろをついて回り、出演者が一般人に話しかけた場合、テレビに流していいのか許可を取ります。

基本旅番組の場合は許可取りに回っていました。チーフADの先輩はカメラを回したり、ディレクターの補佐を直接していました。
そしてロケが終わります。


実はここからが結構大変です。


ADはまずロケで撮影したデータを回収して会社に持って帰ります。
その後まずデータをハードディスクにコピーします。これは必ずしなければいけません!データを誤って消したり、SDを無くしたらもう終わりです。

そしてそのコピーしたデータをデジタイズという動画変換を行います。撮影した元のデータだとデータ量が大きく、編集をするときに重くて上手く動かない事があるのです。なのでデジタイズを行い、データ量を軽くします。デジタイズをする事により、スムーズに編集をする事ができます。

デジタイズには、収録時間やカメラの数などによりますがかなり時間がかかります。なので一気にデジタイズをしかけて寝たりします。しかしたまに不具合が起き、デジタイズが止まったりするのでたまに起きて確認をしなければなりません。


なのでADはロケ終わりもぐっすりは眠れません!!


ただ、大きな番組はデジタイズを業者に頼みます。自分も大きな特番を担当したときはデジタイズは業者に頼み、その間は家に帰ってぐっすり寝ました。

制作会社だとよっぽど大きい番組以外はデジタイズは基本自分たちでやる感じですね。。

ただデジタイズが終わってもまだ終了ではありません!!

デジタイズが終わったらディレクターが編集できるように動画を並べます。

要はいくつものカメラで撮影をしているので音を全部合わせてディレクターが編集をしやすくするのです。
その点、旅番組はカメラ数が多くないので並べは楽でした。

しっかりと並べて作ったハードディスクをディレクターに渡して編集をしてもらいます。

ディレクターにハードディスクとロケ先の情報を載せた資料を渡したらやっとひと段落ができます。

ディレクターの編集中は画像の素材集めや情報の再確認を行います。

ディレクターの編集が終わり、演出のOKが終わったら編集所に入り最終仕上げをしていきます。

実はその間にナレーション原稿など色んな資料の作成を行いますが、細かく書いてしまうと止まらなくなってしまうので省いて紹介してます。

編集所ではエディターさんが編集を行います。

また、編集所の事を「ハコ」とも言います。また、編集にはたくさん準備するものがあります。よくテレビの画面の右上や右下などに状況説明の文字があると思います。
そう言ったものはディレクターや作家さんが考えます。

また、コメントをつけるのにもエディターさんに分かる様にコメント原稿というものを準備します。映像素材を見てコメントを全て文字起こしし、使うものだけをディレクターに省いてもらいます。この作業はタイピングが得意ではないとかなり時間がかかるので、早めに準備をしたほうがいいです。

まだ他にも準備するものがありますが省きます!

これらのものを全て準備し、エディターさんに作業をしてもらいます。

編集は大体1時間の番組だと直しを含めて丸一日かかります!

編集中は全て資料を渡し終わったら後半は寝てる事が多かったですね笑

そして編集が終わりナレーションを入れて完成します。
完成した映像は完パケとも言われます。

省いたところも多々ありますが、以上が番組を作る流れとADの仕事です。

今回は旅番組を例に話をしましたがスタジオで撮影する番組ではカンペや小道具をたくさん用意する必要があったり、リハを行いますので、準備にたくさん時間がかかります。

準備からロケ終わりのデジタイズまで丸2日寝れない、なんて事もよくあると思います。

準備を含めると1つの番組がオンエアされるまでに最低でも2ヶ月はかかると思います。もちろん特番だと半年以上かかる番組もありますし、ADは番組をいくつか掛け持ちます。

僕は実際大きな特番を経験したことがありますが、約3週間、家にも帰れなかったです笑

ただいつもこんなに忙しいという訳ではなく、特番が無い時や撮影まで期間が空いてる時はけっこうゆっくりしている時があります。

その時は毎日定時で帰ってましたね。忙しい時は地獄なのでゆっくりな時に定時で帰っても誰も文句を言いません。帰れる時には帰るというのはとても大事でした。

ただやっぱり残業も当たり前にあったり、家に帰れない時が多々あったりもするので、覚悟がないと続けられないと思います。

僕はお笑い番組が大好きなので何とか続けていましたが、体調がおかしくなったり、大好きなお笑い番組をほとんど観れないといったことが多くなったり、上のディレクター見ても苦しそうに仕事をしていたので将来が見えなくなり辞めました。

やめた今は大好きなバラエティを観まくっています。
単純に僕は、バラエティを見るのが好きですが、作るのは好きではなかったんだと思います。

でも興味がある人、将来バラエティを作りたい人はやっぱり勇気を出して一度飛び込んで欲しいです。

もちろん今のテレビ業界は、まだ帰れない日もあるし、残業もたくさんありきついことが多いです。

ただ、自分が関わった番組が放送される達成感はなかなか経験できないことだと思います。

テレビが大好きな人がテレビ業界に飛び込み面白い番組を作って欲しい。

僕はテレビっ子としてそう願っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?