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次の掌編小説集の布石

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まだ見ぬ新刊、レッドを作るため、書いてきた新しい掌編小説をまとめます。 わたしの性格上、真実性をもたぬものはあまり響きませぬ。
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#宇宙人

掌編小説「D-70 おうどんお蕎麦屋さんで」

エイリアンは蕎麦屋にいた。出来上がりのアナウンスがやたら人間の話す音声と調子がずれていたから戸惑ってしまった。そのイントネーションは自分の故郷のことばの音感に近かった。エイリアンの番号だけ液晶モニターに残ったまま他の番号は順々に消えていったので、心配になった店主が

「D70番の方ー。できあがってますよー」と叫んだ。

店主の声でエイリアンはふと我にかえって、いかんいかん、取りに行かなければと少し

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