独居の夜。(女の声)

コロナの問題で今までの雑居から別室に移ることになった。今まで仲良くしていた同居人(殺人鬼)、隣人(大麻栽培、覚醒剤100g所持)との別れは辛かったが、仕方がない。

留置所はとにかく暇で、手紙を書くか本を読むか、筋トレをするか、等限られた事しか出来ない。平日の運動時間(狭い部屋でウロウロしてお喋りしたり、髭を剃るだけ)風呂の時間は被告人の貴重なお楽しみ時間である。

今回移動した部屋はというと同居人が最悪だった。僕も大概メンヘラだが、その彼は一日に何十錠という向精神薬を飲む強者だった。

彼は50代のお腹だけ異様に膨らんだパチンコ中毒者で、明らかに頭が鈍く、とにかく物が覚えられない。最悪なのは昼夜問わない爆音のイビキだ。

ちなみに罪名が「威力業務妨害」。

こう書くとなんかイカついが、彼はセ○薬局岩○店でマスクが手に入らなかった事に怒りを覚え、「俺はコロナだぞ!」とレジで絶叫してしまったらしい。ただの迷惑なアホ。

迷惑なアホは檻の中でも迷惑だった。

とにかく毎晩のイビキがうるさいのである。隣の隣にも聞こえるくらいの爆音。

2,3日は我慢したが、ついに堪忍袋の緒が切れた僕は枕で彼をひっぱたき看守を読んで部屋を移動させてもらった。

平穏な日々を取り戻したと思ったのも束の間、彼は誰かとお喋りを始めたのだ。

そう、幻覚、幻聴です。

俺コロナ「看守さん、女の人の声聴こえますよね?ほら、呼んでますよね?」

看守「やめてよ。俺苦手なんだよ。怖いよ。。早く寝なさい」

若い看守がちょっとビビってるのが面白かった。

とにかくこの独居は暇で仕方がなかった。

毎日、彼女と猫の写真を眺めては孤独に打ちのめされていた。


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