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【エッセイ】全ては100パーセント「今」かもね

 未来のためにできること…それが何かと問われれば、私なら「私が今、ここで、この瞬間を100パーセント生きること」だと、迷わず答える。

 社会貢献の方法であったり、奉仕の心に基づく答えを出された方からは、何て身勝手な…と思われるかもしれない。

 しかし、未来は不確定なもの、過去は不変なものであり、そうなると、私たち人間にとって最も重要なものは「現在」「今」なのではないだろうか。

 さらにその不確定である「未来」を確定していくのは、まさに今この瞬間の在り方、生き方であり、言い換えれば、今この瞬間にそれらを変えれば、未来はいくらでも変わるのである。

 何かと不穏な昨今「未来に対する漠然とした不安」という文言をしばしば耳にする。
 漠然とした不安…「ぼんやりとした不安」という言い方もできる。

 それはまさにあの芥川龍之介が、自殺の理由として周囲に漏らした言葉である。
 芥川が、抱いた「ぼんやりとした不安」が、未来についてだったかは不明だが、そのぼんやりとした、別の言い方をすればはっきりしない不安は、容易に人の命を奪い得るのだ。

 不確定なもの、よくわからないもの、ぼんやりしたものに対して、人間が不安や怖れを抱くのは本能であり、不自然なことではないが、ともすると命に関わることになる、というところまでたどり着く方は稀であろう。

 話は多少逸れたが、未来のために何かをする、それは、今生きていることが大前提となる。
 不確定な未来に対して「ぼんやりとした不安」を抱き、それに押しつぶされ、今この命を無にしてしまっては元も子もない話だ。

 そう言ってしまうと、あまりに大袈裟で、極論であるかのように聞こえるが、その分、未来を明るく変えることはいとも容易いことでもある。

 不確定で今すぐには手の届かないものである未来への「不安」を、すぐ手に届く"今この時"に、「希望」に置き換えてしまえば良いのだ。


 時に、逃れられない現実的な計画等もあるだろう、しかしそこに少しの「希望的観測」をプラスしてみれば、不安は和らぎ、100%今この時を生きることができるはずだ。
 その先にはきっと希望溢れる未来が広がる…。

 芥川は、ぼんやりとした不安により命を捨てる選択をしてしまったが、当時、少しでも希望を持ってくれていたならば、未来の私たちを楽しませてくれる作品を、もっと数多く書いてくれたに違いない。

#未来のためにできること

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