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【海外文学名作100】絶対読むな!!悪の教典クラシック「悪徳の栄え」マルキ・ド・サド

海外文学名作100 #1

1.世界文学いいよ

世界文学(海外文学)ってとってもいいですよ。
時代・世代・文化を超えて当時のスタンダードを体験できたり、めっちゃどうでもいい事をこれでもかと掘り下げまくっていたり、そのお国柄や当時の時代背景によってカメレオンのように景色が変わります。

中でも、もっとも面白いと感じるのは「翻訳者」によってその本の「奥深さ」が左右されやすいということ。

言語は日々進化しているので当然、最近のものになればなるほど訳は読みやすいですしライトに意識して翻訳してくださってる方も多いと思いますが、ちょっと昔のものになるとこれが「マジで何言ってるのかわからない」のポルナレフ状態になります。

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ただ、懐古厨もいたりなんかして、これはこれで味というものです。
僕としては、どちらかというと読みやすいほうが好きです。
今の世代の人により多く読んでもらった方がいいなと思います。


海外文学についての以前の記事はこちら↓



連載:新潮スタークラシックスで海外文学を↓


2.海外文学・世界文学ベスト100とは

ノルウェー・ブック・クラブが2002年に公表した”Top 100 Books of All Time”「世界最高の文学100冊」

というとで、昨今の海外文学ベスト100と言われると一般的にこの指標が使われることが多い気がします。
いうても、この発表時期から20年も経ってますから、新たに世界文学の名作として仲間入りした作品も多いはずです。
そろそろ更新してくれないかしら。
ちなみに、最近は韓国の文学作品がとても気になっています。


3.マルキ・ド・サドよ…

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さて、本題に入りましょう。
ランキング100位はマルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」

はい、発禁にしてください。笑

いきなりこんなエグい本を持ってくるなんてノルウェーブッククラブさん、初見殺しに来てますやん。

それとも、「わぁ、面白い!海外文学にたくさん興味持った!」とでもなると思ったのでしょうか。ノルウェーの方。

これは読まないでください(笑)

しかし、作品としてはめちゃくちゃ文学的で哲学的であります。
完全に玄人向け、それか変態以外は響かないでしょう。

この「マルキ・ド・サド」というフランスの伯爵は何回も捕まって監獄で作品を出版したりしています。
いわゆる性的指向を表す「S」なんてのはこのサドから来てるんですよ。

「あ、おれちょっとSっ気あるから読んでみよっかな〜」
なんて軽い気持ちでこの本を開かないでくださいね。
井の中の蛙ですよあんたなんか。(知らんけど)

でも、ここでは言えないような内容の中に、サドの超哲学的思考が読み取れます。
それをここまで信念を持って語られちゃあしゃあないか。


いや、よくないよくない…


4.内容をちょっとだけな。

ジュリエットという成金が放蕩のかぎりを尽くします。
このジュリエットは欲望に忠実であるが、妹のジュスティーヌは清廉潔白で汚れを知らない娘。
別のお話ではジュスティーヌがメインの作品もあるようです。
こちら。

<美徳>のために生きようとしたのがジュスティーヌ。
対して<悪徳>の権化でもあるのがジュリエット。
スタンド使いは引かれ合うのと同じように、ジュリエットも回を重ねるごとにより強い悪人と出会い続けます。

「エロ・グロ」なんて言葉では言い表せないぐらいの拷問・放蕩が繰り返されます。
当時の時代での倫理観では割と普通だったのか?とも思いましたが、当時でも過激すぎて(マルキドサドが)逮捕されているぐらいですから、相当ですね。

これ一冊読んだら、大抵の「けしからん!」小説なんて余裕で達観して読めそうな気がします。
超強力な耐性がつきます。読み終えることができたらね。

しかし、劇中ではいわゆる悪人が語り出す「悪徳哲学」なるものが延々と語られる描写が少なくありません。
サドの考えを代弁しているのでしょうが、そこには揺るがない意志があり、一種の暑い弁論を聞いているようでもあります。


5.澁澤龍彦が素晴らしい

澁澤龍彦を知っていますか?
本書の訳者でありますが、なんとこの澁澤氏もこの「悪徳の栄え」を出版するのあたり、日本では猥褻物陳列罪に値するとかということで、裁判となります。
俗にいう「悪徳の栄え」事件となり、当時のメディアを席巻します。

今ではこの作品を自由に読めるわけですが、澁澤氏の功績もすごいわけです。
この澁澤氏、あの三島由紀夫も
「ああ、サドの翻訳してる変わり者ねw」
と一目置いていたりします。

しかしその澁澤氏の訳が素晴らしい!
放送禁止用語の数々を自らの語彙で覆い隠してギリギリのところを攻めています。(内容がもうギリギリじゃないんですがね)

エッセイも豊富に、そして晩年の澁澤氏は小説も書いており、翻訳作品だけではなくそちらもいつか読んでみたいと思いました。

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6.まとめ

「絶対読むな!」と題しましたがまあ読んでみるのも見聞を広げるために良いでしょう。
でも自己責任で。
いわゆる「禁書」枠ですが、読むな!と言われれば読みたくなるものです人間とは…。

また次回!







100円でいい事があります(僕に)