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経験、そして作ること

息子のスタイを作ってみた
妻の手を借りながら

曲線の型紙を切り出すのに直線の定規を使い少しずつ線を引く
楕円の建築物の中を歩いた時のようなハッとした感覚があって
直線の積み重ねが曲線を作ることを再認識する

きっと数学ってこういう時に使うのかな?
手仕事の中で改めて学びたいと思える機会はたくさんある

高校の恩師が大事にされていた経験から学ぶことについて思い巡らす

N先生は生物教師でありながら、ドラムや音楽にも精通していて
気になったものはなんでも自分で作ってみる人だった
理科室裏の教員室によく出入りしていたので
N先生の制作途中のものをよく見かけた

ある時はツル系植物でグリーンカーテン、
石鹸、アロマオイルなど色々作っていた
N先生は授業の座学スタイルの学びも大事にしつつ
経験を基にした学びについて自分で実践されていたんじゃないかと思う

その最近作ったものを紹介してくれる感覚
あ、これ知ってる
去年亡くなったじいちゃんだ

じいちゃんは持病のガンの手術後
痛みを忘れるための働き続けていた
米作り、畑、竹細工、日曜大工はお手のもので
ホームセンターに行くのが大好きだった

じいちゃんは夏休みなんかに遊びに行く度に
最近作ったんだ〜と新作を見せてくれた

経験を基盤とする学びについて話を戻すと
日本の情報デザインの父、須永剛司先生の著書「デザインの知恵」にて
こんな一文があるのを思い出した。

デザインの学びは、教科書に書いてあることを覚えて身につけていくような種類の学習ではない。やってみなければわからない。経験を基盤とするプロセスがその学びである。それは幼児が言葉を覚えるのとよく似ている。子どもが喋ることをとおして言葉を覚えるように、最初からデザインをやってみることによってデザインを学ぶのである。

須永剛司 著「デザインの知恵 情報デザインから社会のかたちづくりへ」

幼児が言葉を話すのにまだ早いと思う周りの大人はいない
まるで幼児が言葉を理解して意味を作り出す人かのように話しかける
こういった、まだできてないけどここまでやれるようになるだろう
という想定をしながらのやり取りの中で学んでいく

直線の連続の中で数学的な曲線の求め方のアイデアを考えたり
手触りの感覚のある経験の中で、抽象的な知恵や新たな問いが生まれる

そして何もそんな小難しい気づきがなかったとしても
作ることや経験することはとても楽しいし
じいちゃんのように自分を癒すこともできる

何より作品がひとつできる
それだけでも達成感があるし
もっと作りたいものが出てくる

今回のスタイはうまくできた
次はもっとパンチのあるスタイを作ってみようと思った

今回のスタイの曲線は1番ふつうの線の引き方だったけど、プロダクトデザインの世界では美しい曲線を引くためにたくさんのデザイナーが努力を重ねている。
ぼくが思いつく有名どころだとこの辺り。
1. Appleの曲率連続性を応用した曲線
2.clubhouseのユーザーアイコンのスーパー楕円を使った曲線
どちらも既に研究されているから備忘録に記事を貼っておく。

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