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先輩の経験談を聞いて学ぶ場合の聞き方とは?平野長泰の逸話

こんにちは、両兵衛です。
ここでは現代の私たちにも通じる戦国逸話を取り上げています。

仕事でもスポーツでも先輩の経験談を聞いて学ぶということがあります。それは戦国武将も同じだったようです。

武将たちも年長者からの教育として武辺咄(ぶへんばなし)といわれる戦での経験談を伝えることが行われていました。その武辺咄の聞き方について、平野長泰という武将が語った逸話が「武功雑記」という逸話集に載っていますのでご紹介します。

平野遠州、物語に曰く。
「当代武辺咄を何(いづれ)も聞かれ候体(てい)は、誰はそこにて打死に仕り候、誰はそこにて首取り候、或るは負の勝のなどゝばかりの事なり。是は悪しき聞き様なり。その軍(いくさ)は何として負けたり、何として勝ちたりと其の勝負の所以(ゆえん)を尋ね聞くをこそ武辺物語と申す」
と、云々。

平野遠州というのが、平野遠江守長泰のことです。長泰は豊臣秀吉に仕えた武将で、本能寺の変後に秀吉がライバル柴田勝家と雌雄を決した賤ケ岳の戦いで活躍しました。加藤清正や福島正則らとともに「賤ケ岳の七本槍」の一人として称えられています。

武辺咄の聞き方として、誰がどこで討ち死にしたとか、誰がどこで首を取ったとか、勝った負けたという結果よりも、なぜ負けてしまったのか、どうやって勝つことができたのかという理由や過程を明らかにすることが大切だと長泰は言っています。

私たちが現代の"武辺咄"を聞く立場であっても、"武辺咄"を語る立場であっても"勝負の所以"を明らかにすることが学びになることは同じです。

勝った負けたという派手な結果を気にしがちですが、戦国時代にも結果より過程が大事であるという考え方があったんですね。

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