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パピコと春

目の前に長い長い坂がある。この上まで、自転車で行かなければいけない。

春になったので、有名な桜が見たくなった。車は持っていないので、移動手段は徒歩か自転車である。
Google Mapで目的地までの経路を確認すると、徒歩3時間3分と表示された。往復6時間はさすがに足が棒になりすぎてしまうので、自転車を選んだ。

家の周りは盆地のようなっていて、少し離れたところに行くためには山を必ず越えなくてはいけない。そして今回上らなくてはいけないのは弱虫ペダルに出てきそうな激坂である。ここを登れば桜…‼
何とか気合で登り切った。が、上った先でさらに長い坂がまっすぐに伸びていた。この上まで、自転車で行かなくてはいけない。

結局、桜は見に行かなかったし、坂を上る挑戦すらしなかった。
学生時代、部活の練習が終わったと思った時に、5キロのランニングを命じられたことを思い出した。これまでは何度か超えられたのにな、と思いながら近くにあったセブンに入った。

坂を上り切った先にある坂ほど、心が折れる。
今回も、足に蓄積された乳酸がもう無理だよと伝えている。
パピコを1本食べ終え、坂を下る。次はバスを乗り継いでいこう。
坂の上り方を工夫すること、別の上り方を考える事。
そういうことが大事になってくるのかな、なんて考えていた。
心地いい風に体を預ける。
残しておいたパピコが少し溶けて、春を感じた。

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