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今日のnoteはできるだけ多くの人に読んでほしいです。

「年越し派遣村ってあったよね。派遣の人って可哀そう・・・」と思っている人や「年越し派遣村という表現に傷ついている派遣会社従業員」に向けて、僕の思うことと決意表明のnoteです。


11年越しの”年越し派遣村”報道

↓こんな報道がありました。

一部引用します。

リーマン・ショックの起きた2008年末から09年初めにかけて、日比谷公園(東京都千代田区)で雇い止めにあった派遣労働者らを支援した「年越し派遣村」と同様の取り組みが計画されている。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、人が集まるのが厳しい状況にあるが、主催者は、「感染防止対策を取りつつ支援を必要とする人のための場を作りたい」と話している。【東海林智】

 取り組みは、「コロナ災害乗り越える『なんでも相談会』日比谷公園」。コロナ禍で、今年4月から電話による労働や生活の相談を受けてきた団体が、実行委員会を作り実施する。実行委には労働組合の全労連や医療団体や商工団体、反貧困ネットワーク、ホームレス総合相談ネットワークなどが参加、支援活動を行う。

実行委によると、電話相談を続ける中で、コロナ禍によって、非正規労働者たちが、雇い止めにされたり休業補償をもらえなかったりして困窮している。特に女性の困窮が目立つ。そうした人たちは、「みんなが苦しい中、助けてと言えない」などと声を上げるのをためらう人もいるという。対面での相談会を実施することで、直接働きかけができ、また、苦しんでいる人が声を上げても構わないという状況を作りたいという。

実行委の一人で全労連の黒沢幸一事務局長は「このままでは年末にとんでもないことになる。困窮者を救い、多くの人が困窮していることを可視化するためにも、感染拡大に配慮しつつ相談会を成功させたい」と呼びかけている。

相談会では、労働問題の他、生活保護や住まい、学費、健康など多様な分野の相談に応じる専門家を配置する。さらに、おにぎりや米、リンゴ、缶詰など緊急支援の食料配布も実施する。

相談会は19日午前11時~午後5時、食料配布は午前11時半から、午後3時半からの2回。会場以外の電話相談はフリーダイヤル(0120・157930)。日比谷公園での相談会を実施するためのカンパも募っている。問い合わせは全労連(03・5842・5611)。

・・・・・・・出た!


問題が2つ

この記事そのものに問題が2つあります。

問題①:”年越し派遣村”と同様じゃない

どうやら報道の相談会はコロナ禍によって、雇い止めにされたり休業補償をもらえなかったりして困窮している非正規労働者を対象に19日午前11時~午後5時に労働問題の他、生活保護や住まい、学費、健康など多様な分野の相談に応じる(食料配布は午前11時半から、午後3時半からの2回)ものです。

一方、”年越し派遣村”とはウィキペディアによると

年越し派遣村(としこしはけんむら)とは、リーマン・ショックの影響により派遣切り等がおき、複数のNPO及び労働組合によって組織された実行委員会が2008年12月31日から2009年1月5日まで東京都千代田区の日比谷公園に、生活困窮者が年を越せるように開設した一種の避難所である。

とあります。

期間も(年越してないじゃん!!)狙いも全然違いますよね。今回のは相談会であり、”年越し派遣村”は家を失った生活困窮者の避難所です。

ちなみにこの記事の後半での”年越し派遣村”の補足は

2008年12月31日~09年1月5日まで、日比谷公園で、労働組合、弁護士、NPOで作る実行委員会が実施。リーマン・ショックで、仕事と住居を失った派遣労働者など約500人に食事と寝場所を提供し、住居確保などの生活相談に応じた

とあります。

なんでも相談が目的の今回と同様のものとミスリードする目的だと思いますが、「住居確保などの生活相談に応じた。」と締めています。

年越し派遣村と言いたいんですかね。かなり無理やり同様の取り組みに見せかけようとしていることが分かります。


問題②:派遣労働者として就業しており、リーマンショックで職も住む場所も失った人は派遣村全体の20.6%

産業衛生学雑誌の調査にも記載されていますが、(というか派遣村実行委員会の報告があるはずだと思うんだけど、ネット上にソースが見つけられない・・・)

派遣村宿泊者は 1月 5 日の時点で 489 人であった(1 月 12 日発表の最終登録者は 505 名.以下これらを村民と記する).事務局が月 5 日の時点で 489 人であった(1 月 12 日発表の最終録者は 505 名.以下これらを村民と記する).事務局が月 5 日の時点で 489 人であった(1 月 12 日発表の最終録者は 505 名.以下これらを村民と記る).事務局が354 人を対象に行った聞き取り調査によると,村民の内訳は,雇い止めによる失業者が 73 名(20.6 %),日雇い派遣での失職者が 57 名(16.1 %),派遣以外の失業者が
70 名(19.8 %)と過半数を占め,以前からの野宿者は33 名(9.3 %),生活保護を打ち切られた者 9 名(2.5 %),その他の理由(未分類)が 103名(29.1%),未回答が 9名(2.5%)であった

日雇い派遣(現在は基本的に禁止)も入れても36.7%。

そもそも”派遣村”という名称はふさわしいのでしょうか。派遣に関係ない方が半数以上いて”派遣村”と名付け続けたのはなぜなのでしょうか。

そして、①のような強引なミスリードをしてまで11年越しに”年越し派遣村”という名前を使うのはなぜなのでしょうか。



2008年は何も言えなかった

問題②は2008年の時から大問題です。

派遣労働者だった人が半数もいないのに派遣村と名付けられる(あの時は、そもそもホームレスとどう区分けるのかと言うコメンテーターがいたら、区分ける必要はないと叩かれていた。じゃあ派遣村っていうなよ!!)のは業界にとってまさしく誹謗中傷そのものです。

ただ、あのころ僕たちは何も言えませんでした。

僕は、もやもやしていたものの、入社が2007年だったこともあり、正直全体像が見えていませんでした。

ですが、新人だけでなく、業界の諸先輩もおおむね口をつぐんでいたように思います。

なぜ何も言わなかったのでしょうか。言えなかったのでしょうか。

ひどい中傷、政治的に利用されている感がありすぎて、そこまで影響があると感じなくて声を上げなかった人もいるかもしれませんが、僕は「少なくない数の、次の仕事を見つけてあげることができずに辛い思いをさせた派遣スタッフの仲間がいたから」だと思っています。

この報道に胸を痛める派遣業界の人間ほど、外から見る以上に1人1人の派遣スタッフに対して、熱い想いを抱いているものです。

実際に次の仕事がない派遣スタッフや、とてもではないが本意とは言えない年末年始を迎える派遣スタッフを目の前にして、報道に抗議する気持ちを持てた関係者は多くはないのではないでしょうか。


全力を尽くそう

単純な比較は難しいですが、2019年10月の派遣労働者数は145万人、2020年10月は135万人でおよそ10万人減少しています。

現場で仕事している派遣業界の人間ならわかりますが、数字以上に、確実に新型コロナの影響で、希望しない派遣契約の終了を迎える派遣スタッフはでてきています。

昔と違い、契約の途中で終了となる”派遣切り”と呼ばれるものはほぼなくなりましたが、次の派遣先が確保できないことはあると思います。

派遣業界の皆さん、派遣スタッフの次の就業先確保に全力を注ぎませんか?

いや、絶対注いでると思うし、普段から全力だと思います。

が、僕は普段の10000倍全力です。もちろん、縁があってご一緒いただいている派遣スタッフの仲間のため。

そして、この報道の相談会が、ふたを開いたら派遣労働者がほとんどいないのに、引き続き”派遣村”と報道されたり、他の生活に困った方への支援を”年越し派遣村”と名付けられた時に、「誹謗中傷だ!」と声を上げるために。

派遣業界で働く人の誇りも傷つけるし、何より派遣で働く方にも大変に失礼だと思いませんか!?


最後に

2008年、2009年が過ぎて、さらに数年経ち、今更「年越し派遣村がなんやかんや・・・」と言い出すタイミングを失ったころに、僕にはやっと全体像が見えてきてモヤモヤが解消されたとともに、すごく悔しくなりました。

そりゃ、国によっては派遣形態が違法の場合もあります。どんなケースでも完全な善とも言いません。でも法律で認められて、納得して働いている人もいて、さらに全労働者の3%に満たない(2020年10月は役員を除く労働者は5645万人いるので135万人は2.4%)というとても少数派の働き方をここまでわざとらしく中傷する必要はあるのでしょうか。

たぶん、これまでの流れで行くと、非正規労働者は2100万人いて、派遣労働者は135万人という比率(およそ6%)にもかかわらず、「派遣に代表される非正規雇用」とか「派遣などの非正規雇用」とか言って新聞やネット記事を書く人たちが出てくるはずです。(あと、事件が起こったときに派遣労働者のAさんとかアルバイト職員のBさんとか報道する雇用形態差別はやめてください。関係ないけど。)

派遣で働いてくれている方と派遣サービスを提供するために働いている人のために、明らかな中傷は許してはいけないと僕は強く思います。

全体のパイの話もありますから、僕らが頑張ったところで、次の仕事が決まらない派遣スタッフや不満なまま働く派遣スタッフを0にはできないと思います。

それでも、僕らが派遣スタッフと向き合い、できる限りのことを全力でやることができれば、自信をもって社会に向かって声を上げられるのではないでしょうか

何より、派遣スタッフのほとんどが、自分の意志で派遣で働いています。奴隷じゃない。

僕は、”派遣村”と名付けられたものの内訳の半分以上が派遣労働者でなければ、今回はしっかり苦情を言います。ほかの派遣業界の皆さんはどうしますか?

今日のnoteは、2008年の僕のように派遣業界に入ったばっかりで良くわからないままにモヤモヤしている人に届くと嬉しいなと思います。

では、また明日!



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