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人材派遣利用マニュアル ~契約開始から契約終了まで~ ⑥派遣先がすることまとめ

人材派遣利用マニュアル ~契約開始から契約終了まで~編を解説しています。
「派遣先がすることまとめ」いってみましょー!

「ひたすら具体的」で「生々しく」人材派遣利用の教科書を作るという狙いなので、僕の独断で、派遣先企業が知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。

シリーズのマガジンはコチラ↓



情報の粒度がバラバラで分かりにくい

ここまで、契約開始から終了までの間のポイントをお伝えしてきました。
そのシリーズの最後に実務上対応が必須ですが、必ずしも派遣会社がレクチャーしてくれるとは限らないポイントをお伝えします。

厚生労働省から、派遣先向けのパンフレットやリーフレット業務取扱要綱が出てますので、それを一通り読めば、ほとんどの派遣先がするべきことが分かるのですが・・・
派遣会社が許可を受けているか確認しましょう。とか、契約通りに運営しているか。とか、時間管理を適正に。と言った当たり前と思われることから、このnoteでもすでに解説した、事前面接の禁止や抵触日の管理、雇用安定措置などの理解に時間がかかるものまでが、同じ資料に一斉に載っていて分かりにくいです。
僕は、こういったリーフレットや資料を見るたびに、情報の粒度が揃っていることは理解してもらったり、読んでもらうためにすごく大切だなと思います。

力不足ではありますが、僕はこのマガジンではその粒度を大切にしています。難しかったり重要度が高いものを中心に各回のテーマにしています。

そして今回は、個別にテーマにするほどではないですが、必ず派遣先は対応が必要で、かつ、派遣会社からアドバイスが少なかったりするという性質のものを一挙に紹介していきます。

派遣先責任者、指揮命令者、苦情処理等の申出先の選任

まずは、派遣先責任者と指揮命令者と苦情処理等の申出先の選任についてです。
↓のnoteで解説した、個別契約書の締結のタイミングで派遣会社から「どなたを派遣先責任者、派遣先責任者と指揮命令者と苦情処理等の申出先にしましょうか?」と言ったことを聞かれます。

この3つの担当を派遣先企業が直接雇用している者から選任することが義務付けられているからです。

それぞれの選任条件と役割は以下の通りです。

派遣先責任者

派遣先において労働者派遣された派遣労働者に関する就業の管理を一元的に行い、派遣先における派遣労働者の適正な就業を確保するために、労働者派遣法第41条に基づき選任される者です。↓厚生労働省の派遣先責任者講習のページより。(受講義務はないですが、講習があります。一回受ければ、僕のnoteを読むより手っ取り早く全体像が分かりますw)


選任条件など】
・受け入れている派遣スタッフ100人につき1人以上、各事業所ごとに選任
・労働関係法令の知識を有する者
・人事、労務管理等についての専門知識、または相当期間の経験を有する者
・派遣スタッフの就業に関する一定の決定、変更の権限を有する者
・実務上、部課長もしくは、人事担当の選任が多い

役割】

厚生労働省リーフレットより


実務上の役割としては、以下の7つです。
特に①適用される労働関係法令や締結した労働者派遣契約の内容などについて周知することが重要な役割と言えます。

①適用される労働関係法令や締結した労働者派遣契約の内容などについて周知する
② 派遣受入期間の変更通知に関すること(抵触日の管理)
派遣先管理台帳の作成、記録及び保存等に関すること
④派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に当たること
⑤安全衛生に関すること
⑥派遣先における均衡待遇の確保に関すること
⑦その他、派遣元との連絡・調整に関すること


指揮命令者

指揮命令者とは、派遣スタッフに対し、業務の指示を行う者です。

選任条件など】
・同一部署に勤務しているなど、派遣スタッフの業務内容を把握し、指示・管理ができる者
・派遣先責任者との兼任もOK
・実務上、係長やリーダー層を選任している企業が多い

役割】
実務上の役割としては、派遣スタッフへの業務指示、労働時間や休憩、残業時間の管理・指示、就業環境への配慮などです。

苦情処理等の申出先

派遣スタッフより、就業に関する苦情申出を受けた際、対応を行う者です。

厚生労働省リーフレットより



選任条件など】
・指揮命令者との兼任不可(就業中のトラブルに指揮命令者も関わる可能性があるから)
・労働関係法令に関する知識、人事・労務管理などの専門知識、実務経験など、その職務を的確に遂行できる者を選任できるよう努めること
・派遣先責任者との兼任はOK

役割】
・派遣スタッフより申出を受けた場合、速やかに派遣会社へ報告する
・派遣会社と密接な連携の下、誠意をもって主体的に対応を行う
・苦情の発生状況、処理の顛末を派遣先管理台帳に記載する


派遣先管理台帳

何度かすでに出てきていますが、「派遣先管理台帳」というものがあります。
派遣先の講ずべき措置によると、
派遣先管理台帳は、派遣先が、労働日、労働時間等の派遣労働者の就業実態を的確に把握する とともに、当該台帳の記載内容を派遣元事業主に通知することにより、派遣元事業主の適正な雇用管理の実施に資するためのもの
とのことです。

記載しなくてはならない内容は以下の通り。
・派遣社員の氏名
・派遣会社の名称(事業主の氏名)、事業所名、事業所の所在地
・無期雇用か有期雇用か
・就業日
・就業時間帯・休憩時間
・業務内容
・派遣先の事業所名・事業所の所在地、就業場所と部署
・派遣社員からの苦情の処理について
・教育訓練の実施日時、内容
・派遣先責任者、派遣元責任者について
・社会・労働保険の有無(無い場合はその理由)
・紹介予定派遣について(紹介予定派遣の場合)
・期間制限の対象外の業務の場合、その業務内容

詳しくは業務取扱要領の派遣先の講ずべき措置↓P298に記載があります。

https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/07.pdf


多くの派遣会社が、個別契約書の写しと勤怠管理のデータを合わせて保存することで派遣先管理台帳の項目を満たすことができるよう工夫しているので、派遣会社に問い合わせるとスムーズです。
また、派遣先管理台帳は契約の終了から3年間の保管義務があります。

意見聴取

すでに解説しましたが、労働者派遣を受け入れる中で一番気を付けなければいけないのは、事業所単位の抵触日の管理だと僕は考えています。

労働契約みなし制度の対象になることと、そもそも人材派遣サービスが臨時的な位置づけであるということを理解してしっかりと対応することで、派遣サービスの全体像を掴むことができるためです。

逆に言うと、派遣サービスの位置づけが理解できていない派遣先では、意見聴取がしっかり行われていなかったり、抵触日への理解がないというケースがあります。
是非、改めて事業所単位の抵触日と、意見聴取については振り返っておいていただけると嬉しいです。


最後に

今日は、人材派遣の利用に関して、最低限避けられない義務(=やらないといけないこと)について解説しました。
厚生労働省のリーフレットを見れば、派遣労働者が社会保険に加入しているか確認するとか、派遣会社の派遣許可を確認するとか、時間管理を適正するなど、他にも細かいやるべきことが出てきます。
そのあたりも人材派遣サービスを受け入れる中で意識していっていただきたいですが、現実の受け入れの中では、これまで解説してきたものと、今回解説した派遣先責任者、指揮命令者、苦情処理などの申し出先の選任と、派遣先管理台帳について対応できていれば、直ちに違反状態になることもなく、派遣サービスの受け入れが可能だと思います。

今回で、具体的な解説はほとんど終わりました。
次回は、派遣営業からのお願いシリーズ?を書いていきます。
では、また!




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