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【本の紹介②】40歳を迎える前に再読してタイムリーだった本

いろいろ本を読んできて、とにかく最近はビジネス書とか専門書とか、そういうのばかりを手にしてるのがこの5年くらいの話で。

でもその前、20代のころは小説をたくさん読んでいた時代がありました。
ブックオフで100円とかで安く購入してはマクドの100円コーヒーを飲みながら過ごす20代。時間はいっぱいあったのです。人生のモラトリアム期でした。

その時代によく読んでいたのが、宮本輝村上春樹の小説やエッセイ。

きっかけは何となくでしたが、僕にとっては読みやすく、そしてストーリーも面白く感じて、だいたい一通り読んでいる気がします。

ただこの5年くらいは、めっきり読まなくなって。
新刊本とかもまったく手に取っていないような気がします。

そんな中、先日大学院の授業で、とある先生が村上春樹の『遠い太鼓』について話題にされていて。とても読みやすく、海外出張の際などにもっていって読むという話でした。

僕も好きなエッセイ本で、確かに過去2度以上読んだ記憶がありますし、内容も比較的覚えている本でした。
なので、ふと本棚から引っ張り出して再度読みだしてみたのです。

すると面白い発見というか、表現がありました。


本というのは、表記されている文字列(なんと書いてあるか)は変化したりしないですが、過去読んだときと、再読した時と、読み手の状態や人生感とか、環境などの様々なものが大きく変化してたりするので、まったく同じ文章を読んでも考え方や感じ方は全く違いますよね。


たぶんこの本を一番最初に僕が読んだのは10年以上前なのですが。
その時の、20代の僕と40を目前にした今の僕とでは、同じ人物ではあるのですが、価値観も違うでしょうし物事のとらえ方も。体力とかもそうかもしれないですし、まったく別人のようになっているわけです。

すると同じ文字が並んでいてもとらえ方も感じ方も全く違うわけですね。
当たり前のことだと思うのですが、今回はわかりやすく実感できて、なかなか面白いなと感心したわけです。


ちなみに村上春樹さんは今の僕と同じ年齢のころに『ノルウェーの森』を書いたのか、と言う事実を頭の中で自分の人生と照らし合わせて。
色々な物事が充実してきた、経験も豊富に積み重なったその年代の脳だからこそできるアウトプットというのはあるんだろうなと考えました。
もちろん僕が発信している価値はノルウェーの森の1億分の1くらいですけど、でもこれはこれで大切なことよねと思っています。

村上春樹さんは本文中で、40歳というのが、「我々の人生にとってかなり重要な意味を持つ節目」と表現されていて。大きな転換点であり、「何かを取り、何かをあとに置いていくこと」と書いています。

そして、「精神的な組み換え」が終わってしまったら、後戻りできないといった内容も記載していて、そういう表現が、自分の今の状況に当てはまって余計にいろいろ感じたというところでしょうか。

年齢と重なる部分もあったのと、ちょうどフリーランスとして活動をスタートしたのが今年で、そして間もなく40歳を迎える自分がいて、以前読んだときとは違った形でダイレクトに心に響いた感じです。

そしてその内容が、時々現れる不安な気持ちにどう向き合うべきか、先人たちがメッセージを伝えてくれているような気になりました。


環境面で大きな転換点を迎えたというのは事実だと思いますし(働き方とかそういうやつです)。

「精神的な組み換え」も確かに起こっていて、ここはもう引き返せないなと思うわけですね。
それは良い変化であると感じていて、なので特に引き返したいとも思っていませんが。ただ新たに手に入れたものと、自然と手放さざるをえないものとあるのかなと。


手放さざるをえないものが、年齢とともにあることは仕方ないと、徐々に受け入れられるというより、想像できるようになってきました。まだそれほど失うという経験をしていないので(体力とか自分自身の能力的な部分もそうでしょうし、親や親友を亡くすとか、そういう喪失体験もあまり体験はしていないので)、実際ホントにそういう状況になったらまた違ってくるのでしょうけど。

そういう状況で、「歳をとることは自分の責任」ではないのだけれど、結果として「達成されるべき何かが達成されないままに終わってしまうこと」恐れると書いている村上さんに共感するところもあったわけです。

基本的にこれから迎える40代に対してはとても前向きな、楽しみだなという印象を強く持っているのですが、あわせて、もう引き返せない瞬間瞬間の今があり、そこで何を成し遂げるのか、どう行動に移して日々を過ごしていくのか、考えました。

介護保険の2号被保険者の通知が来たときにも、しみじみ思ったのですが、時間は有限というのはことあるごとに行ってますけど、今感じている体力気力、エネルギー的なものはすべて基本下降線をたどっていくことを受け入れないといけないと思った時に、本当に今しかできないものというのはあるのだよなと。

『ノルウェーの森』のような価値を世界に生み出す才能はないにしても、僕なりの「達成すべき何か」というのはもう少し思考を深めて実践していきたいと思いました。


今日はこれくらいで、ありがとうございます。

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