月の化身
ピチョンと垂れた雫が一滴
あれは確か上弦の月夜
「此処に居て」
真っ直ぐ見つめる
碧の瞳に撃ち抜かれ
一歩も動けなくなった
その雫を拭うため
絹のハンカチーフとなろう
いつか笑顔になるのなら
道端の道化師となろう
ピチョンと垂れた雫が一滴
今宵は二十六夜月
「行かなくちゃ」
遠退いていく後ろ姿に
どこまでも着いて行きたかった
君のためのハンカチーフで
拭っていたのは自分の頬
あまりに短い夢でした
新月を夜に祈ろう
満ち欠けが見せた
幻であろうとも
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