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poetry

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長文、一行詩、 Twitterに投稿した詩、駄作。ぜんぶ。
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2021年12月の記事一覧

待ち人

待ち人

ドアを開けると
朝から降り続いていた雨は
雪へと変わっていた

疲れた体に
北風は容赦なく吹きつけ
懐炉代わりの缶コーヒーから
みるみる熱を奪っていく

漆黒の空を舞う結晶に
切なさが込み上げ
ぼんやりと浮かんだ彼の笑顔が
吐息と共に
白く、儚く消えていった

(寒い、逢いたい。)

傘で視界を遮るようにして
私は早足で歩き出す
まっすぐ、まっすぐ

どんなに寒くても
足を止めるわけにはいかない

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ブロック

ブロック

まるで
万華鏡の中にいるようでした

凡てが煌めき
凡てに魅せられ
時の流れを忘却する

光の中で真実は見えづらく
必死で空を掻いても
この手は 何も掴めていなかった

『気づいて』と
謳う孤独は乱反射し
また胸元へ還ってくる

レンズ越しに魅ていた景色
云えなかった サヨナラ

独占欲に塗れた心で
これ以上笑えないから
その声には抗えないから

貴方からの連絡を
拒むことしかできなかったの

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根っこ

根っこ

足元広がる 落ち葉の群集

不要となりて 人知れず落ち

再び青く映えるため

裸になりし 大木の

乾いた表皮に 君を重ねた

「必要ならば 水をあげる」

地面の下

君を支える根があること

気づかぬままでいたかった