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poetry

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長文、一行詩、 Twitterに投稿した詩、駄作。ぜんぶ。
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2021年11月の記事一覧

軌跡

軌跡

殺伐とした この世界を歩いて行くには
少し頼りない足取りでも

紡ぎ出す声は たどたどしくて
やがて 喧騒の中
掻き消されてしまうとしても

雲の向こう側には青空があると
見据えた道の先には答えがあると

愚かでもいい
繰り返しでも

最期まで信じ抜けたら

まだ諦めきれないと
願う、この声が

もっと先へと
進みたがる、この足が

描いていく、軌跡を。

言伝

言伝

右を向いたら
あなたが居ないので

左を向いたら
涙が零れました

明日、雨が止んでいたら
私は 行かなくてはなりません

指のケガが気がかりです
寒がりのあなたが気がかりです

「疲れた」も 「会いたい」にも
もう応えてあげられないこと

早く 早く
気付いてください

寂しさに敗けたのは

私の方でした

溢れる

溢れる

モノクロだった世界に
七色の彩りをくれた君

君に

何ひとつ
伝えることができなかった

指の隙間から
少しずつ零していっても
それでも溢れてしまう思いが

君の笑顔を
ついばんでしまいそうで
恐かったんだ

志

アリ地獄
飲まれぬように抵抗す

我が力の限りを知りて
砂利 踏む足も
つれづれとなる

「こころざし」
入れたポッケに穴が開くとき

見上げた夕暮れの濃淡が
ズンと胸に突き刺さる

間違いは 何だったか
正しさは 何だったか

不器用な脳が孤高を選ぶ
たった一つを求め続け

羽衣

羽衣

君の無垢な横顔が好きだった

もう 計算でしかない
僕の表情は醜くて

恋人のように繋いでくれた
この手だって
本当は汚れていたんだ

憂鬱が好きで
孤独が好きで
この身を隠す雨が好きで

そんな僕にでも
いつか その背に
愛の衣を羽織わせてやることができたなら

君の奥に棲み続ける
その哀しみを消し去る程の

進ム

進ム

あなたに話したら
「つまらないこと」と
笑っただろうか

もう二度と
応えは還らない

だから
これからも

私は
私を選んでく

魚影

魚影

幾千匹の魚群の中
泳ぐ私を見つけてよ

呼ばないから
待たないから

いつか私を見つけてよ

あなたが好きだと言ってくれた
私で在り続けるため

止まらず泳ぐ

泳ぐから

初めて人を羨ましいと思った

初めて人を羨ましいと思った


傷もなく
嫉妬もなく

羨望だけが
ぼんやりと
半透明の光を放つ

見えない君
知らない君

ただ1人だけが許された
君の隣が光を放つ

眩しくて
哀しくて
届かない私に
いつまでも

笑顔

笑顔

混ざり気のない空色と
澄んだ空気が背景となり

真中に咲いたは
太陽のような君の笑顔

眩しさに
呼吸を忘れ、立ち尽くす。

あの日、あの瞬間

脳裏に焼き付いた一枚の絵に
両手で心を掬われたような気がした

僕は、君に救われたんだ。

寂しさに
弱い虫が疼きそうになる夜も

自ら嵌めた足かせが
重たく感じる そんな日も

あの笑顔を思い出すだけで
どんな山をも越えて行ける
何より確かな原動力にな

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平成マーメイド

平成マーメイド

悠然と佇む
あの人の船は
琥珀の窓の向こう

時折、珊瑚の城へ遊びに来ては
生温い感覚だけを残して
帰っていく

あの人は、知らない

私には
思いを伝える術がないこと

この足が
刃物を踏むように痛むこと

その胸を刺さなければ
二度と自由に泳げないこと

『あなたは、
 お城へ帰る人。
 もう、此処へ来ては
 いけないわ。』

一念天に通じず
私はガニアの海へと還ります

ナイフを捨て
飛び込

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