【読んだ本の記録】幸せになる勇気

アドラー心理学の入門書、「嫌われる勇気」の続編です。
「嫌われる勇気」ではアドラー心理学を心得た「哲人」と「青年」の対話形式でアドラー心理学について述べられていましたが、
今作も対話形式で述べられています。
対話形式というか、アドラー心理学を理解できない青年の激昂に対して
哲人が淡々と述べていくような形式。これは前作と変わっていません。
物語の始まりとしては、前作でアドラーの思想に感化された青年は、
アドラーの思想に基づく教育を実践すべく教師になります。
しかし、アドラー心理学は実際の教育現場では何の役にも立たない、
机上の空論であったと再び激昂し哲人の元を訪れます。

アドラー心理学の掲げる目標

これは「嫌われる勇気」でも出てきた話題。
「幸せになる勇気」はここからスタートする。
行動面の目標
①自立すること
②社会と調和して暮らすこと
上記の行動面の目標を支える心理面の目標
①わたしには能力がある、という意識
②人々はわたしの仲間である、という意識

「自立」とは

今回は特に行動面の目標の1つ、「自立すること」にフォーカスしている。

自己中心性からの脱却

アドラーは、「自立」とは、「自己中心性からの脱却」であると述べている。

「自立」するために、「自立」を援助するために

尊敬する

尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、
その人が唯一無二の存在であることを知る能力のこと。
また、尊敬とは、その人がその人らしく成長発展していけるよう気づかうこと。

「他人の感心事」に感心を寄せる

これがあらゆる対人関係で求められる、尊敬の具体的な第一歩。
「他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること」が必要。

あなたの「いま」が、過去を決めている

人間は、過去の「原因」に突き動かされる存在ではなく、
現在の「目的」に沿って生きている。
我々は過去の出来事によって決定される存在ではなく、その出来事に対して
「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。
自分の人生を決めるのは、「いま、ここ」に生きるあなたなのだ。

「これからどうするか」

「悪いあの人」と「かわいそうなわたし」

アドラーが患者をカウンセリングするとき、患者が語っていることを視覚化すると上記の二つしか語っていないことが分かった。
しかし、語り合うべきことは、この二つではない。
「これからどうするか」を語り合うべきなのだ。
変えられるものに着目する。

自分の人生は自分で選ぶことができる

人間が未成年の状態にあるのは、理性が欠けているのではない。
他者の指示を仰がないと自分の理性を使う決意も勇気も持てないからなのだ。
つまり人間は自らの責任において未成年の状態のとどまっていることになる。

イマヌエル・カント

我々は「他者の指示」を仰いで生きていた方が楽である。
これが自立できない理由である。
自分の理性を使う勇気を持つことが、自立につながる。

人生のタスク

これも前作「嫌われる勇気」で述べられているもの。
人生のタスクとは、
「仕事の関係」
「交友の関係」
「愛の関係」

ひとりの個人が社会で生きていくにあたって、直面せざるを得ない課題のこと。

仕事のタスクについて

人間は一人で生きていけない。孤独に耐えられないとか、話し相手が欲しいとかいう以前に、生存レベルで生きていけない。
これが人生のタスクにおいて仕事が関わってくる理由である。
さらに、このタスクにおいて欠かせないのが下記である。

分業する

人間は生存するために、分業して働き、協力し、貢献しなければならない。

他者を信頼する

他者と「分業」するためには、その人のことを信じなけらばならない。
分業社会においては、
「利己」を極めると、結果としての「利他」に繋がっていく。

人間の幸福もまた、すべて人間関係の幸福である

アドラーの語る「すべての悩みは、対人関係の悩みである」という言葉の背景には、上記の幸福の定義が隠されている。
だからこそ我々は、「人生のタスク」に立ち向かわなければならない。

人生の主語を変える

自己中心性からの脱却

すべての人間は、過剰なほどの「自己中心性」から出発する。
それはそうしないと子どもは生きていけないから。
しかしながら、いつまでも「世界の中心」に君臨することはできない。
世界と和解し、自分は世界の一部なのだと了解しなければならない。
自立とは、「自己中心性からの脱却」である。
甘やかされた子ども時代のライフスタイルから脱却しなければならない。

わたし→わたしたち→共同体全体→共同体感覚

また、自立とは、「わたし」からの脱却でもある。
利己的に「わたしの幸せ」を求めるのでなく、
利他的に「あなたの幸せ」を願うのでもなく、
不可分なる「わたしたちの幸せ」を築き上げる
これが自立につながる。
愛を知り、主語を「わたし」から「わたしたち」に変える。
「わたしたち」は、やがて共同体全体に、
そして人類全体にまでその範囲を広げていく。
それが共同体感覚。

共同体感覚について

他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放される。
他者を愛することによってのみ、自立を成し得る。
他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどり着く。

まとめ

幸せになるには、自立することが必要

✅自立するためには、自己中心性から脱却する

✅自己中心性から脱却するために、他者を愛する

✅他者を愛するために、他者を尊敬する

✅他者を尊敬するためには、他者の感心事に感心を寄せる

✅自己中心性からの脱却=「わたし」からの脱却

✅「わたし」から脱却するために、他者を愛する

✅他者を愛することで、主語が「わたし」から「わたしたち」になる

✅「わたしたち」を広げていくと、「共同体感覚」につながる



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