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都市と地方をかきまぜる 読書感想文

イントロ

図書館で農業系の本棚をみながら歩いていた時、なぜか目に飛び込んできたのがこの本だった。
地方創生✖︎食は興味があった分野だし、就活の軸にもしようと思っていたので借りて読んでみた。

結果からいうと都会と田舎の狭間にいる自分にはバッチリな本だった。
父親が関東の田舎出身、母親が東京出身のため、自分は生まれも育ちも東京。
しかし、親の教育方針からか小さい頃は近所のサッカークラブに入らされたり、農家や田んぼに連れて行ってもらったり、山梨に旅行に行きまくったり、
自然の中で体を動かして暮らしてきた。シティボーイにしては珍しいかもね。

そんな自分は「ふるさと」がない。田舎に帰省することができない。実家から米や野菜が届くことはない。多分親がいなくなったあと帰る場所がない。帰る地域がない。けど自然や田舎に憧れてる。

最近、恐怖していることがある。大学を卒業した瞬間に大学の友達と疎遠になり孤独になるのではないか。ふるさとがなく地元の友達がいないのはやばいのではないか?

関係人口という概念

その恐怖を解決してくれそうなのが関係人口という概念だった。
移住まではしないけど、たまに来る、連絡を取るくらいの関係だ。

農家と仲良くなって連絡を取り合いながら、直接作物を売買したり、農作業を手伝いに行ったりする。この関係が都市の人間の生活にリアリティ、生きている実感を与える。生産者に仕事のモチベーションを与える。
数十年前まではこの関係があったらしい。農家の次男が上京して働きながら実家と連絡を取り合っていた頃だ。だけど時間が経つに連れて、田舎と都市をまたぐ親族のつながりは希薄になり分断された。その結果生産者と消費者が顔が見えないほどの関係性になり今日に至っている。

著者高橋さんが課題意識を持っているのはリアリティが欠如し、飢餓状態にある日本人が多いことだ。
自分もそう思っている。だからみんなの故郷になりうる場所や環境を作るのが僕のやりたいことなのかも知れない。

具体的には小さな経済圏を無数に作ること。

都会には「消費者から生産者への一方的な流れ」=貨幣経済 が多くを占めている。ここに贈与経済や交換経済、自給経済など様々な経済をつなげていけばいいのではないかなぁなんて思っている。

考えてばかりじゃしょうがないので、小さな経済圏を明日、実際に女川に観に行こうと思う。

印象的だった言葉

いくつか挙げていく。

・「生命体としての自分」を自覚できない

リアリティの欠如のことだ。都会でのデスクワークばかりの生活では感じにくい。

・震災のボランティアで助けられたのはどっち?

これはよく言われているな。人間は他者の顔を通してしか自分の存在を認識できないとどっかの哲学者が言っていた。都会の人は他者に飢えていたのか。

・自立とは多様な依存先があること

これは響いた。社会人になると親から経済的に自立するのがかっこいいという価値観を大半の人が持っているけど実は違うのかも。

・近代社会はヤクザより足を洗うのが難しい

いきなりクソ田舎で農家になるのはむずいな。

・自然災害はその時代の社会の弱点をついている

この本では震災、その後のボランティアで生産者と消費者の分断が可視化された。絆が意識された。
では今は?コロナで何が可視化されたんだろう?
自分は「コミュニティの欠如」だと思った。学校、部活、バイトといった学生ばかりの限られたコミュニティではなく、もっとダイバーシティのあるコミュニティだ。もう少しそこらへんの勉強をしていこうと思う。

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