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ライブナタリー "TEAM SHACHI"@ZeppHanedaの感想

5/16(日)にZepp Hanedaで「ライブナタリー "TEAM SHACHI"~シャチにボイメン 会いにおいで~ / ~ARE YOU READY FOR THE FUTURE?~」が行われた。

第1部は名古屋を本拠地とするBOYS AND MEN(ボイメン)とTEAM SHACHIとの対バン、第2部はTEAM SHACHIのワンマンライブであった。

僕は第2部に参加してきたのでその感想を書く。(第1部は見逃し配信で見ることができた。)

ライブの感想を書くことについて

ライブの感想を書くのは初めてなので、最初になぜ感想をブログに残しておきたいかについて簡単に触れておく。

1つは忘れないため。ライブは生ものだ。どんなに素晴らしいライブでも記憶は次第に薄れていく。例えば、僕が高校生の時に行った東京事変のライブ。最高に良かったというざっくりとした記憶はあるが、どこでどう感動したのか具体的に覚えていることはそこまで多くない。

その時感じたことを記し残し、ライブのときの記憶に戻ってこれるようにしたい。

2つめは、初めてライブに行く人の背中を押すことができればと思うからだ。僕が「Rocket Queen feat. MCU」の広告でTEAM SHACHIを知ってから、初めてのライブだった2021年2月の豊洲PITのチケットを買うまでに、いくつものブログに背中を押してもらった。(多少ネガティヴな感想であっても、その現場のイメージを明確にするという意味でプラスの面があったと思う。)

比較的ビギナーに近い視点からの感想を記し、次にTEAM SHACHIのライブに足を運ぶ人の背中を押せたら嬉しい。

なお、このライブについては既に何人かの方が感想ブログを書かれている。是非、そちらも見ていただければと思う。

シャチにボイメン 会いにおいで
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BOYS AND MENに落ちたタフ民の話 【125/200】
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最後列でテンション低かったライブ前

今回の席はY列。後ろのZ列にはほとんど観客がいなかったので実質最後方である。しかも、後方の席は上に2階席があるため、天井が低く窮屈に感じられた。席に着いてからライブが始まるまでの間は、ライブが始まる高揚感と、最後方だけど楽しめるだろうか、という少しの不安が入り混じっていた。

ライブ前の会場にはTEAM SHACHIの曲とボイメンの曲が交互にかかっていたように記憶している。ボイメンの曲はボイメンファンの方が書いてくれた予習ブログで事前に知ることができた。おかげで好きになった「Oh Yeah」の音源がかかったときは嬉しかった。

今回は第1部は会場に行くことがかなわなかったが、また今回のようなライブができたときには、ボイメン・シャチメン・客席で「Oh Yeah」を(できればでっかい野外会場のライブのラストで)大合唱したい。

第2部セットリスト

今回のライブはナタリーのライターであり「チームしゃちほこ」初期からのファンでもある清本千尋さんらの協力によて組まれたセットリストだった。

セットリストは以下である。(前)は改名前、(後)は改名後の曲を表す。

01. エンジョイ人生(前)
02. ザ・スターダストボウリング(前)
03. ROSE FIGHTERS(後)
04. グラブジャムン(後)
05. こだま(後)
06. パレードは夜空を翔ける(前)
07. Rocket Queen feat. MCU(後)
08. HONEY(後)
09. colors(前)
10. シャンプーハット(前)
11. We are...(前)
12. 恋人はスナイパー(前)
13. 抱きしめてアンセム(前)
14. ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL(前)
15. AWAKE(後)
16. NIGI2 WONDERLAND(前)
<アンコール>
17. わたしフィーバー(後)
18. JIBUNGOTO(後)
19. Today(後)

全19曲中、改名前の曲が10曲、改名後の曲が9曲。
個人的には19曲中12曲がライブ会場では初めて見る曲だった。

振りコピに圧倒された前半パート

事前の配信やドキュメントから、しゃちほこ色の強いライブになるとは予想していた。

だから1曲目に初期の曲である「エンジョイ人生」がきたこと自体に驚きはしなかった。僕は比較的新しいファンだが、改名前の曲もそれなりに聴いている。

「うん、過去のライブ映像(2014年武道館)でも1曲目に歌われているのを見たことがあるぞ、確かサビでは手を上下に振るんだったっけな。」

なんて、余裕のつもりでいた。だけど、いざ曲が始まると振りコピが全然わからない。最後方から見える歴戦のタフ民の方々の振りコピに圧倒されてしまった。

2曲目の「ザ・スターダストボウリング」も初期(2012年)の曲だ。好きな曲なのだが、振りコピがよくわからず、やや没入しきれないまま進んでいった。

振りコピがわからなくても楽しいのだが、やっぱり振りコピがわかるともっと楽しいんだろうなと感じた。また、振りコピするしないで楽しみ方が変わる曲とそうでもない曲とあるのかなとも思った。(初期の曲であればあるほど、振りコピしてこそ楽しめるという傾向があるのかもしれない。)

「ROSE FIGHTERS」は改名後初のミニアルバムのリード曲であり、この日僕が最も聴きたかった曲の一つである。生ライブでは初めてだったが、配信ライブでは何度か聴いたことがあり、いい気分で没入することができた。

「グラブジャムン」では咲良菜緒が「Tシャツの絵柄と同じポーズを取る」という直前のMCで言及していたフリを決めたらしいのだが、全く気づくことができなかった。(後のMCで知った。)

「Rocket Queen feat. MCU」は僕がTEAM SHACHIを知るきっかけにになった大好きな曲だ。だから無条件で最高の気分になる。サビはみんなで手を振り会場の一体感を味わうことができた。シンプルなフリのせいか、曲調のせいか、TEAM SHACHIの上がる曲のなかで最も優しい雰囲気を感じる。(ロックマンファンとしてはぐるぐるしたくもある…。)

新曲「HONEY」と「colors」

ここからが後半戦、直前のMCでされた曲フリの通り、5月5日にリリースされた新曲「HONEY」が初披露された。「HONEY」は高音ヴォーカルの美しさとブラス・リズムの迫力が相まって、音源を遥かに超える、まさに魅せる上げ曲だと感じた。振りコピするもよし、リズムに合わせて体を揺らすもよしで、初心者でも気持ちよく楽しめるのも素晴らしく、今後のライブに欠かせない曲になるのではないだろうか。

「HONEY」から次の「colors」へのつなぎでは、過去のライブの演出を思わせる4色の照明による演出がなされ、「colors」への期待は曲が始まる前から最高潮に達していた。

この演出は、視覚的には過去のライブアルバムのジャケットを知っていること、情報としては「HONEY」と「colors」の作詞が同じ(Base Ball Bearの小出祐介氏)であることを知っている必要があるが、過去から現在へのつながりを会場全体で共有できたのではないかと思う。

「We are...」からの盛り上がり

「We are...」からの怒涛の上げ曲の連続はこの日のライブの中でも最も熱く楽しい時間だった。

驚いたのは「恋人はスナイパー」だ。配信ライブでも聴いたことがなかったし、振りコピも全くわからないのだが、全く気にせず没入することができた。この曲がデビュー時から歌われ続けててきた、攻撃力の高い曲だということを体感した。(まだ生で聴いたことがないが、きっと「乙女受験戦争」もそうなのだろう。)

「抱きしめてアンセム」は言わずもがなの会場の盛り上がり。最後方だった分、周りのスペースに余裕がある利を存分に使わせてもらった。

「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」も初めてだったが、ヘドバン・こぶしを回す、というシンプルなフリなためか、とても初めての曲のように思えず、最高に楽しかった。

「AWAKE」は元々フリもシンプルでノリやすい上に、配信リリースによって歌詞も公開され、より解像度が上がった状態でのパフォーマンスを味わうことができた。

最後は「Are You Ready For The Future ?」と書かれた白い幕がかかり、それが捲られると、法被風の衣装に身を包んだメンバーが登場し「NIGI2 WONDERLAND」が始まるという仰天の演出だった。この曲もライブは初めて、音源もそこまでたくさん聴いていなかったのだけれども、歌詞は面白く、ノリやすい曲でとても楽しむことができた。

アンコールの「JIBUNGOTO」は、今回のライブでブラス民が揃ってのパフォーマンスになるということで非常に楽しみにしていた。「JIBUNGOTO」に限らないが、初めて生で聴いたブラス民の演奏は素晴らしく輝いていた。(配信で見た「首都移転計画」のブラスも素晴らしかった。)ラストは、最近の定番曲である「today」で締められた。

最後列だったこともあり、最初は不安もあったが、いざライブが始まってみると、そんなことは全く気にならないめちゃくちゃ楽しいライブだった。

「TEAM SHACHI」と「チームしゃちほこ」の融合

パシフィコ横浜公演に向けたドキュメンタリーでも述べられている通り、TEAM SHACHIは2021年の目標として「TEAM SHACHI」と「チームしゃちほこ」の融合を掲げている。

また「チームしゃちほこ」が「TEAM SHACHI」を歌っているのではなく「TEAM SHACHI」が「チームしゃちほこ」を歌っているようになるといいという課題も示された。

今回のライブではどうだったか。

改名前の曲と改名後の曲の割合は、事前に言われていたとおり、おおよそ半々の比率であった。前回2021年2月20日の豊洲PITのライブよりやや改名前の曲の比率が高い。

アンコールを除いた本編だけでみると16曲中10曲と改名前の曲が多くを占める。それも最初の2曲、作詞者繋がりの演出があった「colors」、上げ曲パートの4曲、オチとなった「NIGI2 WONDERLAND」と多くの改名前の曲がライブの構成・演出上の重要な役割を果たしていた。

また、衣装が4色カラーになっていたことも象徴的だ。ライブに来ていた人にはもちろん、ライブに来るほどではない、あるいはしばらくライブに来ていない人にも、写真を見せるだけでわかりやすく変化を示すことができる。

ライブ後のツイートやブログでも「チームしゃちほこ」時代を感じたといった感想が複数見られた。

僕は昔のライブを体験していないため「チームしゃちほこ」が「TEAM SHACHI」を歌っているように見えるか、「TEAM SHACHI」が「チームしゃちほこ」を歌っているように見えるのかわからない。

もちろん楽曲にブラスが入るだけで曲の雰囲気は大きく変わる。どんな曲も「TEAM SHACHI」風にはなるのだけれども、多分これはまだ模索中なのだと思う。

個人的には一点、終盤の「抱きしめてアンセム」→「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」→「AWAKE」のパートは、2018シャチサマを彷彿とさせる流れに、現在のTEAM SHACHIの音を代表するAWAKEをのせることで、「疲れさせるライブ」としての新たなスタンダードを作ろうとしたのかもしれないと感じた。

魅せる上げ曲としての「HONEY」「SURVIVOR SURVIVOR」

ドキュメンタリーの中では、演出の拓哉さんが上げ曲だけど魅せられる曲があると良いとも言っていた。

僕は現在の曲の中でそう行った位置付けにあたるのが「HONEY」とこの日は(まさか)やらなかった「SURVIVOR SURVIVOR」だと思っている。2つの曲は曲の雰囲気は異なるが、両曲ともゆったりとしたテンポかつしっかりとしたリズムで、音とヴォーカルに身を任せ、自由に踊るなり体を揺らして楽しむことができる。音源よりもライブで大きく魅力が増す。

今秋発表されるアルバムでは、どんな魅せる上げ曲が登場するのか楽しみにしている。

Are You Ready For The Future ?

このライブのタイトルは「Are You Ready For The Future ?」だった。ここにはどんな意味が誰に向けて込められているのだろうか。

最後に、僕が今回のライブで感じた戸惑いを消化することで、この意味を探りたい。

初めてのライブが2021年2月の豊洲PITだった僕は、TEAM SHACHIのロックバンド的なパフォーマンスに魅了された。だから、今回のライブは「チームしゃちほこ」色が強いライブだったことで戸惑った瞬間が何度かあった。

だから、ライブが終わった直後は正直に言ってちょっとモヤモヤしていた。

それから数日して、僕のような人がちょっとモヤモヤするくらいが、ちょうどよかったのかなと思えるようになった。どういうことか。

TEAM SHACHIは2018年の改名以降、ラウド・ポップ・ブラスを軸とした楽曲を制作し、どちらかというとカッコ良さに比重を置いたパフォーマンスを目指していたように思う。「チームしゃちほこ」時代に人気だった曲もあえて封印し、「TEAM SHACHI」としての姿を明確にすることに力を注いできた。

2021年2月のライブはその集大成だったのだと思う。

そのライブを見て「もともと一つの「TEAM SHACHI」っていうものがあって、それが4人に分裂してパフォーマンスしてるみたいだな。」と思った。

何を言ってるのかわからないかもしれないが、要するにグループとして「TEAM SHACHI」としての一体感のある姿が明確になったと感じたということだ。

だから、もう過去の封印は解く時期なのだ。「TEAM SHACHI」として確立したものに、「チームしゃちほこ」のレガシーをぶち込んでいく。色分けされた衣装も、ブラスアレンジが施された往年の人気曲も、はちゃめちゃなライブ構成も。

「これからパシフィコ横浜まで、何でも取り入れて、はちゃめちゃに進んで行くぞ、その準備はできているか?」という宣言だと僕は(勝手に)受け取った。

そして、このような方向性には明確なターゲットがいると思う。それは、かつて「チームしゃちほこ」のライブに足を運び、しかし何かしらの理由で「TEAM SHACHI」のライブから遠のいている人だろう。

改名してから「あの日の楽しかったチームしゃちほこはもうないんだ。」そんな風に思っている人がもしいるとしたら、ひょっとすると今が取り戻す機会なのかもしれない。

このように解釈したとき、僕が今回のライブで感じた「戸惑い」は消えていった。

(なお、僕個人の、あくまで個人的な好みでは2021年2月の豊洲のスタイルが大好きだ。)

好き勝手な想像を書き散らかしてしまった。いつだって受け手は、送り手の意図を間違えて受け取るものだ。僕の感想もまた、間違えて受け取ったものだろう。この感想がいい意味で裏切られることを期待しながら、パシフィコ横浜の公演を待ちたい。

TEAM SHACHI 横浜パシフィコ公演特設サイト


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