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世界を形づくる3つのUltimate Question -古典50冊の感想文(1/4)

前回書いたように、ここ1年で50冊以上の古典を読んできた。せっかくなので1年の学びをまとめたいと思う。(全冊はカバーできないけれど)
人類の叡智を綴った50冊以上の感想文を1つにするという無謀な試みなので乱暴になるのはご容赦願いたい。
とても松岡正剛のようにはいくまい。まだまだ理解が浅い部分が多いので今後へ向けての備忘録という位置づけとする。

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(0) 人類普遍の問い - 3つのUQ

まず、結論から。
人類の問は変わらない。そして、その問は遅くともギリシャ時代には出尽くしている。
人類にとっての最も重要な普遍的問い "Ultimate Question" :UQ (とここでは呼ぶことにする。学術的にもっとよい語があるかもしれない) は超ざっくり言ってしまうと、以下の3つである。
UQ1:人間とはなにか・どのように生きるべきか
UQ2:人はどのような共同体を築くべきか
UQ3:世界/宇宙はどのように成り立っているか

世の中のあらゆる学問、もっと言ってしまえばあらゆる活動はこの3つの質問の周りに成り立っている。

例えば、
・哲学はUQへのアプローチを考え、そのアプローチを使った処方箋を書く学問
・文学・神話はUQ(特にUQ1)やその答え・示唆、あるいはUQを追求することの喜びと苦しみを物語に変えて伝えるもの
・科学はUQ1,3へのアプローチから価値観の要素を取り除いたもの
・社会学・経済学はUQ2のモデルとその答えを示そうとするもの
・歴史は特にUQ2についてのモデルの変遷から今への示唆を導こうとするもの
・宗教はUQ3のモデルをもとにUQ1への示唆を導こうとするもの
と捉えることができる。

それぞれのUQは以下のようなサブイシューを含む。(MECEでない)

UQ1:人間とはなにか・どのように生きるべきか
-人間が追求すべき価値(正義・徳・善)とはなにか
-欲望と理性の折り合いをどのようにつけていけばよいか
-人間はどのように創られたのか

UQ2:人はどのような共同体を築くべきか
-個人の幸福と共同体の幸福をどう両立するべきか
-どのように共同体のリーダーを選び統治するか(国家はかくあるべきか)
-共同体を動かす力はなにか、それをどう制御するか

UQ3:世界/宇宙はどのように成り立っているか
-世界に神(絶対者)はいるのか
-宇宙には時間/空間的な始まり/終わりがあるのか
-宇宙はどう創られ、どう動いているのか
-世界はどのような要素で構成されているか
-世界は運命論で決まっているのか自由意志があるのか

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さて、次回からはUQをフレームワークに使って古典50冊をジャンルごとに整理していきたい。目次は以下の通り。
(0) 人類普遍の問い - 3つのUQ
(1) 古典哲学:UQのルールメイキング
(2) 近代哲学:UQへのアプローチの多様化

(3) 物語(ギリシャ神話・悲劇・叙事詩):予言の実行/忠告の無視
(4) 科学:UQからの価値概念の分離

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