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デザインの次に来るもの|安西洋之 八重樫文

対象

・製品の差別化を難しいと感じているビジネスパーソン
・ビジネスの「広さ」ではなく「深さ」で独自の立ち位置を見出したい

要約

世界のデザイン潮流
 イタリアブランドはこれまで高い評価を受けてきましたが、デザインの領域が広がった今、新しい領域ではトップを走っていると状況ではなくなってきました。1990年以前は機能と品質にプラスして「色と形」が付加価値とされちましたが、現在は「消費者の課題を解決する」ことがデザインの優先事項になっています。「製造品質が安定しているのはあたりまえのことである」との認識が一般に普及してきたためです。2000年以降は抽象度の高いデザインにおいては「デザイン思考」や「ソーシャルデザイン」を引き合いに米国企業が関心を集めています。

1970年:製品のスタイルを扱う専門技能
1980年:理念戦略を可視化するツール
1990年:コスト削減、組織コミュニケーションの円滑化
2000年:デザインを鍵にした戦略策定、コアコンピタンシー

意味のイノベーション
 欧州ではイノベーション推進政策の中で「意味のイノベーション」という言葉が取り上げられています。意味のイノベーションは「使い方、シンボル、ユーザーの感情」に注目してます。2000年頃まで主流となっていた製品解決における「どうやって?」とは違い「なぜ?」に注目し追求するものです。既存のデザイン段階に当てはめると、問題解決としてのデザインはプロセスのデザインであり、意味のデザインは戦略のデザインになります。

デザイン思考
 デザイン思考とはデザイナーではない人たちがビジネスの様々な場面で「デザイナーのごとく考えること」をもくてきとしたものです。以下の6つのプロセスと複合的反復的に行うことでユーザーやステークホルダーの求める解に近づくことを目的としています。

理解:問題の領域を設定し本質を理解する
観察:ユーザーやステークホルダーへの共感をえる
視座:観察情報を要約し問題解決の視座を形成する
創造:視座に基づき多様なアイディアを想像する
試作:プロトタイプを試作する
試験:テストと評価を行う

デザイン・ドリブン・イノベーション
 デザイン・ドリブン・イノベーションはユーザー中心に考えるデザイン思考とは対局にあります。社会と文化のこれからあるべき姿を専門家それぞれの視点から深く洞察し解釈し、その解釈をネットワーク化することで、デザインする課題を見出していくものです。デザイン思考はユーザーに寄り添うがゆえにモノの改善による緩やかなイノベーションをするのに対し、デザイン・ドリブン・イノベーションはモノの意味を劇的に変える方法論です。

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