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World Travel Log 2023.09-4

09/25 (月)

フィンランド最終日。つまりホストのマリオともお別れ。彼は中国人だがフィリピン育ち。そしてフィリピンを飛び出してフィンランドで働くこと3年。彼の言葉の端々から両親や地域、国籍への複雑な気持ちが垣間見える。頭の中に浮かんでは口に出せないまま飲み込まれていく彼に尋ねたい質問たち。人の懐に踏み込むというのはどうにも難しい。


09/26 (火)

フェリーで寝ている間にストックホルムに到着。古く美しい都。旅に出てから「美しい」という言葉をよく使うようになった。日本にいる時は仰々しくて使うのは気が引けていたが、この言葉でしか表現できない事に多く出会ってきたからだろうか。感覚と語彙が合致するというのは気持ちがいい。

ホストのマグヌスに会う。王制反対の活動家。北欧諸国に来るといつも思うのは「北欧も決してユートピアではない」ということ。そこの人々ですら現状に満足していない。日々より良い社会のために諦めずに声をあげること。その積み重ねがこの国を形作っているのだなと。

マグヌスの家で炒飯をつくった。久しぶりのアジアンフードが体に染みる。残念ながら欧州で買う安いお米は臭くてお世辞にも美味しいとは言えない。醤油と胡椒に頑張ってもらってやっと美味しい米料理が食べられた。
温かいシャワーを浴びてリビングの大きなカウチで就寝。


09/27 (水)

朝から美味しいパンとチーズをご馳走になる。野菜やパンや乳製品、市販のもののクオリティが全て高いのが北欧の良いところ。

ストックホルム市庁舎へ。紅葉しはじめの蔦のグラデーションが美しかった。

ノーベル賞博物館へ向かう。工事中のため半額で入場。英語のガイドをつけて大正解だった。ノーベル賞の資金は、ノーベルの残した資産を運用した利益で賄われているらしい。
タッチパネルで過去の受賞者の一覧を見てみた。あまりの男性の多さに胸がぎゅっとなった。


09/28 (木)

朝から近所のパン屋さんへ。デニッシュが有名なお店。2種類あって迷っていたら店員さんが「こっちはクラシック、こっちはポピュラー」と教えてくれた。どちらも捨てがたくてパートナーが頭を抱える。悩んだ挙句クラシックに。素敵なテラス席でシナモンデニッシュを食べる。あまりのおいしさにパートナーの目が飛び出そう。

散歩の途中、ベビーカーを押す3人組の男性に出会う。平日の昼なのにすごいな…と思ってしまう自分が悲しい。

スウェーデン第二の都市ヨーデボリに向かう。電車が時間通りに来るだけでホッと安心。3時間でカメラデータの整理を進める。混沌を体系立てて整理していくのは気持ちがいい。

ヨーデボリでのホストに出会う。オブリット。優しいドイツ人のおばあちゃん。家の雰囲気がとても暖かく居心地がいい。日本に帰ったらこんな部屋にしたいなと妄想が進む。
縫い物が好きで仕事にもしているオブリット。私が過去作ったファブリックポスターを見せたら褒めてくれた。「買えないものは作ればいいのよ」と頼もしい言葉。私もそう思う。日本に帰ったら縫う手仕事を始めたい。

なんとなく、日本で親しい友人と過ごした時間を思い出す。
人生には、ふと思い出しては頑張れる時間というのがあると思う。「かけがえのない時間」というと仰々しすぎるけれど、そんな感じのやつ。そしてそれは、過ごしている時には特別な顔をしていなく、ただいつもの時間と同じように流れていく。旅の中でもそんな瞬間があるのだろうか。私はまだ気づいていない。

高い位置にある柵なしベッドにパートナーと2人で就寝。寝返りで落ちませんように。


09/29 (金)

コーヒー豆を挽く音で目が覚める。ベッドから落ちないように緊張していたからか、身体中が痛い。紅茶を飲みながら身体をストレッチ。

朝食後は動画編集が捗る。そのあとはパートナーの知り合いが教員を務める高校へ。日本語の授業に参加する。浴衣を着るのも何回目だろうか。反帯の着付けもだいぶ慣れてきた。
自己紹介でアニメと漫画の話をした。盛り上がって嬉しい。体感、人気のアニメはワンピース、呪術廻戦、ハイキュー、進撃の巨人あたり。NARUTOやスラムダンクはもはや世代ではないのかも。私が日本について胸を張れることと言えば、食とAGC(アニメ、ゲーム、コミック)コンテンツ。何かを通じて携われたらいいな。

夜はWickedのミュージカルを見にオペラハウスへ。ホームステイ先のルームメイトがオーケストラのプロファゴット奏者とのことで、余っているチケットを譲り受けることができた。
舞台は圧巻の素晴らしさだった。エンタメ空間には、数えきれないほど多くの大人の努力と苦労が詰まっている。人生、生きていれば辛い日もコンディションの悪い日もあるだろうに…プロとして観客にいつも一流の空間を提供しているのだと思うと、感動を超えていたたまれない気持ちになる。心が震える瞬間というのは何にも代え難い。エンタメは人に力をくれると再認識。帰国後に携わりたいことの候補に追加。(候補だけが積み上がるばかり)

ホストのためにベジタリアン&グルテンフリー対応のお好み焼きを作った。お好み焼きを作るのは2度目。ソースも確実に手作りできるようになって自信がついた。


09/30 (土)

今日も朝から動画編集。のんびり過ごした後は中心街を少しお散歩。移動中のトラム内で漫画「違国日記」を読み進める。
ふと「やりたいことをやる」と「なりたい自分になる」と言うのは似て聞こえて全く違うなと考える。27歳の私は今、自分の気の赴くままにやりたいことをやっているような。自分のコンプレックスである「一貫性のなさ」はこの姿勢が原因のような。「なりたい自分」を考えて、それに伴う行動をしていれば自ずと一貫性がついてくるのかなと思ったり。(固まりきってない思考が語尾から漏れ出ている。)

昨日のミュージカルのチケットをくれた彼女に渡す贈り物を探す。パートナーと相談して、ハンドクリームにすることに。10種類くらいの香りからどれを選ぼうかと悩む私。パートナーに「どれがいいと思う?」と聞いたところ「貰ったら絶対嬉しいはずだから、どれでもいいと思う!」と返ってきた。私は彼のこういう考え方がとても好きだ。不健全な謙遜や不安ではなく、健全な自信で組み立てられた思考。「それもそうだな」と思い、フレッシュなピンクグレープフルーツの香りにした。北欧の長い長い冬を少しでも爽やかな気持ちで乗り切ってくれるといいな。


10/01 (日)

今日も朝から動画編集。夕方からマッシュルーム狩りに出かける。パートナーの友人たちがいい人たちだった。マッシュルーム狩りはセラピーらしい。確かに森の中で何かを見つけてコレクションしていくの、楽しいし大人でも夢中になれる。夜はお好み焼を作った。スウェーデンでお好み焼きを作るのは3回目。とれたキノコとバナナオニオンとパセリとクリームで作ったソースが最高だった。

帰ってきたらエントランスで3匹の黒猫が待ち伏せしていた。作ったお好み焼きたちの妖精かな…。甘えん坊で部屋の中にまで入ろうとしたけどお断り。

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