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フリーランスにまつわるアレコレの問題群

無限に仕事は抱えられない、無限に酒は飲めないように

フリーランスを一度でも経験したことある人なら、この感覚すごくよく分かるのではないでしょうか。

たとえるのであれば、大学生活が始まり、まだ無限にお酒を飲めると思っていた頃。

デフレ居酒屋の飲み放題で、何本もの徳利(とっくり)をカプカプと一気飲みして。気づけば女性に両肩を支えられ、街路樹にゲロりんぱ。(人生最悪の教訓になっています・・・)

(当たり前のことながら)自分の身体にはアルコールを許容できる量が定められている。頭とか感覚では「これくらい行けるだろう」と思っているリミッターと、身体・精神が許容できる限界値には乖離があるのが常です。いつだって世界の方が1回目の自分の人生よりも先輩なわけで、最後は均衡に落ち着くのですね。

タイミングよく市原さんの取材記事も公開されていて、次の一節が胸に突き刺さりました。

20代中頃までの「無知ゆえに想像の限界があった未来予想図」を、大人になっていろんなことを体験してからの自分でまた再構築するのが、30歳前後のひとつの課題なのかなって思いますね。

フリーは稼げる!が、中長期的にはジリ貧になる

せっかくの機会なので、少しだけ突っ込んでフリーランスのマネジメント論について考えてみたいと思います。

まず外せないのは、公開から数年にわたり読み継がれているであろう高木新平さんのこの記事。

「このスキルには自信がある!食っていける(あるいは、食っていけている)」という人がこの文章を読めば、高木さんの論旨を体感的に理解できるはず。

フリーランスは稼げる。だけど、その内訳の向こう側を覗いてみると。発注者であるクライアントは、受注側であるフリーランスの「いま現在できること/得意なこと」に依頼を出し、対価を払っている。(太字にした部分に注意されたい)

つまり、どれだけ受注を重ねようが、稼ごうが、「スキルの内でできること」の拡大再生生産にしかなっておらず、本質的な自己成長にはつながりにくい。(もちろん職人道を突き進みたい人には問題にならない)

あるべき未来において、【できるようになっている/できるようになっていたい】自分の可能性が狭まってしまう。ポテンシャル・スキルにストレッチが掛からないので、中長期的にはジリ貧に追い込まれてしまうのです。

ギルドに所属するフリーランスのメリデメ

ぼく自身、前項までの経験をたどりつつ、高木さんと同様に会社を立ち上げました。

“個人の戦い方”と“組織の戦い方”は当然異なってくるのですが、ぼくらの場合、フリーランスのギルド集団として歩みを進めてきたので、いまでも地続きの問題に対峙している側面はあります。(ふつうの編プロで終わらぬため、どうやって編集を拡張するか、面としてレピュテーションを蓄積しながら、出せるバリューの幅を広げていくか)

今回は「フリーランスの話」をしているので、あくまでこのトピックの枠内で、ギルド内のフリーランスのマネジメント論について触れておきたいと思います。

フリーランスが集うギルド(チーム)のメリットの一つに、ナレッジシェアがあります。我々の場合でいえば、育成の環境もある。

ほとんどスキルがない状態でフリーランスになった場合、「誰かが教えてくれる/誰かが助けてくれる」環境はありがたいものです。ありがちなミスを先回りして潰してくれたり、遠回りすることなく原理原則を身につけられる。そして、なにより孤独に苛まれない!

ただし!上記一個一個のメリットはすべてコインの裏側もあることに注意せねばならないと思います。

これはあくまでもぼくの経験論にすぎませんが、ぼくは会社を作る前、数年間ひとりフリーランスとして活動していました。誰も教えてくれないし、誰も助けてくれない。そして、孤独!

ただ、振り返ってみるならば、この孤独の独りぼっち期間があったからこそ。自分の頭で考え、のたうち回ったからこそ、身につけたいくつもの型やHOW、一言でいえば筋力がつきました。

人間の性として、だれかが助けてくれることが前提の環境であると、どうしても甘えが生じてしまいますから。

もちろん向き/不向きや、こうありたいフリーランス像にはよると思うのですが、常に「明日死ぬかもしれない!」「自分が倒れたら終わりだ!」「これで合っているのか不安で仕方ない」からこそ、千切れるまで考え抜く。その集積によって、後から振り返ると加速度的に成長していた、とも言えると思うんです。弱いから、強くなれるので。

「監督 VS プレイングマネージャー VS プレイヤー」問題

最後に、ぼくが現在進行形で悩んでいることについて触れて締めます。

自社メディア『CAIXA -好奇心を入れる箱-』にて、メンターの高宮さんにも相談させていただいたことです。

詳しくはこちらの記事の「監督か、プレイングマネージャーか。プロフェッショナルファームが必ずぶつかる壁」との見出しを参照いただきたいのですが、

「好きだから」という話だけでなく、チームとしての総合力を高めるために、戦略的に自分が手を動かす選択肢もありえると思いますよ。長谷川さんにしかできない難易度の高い仕事を「モメンタム・ホースの長谷川リョー」として手がけることで、会社のブランディングになることはあります。

結局、自分の芸風や好み、仕事の性質、組織として目指すべき方向を踏まえたうえで、自分のリーダーシップのスタイルに合わせ、ギリギリの範囲でストレッチし続けていくしかないのだと思います。つまらない一般論になっちゃいますけどね(笑)。

会社を設立した現在でも、自分を一介のフリーランスとして見立てるのであれば、有限なリソースを何に振り充てるべきなのかはつきまとう問題です。

一言でいってしまえば、「全体最適の動き方」にはなるわけですが。事業ごとの上流の戦略を考えるだけでいいのか、本だけではなくウェブの記事もしっかりプレイヤーとして書いていくべきなのか。

高宮さんもおっしゃっているように絶対解はないプロフェッショナル・ファームのあるある問題なので、フェーズごとに考え続けてはいかないと思います。

フリーランスになって数ヶ月後に、こんなnote書いてました(笑)。


ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。