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世界一の投資家 バフェットだって完璧じゃないーー愛と富の無関係性について

世界一、いや歴史上、もっとも有名でかつ偉大な投資家であるウォーレン・バフェットのドキュメンタリーを観た(原題『Becoming Warren Buffett』)。

人生の語り手は、バフェット自身であり、彼の家族や長年にわたり世界最大の投資持ち株会社「バークシャー・ハサウェイ」でビジネスを共にしてきた同僚たちだ。

同時に、ある学校の小さなクラスでバフェット自身が人生の教訓について講義する模様と、オーバーラップするように進行していく。

このドキュメンタリーで探求されるのは、富やお金の稼ぎ方なぞではなく、愛の在り方や、その意味についてだ。

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この1秒を1日を、1年を、10年後を、ワクワクし続けられているか

ぼくらは戻れない1秒1秒の連なりに身を置きながら、この1秒を過ごしている。その集積が、明日の、1年後の、10年後の”今日”を規定しているのであれば、この"1秒”をやり過ごすことなぞ、できないはずだ。

物語に交互に映される、幼年期〜青年期/成年期〜老年期、そして現在のバフェットの姿。

終盤で中高生に向けた講義で、バフェットはこんなつぶやきを投げかけながら、授業を終える。

世界を眺めているのは楽しいが、楽な人生は退屈だ。お金が不要でも就くような仕事を見つけなさい。そうすれば人生が豊かになる。 1日が楽しみで、毎朝、ベッドを飛び出るよ。60年以上、私はそうだ。 大好きな職場だから、踊りながら行ける。私はとても幸運だよ。 よし、授業終了だ。

一度きりの人生を生きる上で、こうした姿勢や感覚を持つことは、下記のnoteで紹介した孫さんの考え方とも共通するものだろう。

今日は、人生で最も素晴らしい日になる。毎朝その様に願う事が大切だと思う。

10兆円を手にしても揺るがない、“自分が自分であること”

19歳のスーザンと、21歳のウォーレン。何一つ、それから待ち受けている未来や、二人の行く末を知らぬまま、二人は愛の契りを交わす。

それから、スーザンが先に逝去するまで、二人の不思議だけれども揺るぎない、愛と魂の交感はちぎれなかった。

個人資産が10兆円に及ぼうと、四半世紀にもわたりアメリカの片田舎、ネブラスカ州、オマハから動かない。「ただ、この景色が好きなんだ」ーーと。

自分に嘘をつくことなく、シンプルな感情に身を委ね続ける。周りに流されることなく、自らの人生の舵を離さない。悠然と残された日々を過ごせる、彼の精神のしなやかさに頭が下がる。

チェリーコーク片手に、マクドナルドのハンバーガーを嬉しそうに頬張りながら、インタビューに答える姿。

何よりも、「スーザンに出会え、結婚できて本当によかった。彼女のおかげで今の自分が在る」と80歳になっても笑顔でいえる、その透き通った、濁りなき気持ち。

親友ビル・ゲイツとの出会いー「99%強のお金はいらない、だって使い切れないから」

生誕から現在まで、バフェットの人生に降りかかった大きなイベントや出会いを辿っていくことで、彼の人格や考え方の変遷に触れられる。

もちろん彼の有名な投資哲学ーバリュー投資を基軸に複利にレバレッジをかけていくスタイルーはほとんどブレがないとしても、人との付き合い方や、人生の意味の捉え方は揺らぎつつ、固まっていく様子が描写される。

とりわけ、生涯の知己となる、Microsoft創業者のビル・ゲイツとの出会いがいかに大きかったのかは全編を通じて強調される。

二人はともに、常人には達せない集中力の深さで、人生を切り拓いてきた共通項を持つ。出会いから現在にわたるまで、二人は深いディスカッションを重ね、バフェットは毎年ビル&メリンダ・ゲイツ財団に寄付を続けている。

2006年6月25日、世界一の投資家と呼ばれ、ゲイツに次いで世界第3位の富豪であったウォーレン・バフェットは、彼の持つ個人資産のうち85%を複数の慈善財団に寄附し、その85%中83%をB&MGFに充てると発表した。この寄附は現金ではなく彼自身が率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイのB種株式およそ1000万株によって行われ、その額は307億ドル(同年6月23日時点での評価額)にのぼる。言うまでもなくこれは史上最大の寄附であり、B&MGFの規模は一挙に倍増した。(Wikipediaより)

2017年には24億2000万ドル(約2600億円)相当のバークシャー・ハサウェイ株を寄付したことが全世界で話題となった。

今回のドキュメンタリーでも、この件に関して、実にシンプルで芯の通った自身のお金の哲学を披瀝している。

私が一生で使うのは資産の1%以下だ。残りの99%強は他の人に使われる。私には必要ないからね。自分は使わないお金なんだ。必要な人に渡さないのはバカげてる。持ってても無意味だ。

“愛”も、”人間のままならなさ”も、決してお金で手にすることはできない

時は巡り、避けられない瞬間がやってくれる。

人生が何度あっても使い切れぬ、何兆円もの富を持っていても、愛する人との惜別の時は必ずやってくる。

口腔がんに罹患したスーザンは、闘病の末、命を落としてしまう。

もともと家族が口を揃えてバフェットを“孤独な人”(もちろん皆が皆、彼のことを絶大にリスペクトしている前提の元)と評するように、ある意味で、家族との生活と同等の時間を、隔絶した己とのみ過ごしてきたバフェット。

それでも、スーザンの死は相当な闇として、彼を襲った。

不思議と愛は取り除けない。捨てると戻ってきてーしがみつくと失う。 スーザンは私を満たしてくれた。信じてくれたし、成長させてくれたよ。彼女なしに、私はあり得なかった。事業の成功もだが、今の私があるのはー彼女のおかげだよ。

僕はこのnoteで、おぼろげながらも、こんな文章を残した。

人間性を捧げまくって仕事すれば評価されるし、周りと差分もできる。けれども、それと同時にいろんなことを失うし、愛も残らない。人生は、絶妙に、うまいゲームバランスで構成されている。 人間はままならないーー。メディアに引っ張りだこで、新しいオピニオンを求められ発言している人も、今目の前の席で口を開けながら寝落ちしている人も。もちろん自分も。皆すべからくままならない。明日のことも1年後のことも誰も分からない。

それでも、バフェットの半生を通じて一つだけ分かったこと、分かったと思うことがある。

それは、究極的に、根っこの部分で、いや表面だってそうかもしれない。

富と愛は、完全に、確実、無関係であるということだ。

そう。「Monet Can't Me Love」はいつだって正しいのだ。




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㍿モメンタム・ホース代表🏇『SENSORS』編集長。修士(東京大学 学際情報学)→リクルートHDを経て、独立。編集協力『日本進化論』(落合陽一)、『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一)、『THE TEAM』(麻野耕司)等。『転職と副業のかけ算』( #moto本 )制作中。
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