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ぼくが仮想通貨への興味を失ったワケ

「数年後には1BTC=100万円は確実に行きそうだよね」

そんな話をしていた昨年末が遠い過去のように、ビットコインは現実に100万円を突破してしまった。

「地元の友達が買い始めたら、売り時かもね」

なんて話もしていた。
ほとんど毎日カフェで作業をしているぼくですが、1日平均50回は周りの席で「仮想通貨が...ビットコインが...ICOが...」といった類の話題を耳にする。

もちろん非中央集権である仮想通貨が既存の国家の枠組みや、グローバル経済に与える影響は無視できない。
ブロックチェーンについていえば、インターネットと同類のインフラとなり、周辺イノベーションを次々と誘発するのだろう。
毎日のニュースを追えないくらい、国内外のプレイヤーが生き馬の目を抜くごとくスタートアップを興している。

ビットコインにかぎらずブロックチェーン全体が社会変容にもたらすインパクトやポテンシャル自体には依然関心がある。
一方で、乱高下を繰り返すチャート上の投機的な仮想通貨の動きには関心を失った。

昨年末からの積み立ては相変わらず続けているし、最低限の所得があるからこそなのかもしれないが、その理由を簡潔に整理しておこうと思う。

「投資はするけど投機はやらない」し、「お金そのものに関心がなくなった」

と大きく2つの理由に集約されると思う。

刻々と変わる値動きを追えば、時間も消費するし、思考も散漫になる。
端的にいえば、生産性が落ちる。

もちろん大きなニュースは抑え、大局観だけは失わぬように努める。
継続して投資は行いつつ、投機はしない。

もう一つの「お金そのものに関心がなくなった」は、少し補足が必要かもしれません。

最近読んだ佐藤航陽さんの『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』と山口揚平さんの新著『新しい時代のお金の教科書』を参照しながら考えていきたい。

未来のベクトルを決めるのは「テクノロジー」と「感情」にくわえ、「お金」であると佐藤さんは本の冒頭で書かれている。

ただ、概念としての「お金」の歴史を遡ると、国家の中央銀行が発行する不換紙幣はまだ新しい「お金の形」であることが分かる。
現行のシステムの端緒となったイングランド銀行の設立も19世紀のこと。

山口揚平さんの新著『新しい時代のお金の教科書』では、お金の起源が物々交換ではなく、貸借の記帳から始まっていると説明されていた。


ミクロネシアのヤップ島でフェイという大きな石に物のやりとりが記録されていたという。

つまり、概念としてのお金は社会の変容に併せて、その形態や機能を移し替えていくということ。

モノをお金でやり取りする“資本主義”から、
コトを時間でやり取りする“時間主義”、
モノを信用で直接やり取りする“記帳主義”、
最後にコトを信用でやり取りする“信用主義”へ

と未来予測を交えながら、お金を取り巻く大局的な展望を山口さんは示す。

費用対効果ではなく、時間対効果で考える

インターネットは個人の情報発信を民主化した。そして今、ブロックチェーンは個人の信用を可視化しつつある。

言葉としての「評価経済」が認知され始めたのは、2010年前後頃だっただろうか。評価の可視化はグイグイと進み、今ではその評価をレバレッジして、新しいプロジェクトのトラクションを出したり、資金を調達できる環境が整いつつある。

クラウドファンディングからICO、「VALU」や「Timebank(タイムバンク)」のようなサービスの登場もまだ黎明期を示唆するに過ぎないだろう。

いわゆる"マネーとしての通貨"の相対的価値が下がり、お金が多様化したとき、さまざまなコミュニティに分散したトークンが人々を支えるようになる。
「経済は選べるようになる」という佐藤さん、イケハヤランドなんかは実際にそんな時代感を先取った社会実験のようにさえ映る。

そんな世界観で必要とされるのは、資本そのものではなく「信用」と「時間」。

信用度=(専門性+確実度+親密度)/利己心

といった方程式で山口さんは信用を表す。

とりわけSNSを中心としたウェブベースでの情報摂取、コミュニケーションが大勢を占めてくると、個人の評価・信頼は明示的に蓄積されていきます。こうした信頼残高の可視化は「評価経済」としても知られていますよね。
とりわけ僕がやっている仕事は個人名と紐づくことも多いので、まさに評価経済の中で実績を積み上げて、飯を食っていかなくてはなりません。この意味で、本業を100%副業と入れ替える決断をしたわけでもあります。

と、会社を辞めたときにぼんやり考えていた。
仮想通貨はそんな想いをより強固に持つきっかけを与えてくれたとも言えるかもしれない。

「価値の源泉は何であるか」その視点を忘れず、費用対効果ではなく、時間対効果で物事を考えていきたい。

img: Unsplash, Wikipedia, Unsplash

ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。