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<ロダンの庭で>

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心に浮かんだあれこれを綴ったエッセイ集。 不定期投稿。
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記事一覧

<ロダンの庭で> 虚飾のカサノバ

卵が先か、鶏が先か。 人がイメージを作るのか、イメージが人を作るのか。セルフイメージ* と…

Ryé
12日前
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<ロダンの庭で> 新・風姿花伝

ふと顔を上げると、山肌に鶯色や若緑色がみっしりと苔生している。 まるで三毛猫である。 雑…

Ryé
1か月前
36

<ロダンの庭で> それでも花は咲く

海棠の木が倒れたらしい。 母の話である。 裏庭に回ると、たしかに海棠が行き倒れたように横…

Ryé
2か月前
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<ロダンの庭で> あゝ無常

 ゆく河の流れは絶えずして  しかももとの水にあらず 年の初めに、今年の目標を二つ定めた…

Ryé
3か月前
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<ロダンの庭で> 邂逅(下)

高瀬川を眺めながらいつしか沈んでいた夢想から目覚めた私は、小川珈琲店をあとにした。 そう…

Ryé
4か月前
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<ロダンの庭で> 邂逅(上)

久しぶりに京の町を歩く。 京都駅から足の赴くままに路地を北へ東へ、朝食のためのカフェを探…

Ryé
5か月前
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<ロダンの庭で> 草を枕に

かつて、女流エッセイストと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、向田邦子さんだった。 *  卵を割りながら、こう考えた。 と書くと、なにやら夏目漱石の「草枕」みたいで気が引けるが、生れてから今までに、私は一体何個の卵を食べたのだろう、と考えたのだ。 * そんな書き出しではじまる「卵とわたし」が、向田作品との出会いであった。たまたま読んだこの随筆で、女性エッセイストといえば向田邦子、という公式ができた。 ついでながら夏目漱石の作品は、個人的に小説よりも文明論の方がよほど面白