マガジンのカバー画像

<ロダンの庭で>

8
心に浮かんだあれこれを綴ったエッセイ集。 不定期投稿。
運営しているクリエイター

記事一覧

<ロダンの庭で> 言葉の滴

十歳になった頃、文章を書くことに挫折した。 それから二十年以上、私の挫折は続いた。 とこ…

Ryé
3週間前
34

<ロダンの庭で> 虚飾のカサノバ

卵が先か、鶏が先か。 人がイメージを作るのか、イメージが人を作るのか。セルフイメージ* と…

Ryé
1か月前
33

<ロダンの庭で> 新・風姿花伝

ふと顔を上げると、山肌に鶯色や若緑色がみっしりと苔生している。 まるで三毛猫である。 雑…

Ryé
2か月前
36

<ロダンの庭で> それでも花は咲く

海棠の木が倒れたらしい。 母の話である。 裏庭に回ると、たしかに海棠が行き倒れたように横…

Ryé
3か月前
28

<ロダンの庭で> あゝ無常

 ゆく河の流れは絶えずして  しかももとの水にあらず 年の初めに、今年の目標を二つ定めた…

Ryé
4か月前
40

<ロダンの庭で> 邂逅(下)

高瀬川を眺めながらいつしか沈んでいた夢想から目覚めた私は、小川珈琲店をあとにした。 そう…

Ryé
5か月前
34

<ロダンの庭で> 邂逅(上)

久しぶりに京の町を歩く。 京都駅から足の赴くままに路地を北へ東へ、朝食のためのカフェを探す。 ほんの数年前にはほとんど人通りがなかった路地を、外国人が歩いている。不思議に思って見ていると、どうやら民家を改装したと思われる宿が其処此処にあり、そこからぽろぽろと人間がこぼれてくるようである。 大型のホテルではなく、町屋風のこぢんまりとした宿を好む人が増えているのだろうか。そんなことを考えながら歩いていると、いつのまにか佛光寺まで来てしまった。 そこで、前回行きたかったカフ

<ロダンの庭で> 草を枕に

かつて、女流エッセイストと聞いて真っ先に思い浮かべるのは、向田邦子さんだった。 *  卵…

Ryé
6か月前
50