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劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」ネタバレ全開感想

とうとう(18年越し)公開された、劇場版ガンダムSEEDを公開初日に観てきました。

だいたいこんな感じ。
本当に午後の会議を休んで14時の回で観ました。

これほど観た後に語りたくなる映画もそうそうないと思うのですが、さすがに公開間もないために、SNSなどでは比較的治安のよい界隈ではネタバレをしないように気を付けています。
公式からのネタバレ解禁日を決めてもらえると助かるのですが、福田監督はサバイバル論者なので、ネタバレは自由にしてもらって、嫌な人が自衛すべきとの方針です。

とはいえ、さすがに全ての人にその厳しさを求めるわけにはいかないので、最初の金・土・日だけは見えるところでの大きなネタバレを避けるようにはしました。成功したかどうかは知りません。

まだ見ていない人は、1時間で分かるダイジェストを観たあとに、劇場へ足を運んでみてください。
時間がある人は1時間30分×7のスペシャルエディションや、TVシリーズを修正した、HDリマスター版が各動画サイトにあるので、ぜひご覧を。


noteに関しては、ネタバレしているタイトルを付けて、リンクを踏んでスクロールした人しか見れないようにしたので、「私は好きにした、君らも好きにしろ」ということで、全力で感想を語ります。
未見の人はもちろん、2周目を見る予定がある人にもオススメできないので、そういう人はここで引き返してください。
ここから先は自己責任になります。



























ガンダムSEEDの映像表現について

現代のアニメ映像表現において、最前線の課題となっているのはいかにCGを活用するか、というのはCGアニメ専門の制作会社が多数生まれていることからも明らかです。
CGの得意分野といえば、人物ではなく表情を持たない上に固い質感を持つ機械であり、そうした機械の魅力を描く分野として、伝統的なロボットアニメがCGアニメの最前線に据えられるのは必然。

ですが、CGを使った映像というのはこれまでアニメを以下に再現するか? や、実験的な映像になりがちで(具体例を上げると問題になりそうなので割愛)面白みの少ない、意識高い系のしゃらくさい映像という印象が拭えませんでした。

そんなぼんやりとした不満を抱えていたところに、このガンダムSEED劇場版の映像を見た時は、衝撃を受けましたね。
アニメの映像表現として1つステージが上がったと。
ここまでエンターテインメントに全振りしたような、CGアニメが過去にあっただろうか?
天才、福田己津央監督のパースの効いたカッコいいポーズ、レイアウトから繰り出される豊富な戦闘アクションの数々が、人力では不可能な精度で動き回るアクションと、特徴的な派手な演出!
クオリティは高いのだけれど、CGなどの粗を目立たなくするために暗くし過ぎて見えづらかった某作品は反省してほしい。(好きだけれど)

CGアニメで見たかったものがスクリーンに映っていて、戦闘シーンを見ているだけで何回も涙が出そうになっていました。
周囲に人が少ない席が取れて良かった。

キラの脳破壊と、愛のテーマとSNS

映像的な話を存分に語れたので、シナリオというかテーマについての話に移ります。
視聴済みの人であれば、今回の劇場版のテーマが「愛」であることに同意いただけると思うのですが、愛をどう描くかが話づくりのキモになります。
TVシリーズではキラの精神を破壊することに定評のあった脚本ですが、今回はキラの脳を丁寧に破壊する描写が前半のメインになります。
確かに家で待っているラクスから逃げるように仕事に没頭していたのは、彼にも責任がありますが、新キャラのオルフェによる丁寧なNTR描写には、劇場で笑いをこらえるのが大変でした。
自己評価が高いのか低いのかよく分からないキラ君ですが、こういう時に主張せずに身を引くけれど、貯めこんでいたものはあるわけで。

今回の劇場版のドラマ的な最大の盛り上がりは、キラとアスランのケンカですね。まあ、ケンカというかアスランが一方的に正論と物理的なパンチでぼこぼこにしているだけですが、キラの「やめてよね」みたいな自分一人で何でも抱え込む重荷は解けたのではないでしょうか。

で、テーマの方に話を戻しますが今回の重要なポイントとして「他人からの評価」というのが、大きな役割を果たしています。
キラが悩んでいるもう一つのものとして、デュランダル議長が提示した「デスティニー・プラン」を自分たちの手で潰したのは正しかったのか? という悩みがあります。

デスティニー・プランは遺伝子の情報によって、各自の適正な職業を評価され、自分のやるべきことを強制されるシステムです。
放送当時にはそんな言葉はありませんでしたが、現在話題になっている「親ガチャ」というのは、自分のやれることというのは産まれた時から限界が決まっていて、努力や自由意志によって覆せないものである、というのは負のセルフデスティニー・プランといったもので、現代だからこそ実感できるテーマになっているのではないでしょうか。

また、現代では誰もがSNSを駆使して、いいねやインプレ数などの顔も見えない他人の評価に一喜一憂する世界でもあります。

ラストでラクスが語る、こうした顔の見えない他人や機械の評価に一喜一憂せずに、本当に大切なのは、自分の愛する人、愛されている人の評価であり、手と手を取り合うことで遺伝子で決められた運命を超えていける、という王道のラブストーリーが展開されました。

愛の本質とは、遺伝子と遺伝子を混ぜ合わせることによって、新たな命を産み出すことであり、遺伝子で決められた運命を超えていくのにこれ以上ふさわしいテーマはないでしょう。
決して、意味もなくアスランが破廉恥な事を考えていたわけではない、という事にしておきましょう。

視聴直後のメモ

以下、各ネタに対する列挙

・訓練期間もないのに、しれっとドラグーンを使いこなすな!
 デュランダル議長が、シンにデスティニー、裏切らなければアスランにレジェンドガンダムに乗ってもらうつもりだったのでは?
 本当に遺伝子的に最強のパイロットを揃えたはずなのに、こいつらの仲が悪くてメンタルに問題があるために、
 デスティニー・プランが失敗していて笑う。 

・初代のジムの腹を貫く、ズゴックのカッコ良さを超えた過去最高のズゴック。
 「アスラン・ザラ、ズゴック出る!」じゃあ、ないんだよ。

・ミーティア装備のデュエルブリッツガンダムとかいう、エモさの塊。
 「死んだ人たちのことを忘れない」というセリフが機体にも反映されているのが、最の高。
 イザークはニコルと、この艦長も含めて、自分が手にかけた相手のことを背負って生きていくんだろうな。

・コロニーレーザー級の出力を、MS1機で跳ね返すのは、不可能を可能にするどころの騒ぎではないだろ!
 まあ、特にそんな性能のないストライクで戦艦の主砲を止めるのは、同程度の不可能だといわれると、そんな気もする。


・新機動世紀とか、機動新世紀とか間違い探しみたいな名称が続いたせいで、機動戦士を宇宙世紀以外で名乗っているのは、
ガンダムSEEDが初めて?というのを、パンフのインタビューで知る。
次に機動戦士を名乗るシリーズは出るのだろうか。

・ファウンデーション王国の女王のC.V.が田村ゆかりで、50歳の幼女だからって、ゆかり王国言うのはラインを超えている。

・スタッフロールに佐倉綾音の名前を見た時に、あのクソ生意気なブラックスコードの女パイロットだろうと、偏見で決めつけて申し訳なかった。

・極めて優秀な、一人だけ1.5倍速の早口オタクな技術士官のことをルルーシュ(C.V.福山潤)とかいうのはやめよう。信頼感しかなかった。

・賛否両論あった、女性キャラの口紅問題ですが、画面の情報量を上げると同時に、一部で批判のあった平井キャラの男女の見分けがつかない
問題に対して、1つの回答だったのかと。映画的にも、性的なモチーフは重要な要素でしたし。なあ、アスラン?

・ロックはかけてるだろうが、実銃でふざけている奴は、営倉入り後に軍法会議すらあり得そうなのに、平手打ちで済ませたルナマリアは優しい。

・シンのラッキースケベが発動していたので、やっぱりあいつは主人公の器がある。

・ガンダムSEEDデスティニーに、不満というか胸に刺さった諸々を持っていた人は多く、そういった人たちは今回のシンの活躍を喜んで絶賛していた印象があるが、おそらく少年漫画の主人公としてシンに感情移入してみていたのだけれど、それまでの少年ジャンプ的な世界観を否定されたのが、大きく影響している可能性。
主人公が挫折を知って、立ち上がるのは王道のプロットだけれど、挫折したタイミングが最終回な上に、続編が20年近く作られなかったのは、それはトラウマになる。

・デスティニーの分身はやっぱりどういう理屈なのかは分からない。分身殺法、デスティニー・シャドー。

・ステラの扱いはあれでいいのか? 自分の知っているステラは、と思ったけど生前も大概あんな感じだった。

・今回の桑島キャラは、状況に流されるのではなく、自分から悪女ムーブをしていたのでセーフ。
よく考えると、SEEDで死ぬ人は善人が多くて(ニコルやトール)、生き汚い奴ほど生き残るような。
同じ福田監督がプロデューサーを務めた、クロスアンジュ何かは顕著。

・キラとアスランがケンカするシーンで、シンがアスランに殴りかかったのを見て、妹の仇とか上司、部下とかの立場とは関係なしに、
本当にアスランのことが嫌いなんだな、と分かって嬉しくなった。アスランはあんなにシンの事を思っているのに。

・「アスラン専用シャア専用ズゴック」

・ルナマリアが射撃をするシーンで、全員に緊張感が走るの狙ってるでしょ。ちゃんと上げて落とす、様式美。軌道が変わるのはしゃーない。
スパロボの射撃の数値は、変わらなそうかな。
精神コマンドでは、キラとラクスに「愛」が確定で、アスランには「破廉恥」とカガリには「激怒」が追加されそう。

・迷いを捨てたアスランは、地上波の放送コードには載せられなかった説。

・映画を見る前と後で、カガリの顔が赤らんでる意味が違って見える画像。

・カガリ・メイリン論争はすでに公式で否定されていた。
 矢印が「恋人」と「助ける(愛人)」に。

・マナーを守って、楽しく視聴!
 しかし、応援上映とか盛り上がるでしょうね。

・SEEDシリーズに共通の最後の最後までサービスを詰め込む展開好き。
ファーストのラストのオマージュ展開でもあるんだけれど、エピローグは視聴者の想像に任せるので、戦闘シーンを限界まで詰め込もうとする姿勢は、劇場版でも健在でした。視聴者を信頼している。

NEXTロボットアニメ

劇場版のガンダムSEEDが完結した後で、次の福田監督作品として、早くも2024年に放送が決まっている、グレンタイザーU。
「総監督:福田己津央氏」の文字に期待しかない。


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