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「Tizen統合」と言いながら、Samsungは既存Galaxy Watchエコシステムを捨てた。(5/19)

大体、昨日のnoteで書いた通りでしたね。

・・・全くもって愚鈍としていたGoogleはようやく、fitbitの買収を完了させ、SamsungにTizen OSを捨てさせることにより、本日この後数時間後にリスタートするのだと思います。

多くのニュースは、Googleがkeynoteで発した「Wear OSとTizenの統合プラットフォーム」という言葉を引用して報道しており、その結果「うぉ、Wear OSがTizenベースになるのか!」というリアクションをSNS界隈でよく見かけましたが、残念ながら事実は異なるようです。

既存Galaxy Watchには新OSは提供されない

Samsungの発表では、これまでの「Tizen OSベースの」Galaxy Watchには少なくとも「その製品のリリースから」3年間のソフトウェアサポートを行う、と記載されており、つまるところ(Tizenと統合されたはずの)新OSは既存のGalaxy Watch向けには提供されないようです。

新OSはAndroid 11 (API レベル 30)ベース

ディベロッパー向けドキュメントによると、Wear OSアプリはSDKバージョンにAndroid 11 (API level 30)を含めるよう記載があり、また新OSの特長であるOngoing Activity APIはAPI level 30に含まれると記載されています。
つまり、新OSは従来のWear OSアプリとも互換性を持ったAndroidベースであると言えます。

一番損をするのは既存Galaxy Watchユーザー

上記の点から新OSは、いくら「Tizen統合」と謳っていても、実際のところは従来の「Androidベースである」という点からは何ら変更がないということがわかります。

そもそも、Google I/OのkeynoteやSessionの括りを見ても、Wearのカテゴリは「Android」の中にあり、何だったらAndroid 12の「様々なサイズのスクリーンをサポート」という括りで話されているんですよね・・・。

そして、新OSのアプリ開発はAndroid SDKベースであり、既存Galaxy Watchは新OSに対応しないということから、結果として「先行きの無い既存Galaxy Watchプラットフォーム」向けアプリを開発するディベロッパーは激減するでしょう。
そう、今回のSamsungの判断は、既存Galaxy Watchエコシステムを捨てた! それをオブラートに包むために「Tizen統合」という表現をGoogleに言わせた! ということなのだと思います。

新OSに対する感想

まぁ、ビジネス的にはこういう判断もアリなんでしょうし、GoogleがSamsungを引き込むために1年近く前から色々動いていたのは噂でも出ていましたから、来るべきものが来た、ということなのかもしれません。

ところで、新OSについて、今回の発表内容ではやっぱり機能的にパッとしないというのが私の感想です。

アプリの状況を含めてタイムラインが生成されスワイプすることで次々と状況が表示される「Tile」機能も正直今更感がありますし、ボタン2回押しで一つ前のアプリに切り替えられるマルチタスク的機能も、結局のところバックグラウンドでアプリを動かし続ける必要があるわけで、メモリとかバッテリーを増大して力技で実現しないと厳しいのではないかなぁ、と思ってしまいました。

多分、本当に魅力的な機能はH/W的に実装される各種センサーを活かした機能なのでしょう。その意味で早く現物が見たいものです。

現時点で「Wear」と意図的に表現されて正式名称がボカされている新OSは秋のリリースだそうです。


【昨日のnoteはこちら】



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