梁英聖

反レイシズム情報センター(ARIC)代表。一橋大言語社会研究科でレイシズムを研究。11…

梁英聖

反レイシズム情報センター(ARIC)代表。一橋大言語社会研究科でレイシズムを研究。11月新刊『レイシズムとは何か』ちくま新書 https://hanmoto.com/bd/isbn/9784480073532 ツイッターhttps://twitter.com/rysyrys

マガジン

  • レイシズムとは何か

    「レイシズムとは何か」というテーマで、すこし根本的なところから試論を練り上げていくために不定期で連載していきます。よろしければお読みください。

  • 日本型謝罪テクノロジー──謝罪で世間の忘却を狙うお詫びの研究

  • 東大特任准教授大澤昇平氏のヘイトスピーチ

  • 一橋大学ジョン・マンキューソ准教授によるハラスメント

    一橋大学のジョン・マンキューソ准教授は、私梁英聖とARIC(反レイシズム情報センター)を、じつに2年半にわたってデマやハラスメントによって嫌がらせを続けております。 一橋大学はこれを完全に放置しています。 マンキューソ准教授のハラスメントを抑止するために情報発信を行います。

  • あいちトリエンナーレ展示中止事件と「表現の自由」

最近の記事

11月7日発売の『レイシズムとは何か』(ちくま新書)「はじめに」部分公開

みなさん、梁英聖です。 明日11月7日に、新刊が出ます。 タイトルは『レイシズムとは何か』。ちくま新書からです。 発売日は明日なのですが、ネットではもう買えるようですね。 版元ドットコムのリンクはこちらです。 恐れ入りますが、皆様、ぜひ買って読んでくださいませ! 正直、かなり苦労して書きました。なにせ、タイトルが「レイシズムとは何か」です。入門書として平易さを目指しつつ、できるだけ内容を落とさずに書くのは簡単ではありません。 しかし類書はありません。レイシズムの

    • NHKひろしまタイムラインの差別煽動事件は、6月7日の黒人差別事件と同じ、差別禁止ルール不在の問題だ。

      多忙ですが、これだけは書かねばならないようだ。NHK広島による「ひろしまタイムライン」が差別煽動をしている事件だ。 実在した市民の日記を基に、本人になりきって75年前の日々をツイッター投稿するNHK広島放送局(広島市中区)の企画「1945ひろしまタイムライン」で、朝鮮半島出身者への差別をあおる記述があったとして批判が広がっている。  企画では、市民3人をモデルにしたアカウントを運用。参加者11人が日記などを基に、原爆投下に至る日常や被爆後の混乱を連日投稿している。  問題と

      • 黒人差別をしたNHKを日本型謝罪で終わらせないために―再発防止には絶対に必要な差別禁止ルール

        多忙ですぐに書けませんでしたが、NHKが6月7日の『これでわかった!世界のいま』でレイシズムに基づいた番組をつくり、大問題となりました。私はこんなツイートをしました。 しかしNHKはすでに謝罪したのですが、懸念した通り、差別を差別とは認めないままアタマだけ下げる日本型謝罪です。 このままでは差別の再発も防げないだろう、と私は強く懸念しています。なぜなら差別の再発防止にぜったいに必要な、差別禁止ルールの制定をNHKはする気配が全くないからです。 ところで心強いことに、「ア

        • 元東大大澤昇平氏と私が会った時の話(2019年11月30日)

          今まで外部への公開を控えてきたが、私は大澤昇平氏と、昨年11月30日に会ったことがある。翌日12月1日に大澤氏が突如ツイートを削除したのは、そのせいである。東大が働きかけたせいではない。 このことについて東大新聞にインタビューで答えた。記事が今日公開されたので、ぜひお読みいただきたい。 11月30日に大澤氏とあったときのことを、東大新聞がうまくまとめてくれたので、先に引用しておこう。 差別の社会的影響を抑制する観点で、今回の情報学環(以下、学環)の対応は不十分だという。

        11月7日発売の『レイシズムとは何か』(ちくま新書)「はじめに」部分公開

        • NHKひろしまタイムラインの差別煽動事件は、6月7日の黒人差別事件と同じ、差別禁止ルール不在の問題だ。

        • 黒人差別をしたNHKを日本型謝罪で終わらせないために―再発防止には絶対に必要な差別禁止ルール

        • 元東大大澤昇平氏と私が会った時の話(2019年11月30日)

        マガジン

        • レイシズムとは何か
          3本
        • 日本型謝罪テクノロジー──謝罪で世間の忘却を狙うお詫びの研究
          13本
        • 東大特任准教授大澤昇平氏のヘイトスピーチ
          15本
        • 一橋大学ジョン・マンキューソ准教授によるハラスメント
          23本
        • あいちトリエンナーレ展示中止事件と「表現の自由」
          3本
        • ヘイトスピーチとしての「慰安婦」問題
          5本

        記事

          レイシズムとは何か(3)──偏見からジェノサイドへ(2)

           前回ミシェル・ヴィヴィオルカの議論を用いて、レイシズムが差別・暴力といった実際の行為として現われるか、それとも偏見に留まっているかは、社会的条件しだいだ、ということを指摘した。  なぜこれが重要なのか。  それは差別現象が「差別アクセル」と「反差別ブレーキ」の対抗関係のなかで起きるからである。  この連載で考えたい問題意識をあらためて明確にしておきたい。  どんな社会的条件が「差別アクセル」になるのか(つまりレイシズムを激化させ差別・暴力という行為を生み出す効果をもつ条件)

          レイシズムとは何か(3)──偏見からジェノサイドへ(2)

          悩みましたが一橋大学ハラスメント対策委員会からの面談要請に応じることにしました──一橋マンキューソ差別事件(22)

          かなり悩みましたが、一橋大学ハラスメント対策委員会の要請に応じて、本日3月2日、調査委員との面談に応じることにしました。 「バカチョン」等と差別を繰り返すマンキューソ准教授の件でです(詳しくはこちら)。 一橋大学ハラスメント対策委員会から昨年9月に通知が来ていたことは既にこちらで書きました。 この記事を書いたあと同委員会から次のような通知が来ています。 しかしこの通知がきた9月26日から数か月なんの連絡もありませんでした。ようやく連絡が来たのは先月です(「緊急」で対処

          悩みましたが一橋大学ハラスメント対策委員会からの面談要請に応じることにしました──一橋マンキューソ差別事件(22)

          レイシズムとは何か

          新型コロナウイルスの流行を口実にして、世界でも日本でも深刻な差別が頻発しており、非常に危険です。なぜならレイシズムという、人間の生死を分ける差別が暴力に結びつく条件が整いつつあるからです。危険性がどんどん高まっているヘイトクライムを未然に防ぐためにも、「レイシズムとは何か」を考えてみることが求められているでしょう。以下、不定期ながら連載で「レイシズムとは何か」というテーマで試論を書いていきます。よろしければお読みください(自分の考えをまとめるために書いたので、少々難しい個所が

          レイシズムとは何か

          マスコミと政府が麻生太郎の差別発言を非難すべき理由─「一つの民族」発言は不適切発言ではなく人種差別撤廃条約に違反するヘイトスピーチだ

          麻生太郎副総理は過去にナチスを賛美したり、セクハラを露骨に肯定するなど、レイシズム(人種/民族差別)やセクシズム(性差別)を幾度も繰り返して来た。 ※麻生太郎氏の差別についてはARICの政治家レイシズムデータベースに19件が記録されている。これも一部である。 そんな麻生氏が1月13日の今日、極めて深刻な差別発言を行った。福岡県直方市で開いた国政報告会で次のように発言したという。 麻生太郎副総理の「一つの民族」発言発言は以下の通り。出典は下記の朝日新聞記事だ。 麻生氏は

          マスコミと政府が麻生太郎の差別発言を非難すべき理由─「一つの民族」発言は不適切発言ではなく人種差別撤廃条約に違反するヘイトスピーチだ

          川崎市長は差別を非難するコメントを─在日朝鮮人抹殺を煽動する年賀状事件に対して政治家とメディアがすべきこと

          新年早々恐ろしい差別事件が発生した。 朝鮮人抹殺を訴えるヘイトスピーチ川崎市の多文化交流施設「市ふれあい館」(川崎区桜本)に在日コリアンの殺害を宣言する文面がつづられたはがきが年賀状として届いていたことが6日、分かった。同館は利用者や職員に在日コリアンが多いことで知られる。市は事実確認を急ぎ、警察に被害届を出すことを含めて対応を検討している。 (神奈川新聞下記ネット記事より) 年賀状に書かれていた文言は直接に朝鮮人虐殺を煽動する差別であった。その酷さを正確に伝えるため引用

          川崎市長は差別を非難するコメントを─在日朝鮮人抹殺を煽動する年賀状事件に対して政治家とメディアがすべきこと

          一橋大マンキューソ事件の教訓から言えること──東大が大澤昇平を厳しく処分しない場合起こりうる事態について

          東大がグズグズと大澤昇平氏の処分を行わないため、氏は喜々として差別煽動を繰り返している。中国人差別に飽き足らず、東大情報学環の池亀彩准教授へのバッシングを行ってから、性差別煽動に拍車がかかっている。 いったい東大は、どこまで差別煽動をエスカレートさせておくのだろうか。 東大は緊急に理事会を開いてでも大澤昇平を処分し、氏のいままでの差別煽動効果を否定するべく強い調子の反差別声明を出すべきであろう。 大澤氏を放置することは、非常に危険だというほかない。 そう自信をもって言

          一橋大マンキューソ事件の教訓から言えること──東大が大澤昇平を厳しく処分しない場合起こりうる事態について

          東大大澤昇平氏の差別を甘く見るべきではない──差別に甘い大学教員の態度

          東大大澤昇平氏の差別と、それを止めるべき東大の責任について、連日のように書いてきた。これで12本目であり、こちらもウンザリしている。 だがそれは氏が差別をやめないだけでなく、矢継ぎ早にひどい差別や名誉棄損を繰り返してきたためだ(昨日の前回記事はこちら)。 そして昨日の記事を書いた後も、さらに次のような新しいツイートが追加されている。他方で大澤氏は「被害者」アピールを積極的に開始しつつあり、しかもそれに対して氏を勢いづかせるような大学教員のツイートも散見されはじめた。 極

          東大大澤昇平氏の差別を甘く見るべきではない──差別に甘い大学教員の態度

          東大大澤昇平氏は即ツイッターを止めろ──具体的に「敵」を名指した差別煽動の危険性

          東大大澤昇平氏の暴走が止まらない。 東大大澤昇平氏の新たな差別私はこのツイートに虚偽が含まれている可能性を疑っているので、事実関係については、東大は公式見解を待つべきだと考える。 だがもしも東大が大澤昇平氏を解雇あるいは追放したのなら、それはあまりにも当然のことであり、むしろ遅すぎたというべきだ。 ところで問題は、大澤氏が暴走し、差別煽動に全く歯止めがかからなくなっていることだ。 続けてこんなことも言っている。 このツイートが支離滅裂であることを問題にしたいわけでは

          東大大澤昇平氏は即ツイッターを止めろ──具体的に「敵」を名指した差別煽動の危険性

          中国人の多い東大を「浄化」しろとツイートした大澤昇平氏の差別煽動効果と、それを止められない東大の責任の重さ

          東大大澤昇平氏が、昨日12月12日から、また新たに深刻な差別煽動を開始した。 その内容があまりにも酷く、看過できないので、とりいそぎ問題点だけ書いておく。 中国人が多い東大を「浄化」しろと言うことは、レイシズム(人種/民族差別)を煽動し、ヘイトクライムさえ誘発しかねない危険な煽動行為である最も酷いツイートを引用する。 このツイートのあとにこの投稿。 そしてその次はこれである。 大澤昇平氏は何を言っているのか。 要するに、中国人が多い東大を「浄化」しろ、と言っている

          中国人の多い東大を「浄化」しろとツイートした大澤昇平氏の差別煽動効果と、それを止められない東大の責任の重さ

          差別を①差別煽動アクセルと②反差別ブレーキとの対抗関係のなかでつかむ必要について

          ※年度内は考えをまとめるための試論をこまめに更新していきます。 なぜ差別を止められないのか? 日本社会でヘイトスピーチが大問題となって久しい。この外来語が大手メディアに載りはじめたのは2013年春だから、もうじき7年も経とうとしている。 いまやヘイトスピーチが「悪いもの」であり、「差別」だ、ということぐらいは、日本社会で広まったとは思う。 にもかかわらず、ヘイトスピーチや深刻な差別事件の頻発を止められないのは、どこに原因があるのか。 それは、差別がリアルな力関係のな

          差別を①差別煽動アクセルと②反差別ブレーキとの対抗関係のなかでつかむ必要について

          東大大澤昇平事件を、大澤=三浦瑠麗=マンキューソ問題としてみる必要性─差別の効果に関与し抑制する大学の責任

          11月20日に「中国人は採用しません」などとツイッターで差別を煽動した東大大澤昇平氏が大きな問題となった。だがSNSをみるかぎり、世間の東大への批判はおさまりをみせつつあるようだ。東大の情報学環が24日付で声明を出し、先週調査チームを立ち上げたと公表されたことは大きかった。 ところが、当の東大大澤昇平氏はひっそりと今日、次のツイートを投稿した。 大澤昇平氏が投稿した「サルでもわかる」解説大澤氏はあくまでも自分が差別したとは認めず、AIの「過学習」のせいだとしている。それで

          東大大澤昇平事件を、大澤=三浦瑠麗=マンキューソ問題としてみる必要性─差別の効果に関与し抑制する大学の責任

          叩かれている大澤昇平氏の謝罪が、じつは東京大学情報学環長の謝罪や三浦瑠麗氏よりも優れている理由

          この連載で批判し続けてきた東大大澤昇平氏が、本日12月1日午後1時過ぎに謝罪した。 何度も書いてきた通り、東大教員として差別を煽動した責任は甚大だ。大澤氏は自分が行った差別の効果、差別を煽動した社会的効果に対して責任ある積極的な行動をとらねばならない。 しかし残念ながら大澤氏の謝罪は全く不十分だ。 だが考えるべきは、大澤氏の謝罪の不十分さは、大澤氏のツイートについての東大情報学環長の声明と謝罪の不十分さが全く同じレベルであるというところだ(東大情報学環長声明の問題は既に

          叩かれている大澤昇平氏の謝罪が、じつは東京大学情報学環長の謝罪や三浦瑠麗氏よりも優れている理由