絶滅危惧種(英語教育編)「予習」

今回は授業でやってはいけないあるある、を書いていきます。

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● 予習を課す

 私が教えている英語ではその昔、こんな授業が行われていました。

「みなさん英語では予習が大切です。しっかりとやってきてください。まずは教科書の本文をノートに書きます。次に、わからない単語を辞書で調べて、意味を書いてきてください。それから本文の意味を日本語に訳します。ここまでが毎回の宿題です。わからなかったところがあったら授業で確認しましょう。」

 英語教育とは普段かかわりを持っていない人もこれを読んでいると思うので一応言っておきますが、このような授業をしている教員は今では「絶滅危惧種(endangered species)」略して「いーえす」と呼ばれています。

 貴重な鳥や魚など、自然界の絶滅危惧種であれば保護保存をしなければなりませんが、英語教育の絶滅危惧種は絶対に保護してはいけません。

ほんともう、いませんよ。

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 普通に考えてツッコミどころ満載です。まず、意味の分からない英文をノートに書いて何の意味があるのでしょうか。

 昔の漢文の勉強で、教科書が一冊しかなかった頃の名残なのではないかと思います。そうでも考えない限り全く理解不能です。

 もしそうだとしたら、それが何年も続いていたこと自体が驚きです。

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 わからない単語を調べてくるというのも、一見すると問題ないように思えますが、辞書を使うことができるようになるには、ある程度英語に習熟していないといけません。

 個人的には英検で準一級に合格できるレベルまでは辞書を使った予習させることなど時間の無駄なのでさせるべきではないと思っています。

 生徒がどのくらいの時間を家庭学習にかけることができ、要求した予習を完了するにはどれくらい時間がかかるかを考えたことがあるのでしょうかね。

 そんな昔の授業をやっていなくても、予習を授業を受ける前提にしていることろはまだ多くあります。

 予習を課すべきではない3つの理由をあげます。


● 予習を課してはいけない理由

【理由1】 
  予習を課すなら、予習を前提とした授業にする、言い換えれば予習をしてこないと何らかの不利益を生徒自身が被るようにしなければなりません。

 やってこなくても、何ら生徒にとって問題がないのであれば、やらなくなります。

 しかし、どんな学校でも、超優秀な進学校でも全員がやってくることなんてありえません。

 やってくるように言っておいて、やらなくても何とかなるような授業をしていると、そのうち教員の指示も聞かなくなります。授業をしていると、そのうち教員の指示も聞かなくなります。

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【理由2】 
 予習をさせる授業では、予習してきた内容が正しいかどうかを授業で確かめるということがあります。

 当然、生徒は誤って理解してくるということがあるわけですが、問題はその次で、そのあと授業で正しいことを教えても、いったん間違って理解してたものはなかなか修正できないのです。

 英語で言えば、いったん間違った発音で単語を覚えてしまうと、そのあといくら正しい発音を教えてもなかなか言えるようにはなりません。sayの過去形"said"の発音なんか、まぁ何回直したことか...。

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【理由3】 
 予習をしっかりとしてきたかどうかをノートを集めてハンコを押すなどしてチェックしている人がいます。

 今すぐやめましょう。       

 あなたの体がもちません。


◎ まとめ
1.英語の絶滅危惧種は「イーエス」と呼ばれる。
2.トキは2003年に絶滅した。
3.英語教育は進歩していて、自分が教わったころの教育とは全く違う教育が行われている。
4.予習は危険思想である。
5.お体を大切に。

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